なぜ経済学部に?
「物事は単純ではない」「人の気持ちが重要」「インセンティブが人を動かす」この3つが、経済学の面白さだと思います。たとえば発展途上国では、マラリア蚊を防ぐ蚊帳を支給しても、魚を捕る網として使われてしまうケースがあるそうです。魚を捕るために利用した方が、現地の人にとってずっと有益だからです。このように、経済学を通してさまざまな物事の見方を学べることはとても楽しいです。数学が苦手な方も、授業できちんと教えてもらえるので安心して学ぶことができると思います。
3年次生林 菜夏
「現代経済入門」「経済政策」など、本西先生の授業では、実際のニュースについて学生から直接質問しながら進んでいくのが特徴的でした。なかにはささいな質問や初歩的な質問もあるのですが、先生は決して否定せず、いつも自分にはない視点から返答されていたことが印象に残っています。先生の回答を聞くたびに多くの気づきがあったので、先生のもとで学びたいと考えて本西ゼミを選びました。
ゼミでは、少子高齢化の進む兵庫県川辺郡猪名川町の活性化に向けた政策提言を行いました。現地には3回訪問し、初回は一般人の目線で観光を、2回目は道の駅を訪れる人に取材をしました。その後、イノシシなどのジビエ料理を題材にした政策を検討していたので、3回目はジビエ料理店の方や森林組合、役場関係の方などにお話を聞きました。町名にも漢字が入っている害獣・イノシシを、食を通して駆除に貢献できないかと思ったのですが、あまり反応はよくなかったですね。イノシシ肉の安定供給は難しく、また害獣としてもどちらかといえばシカの対策に困っているとのこと。なかには、「観光に来てもらうのも悪くないけれど、できたらこの町と長く付き合ってほしい」などの意見もありました。
どのような政策を提案するかは、とても難しいです。すぐに思いつくようなことはすでに他の市町村で行われており、猪名川町ならではの特色を探すのも簡単ではありません。人口は増えてほしい一方で、町の大半が厳しい建築規制のある市街化調整区域に指定されているなどの外部要因に阻まれることもあります。また、長所だと思っていたことが短所だったケースも少なくありません。たとえば大阪が近いという利点も、裏を返せば都会に出ていきやすいということ。猪名川町には保育園がなく、若者が遊べる場所も少ないため、「町で働いていても住まいは都会にある」というケースも珍しくないと聞きました。
「長所だと思っていたことが短所だった」というのは、考え方を変えれば、発想の転換で短所を長所に変えられる可能性もあるということです。最終的に私たちの班では、休耕地を利用して収穫から販売までサポートする「農業体験」を提案することになりました。単純に人が足を運ぶ機会を増やすだけでなく、もっと深い関係性を築けるものがあった方がいいと考え、「貸し農園」というアイデアにたどり着いたんです。現地の人も農業に興味をもつ若者なら歓迎とのこと。都会が近いので、できた野菜を売りに行くこともしやすいです。近々猪名川町の皆さんの前でプレゼンする予定なので、今から少し緊張しています。私たちも実現に向けて検討を重ねたので、本当に導入されればうれしいです。
「物事は単純ではない」「人の気持ちが重要」「インセンティブが人を動かす」この3つが、経済学の面白さだと思います。たとえば発展途上国では、マラリア蚊を防ぐ蚊帳を支給しても、魚を捕る網として使われてしまうケースがあるそうです。魚を捕るために利用した方が、現地の人にとってずっと有益だからです。このように、経済学を通してさまざまな物事の見方を学べることはとても楽しいです。数学が苦手な方も、授業できちんと教えてもらえるので安心して学ぶことができると思います。
※学年を含め、掲載内容はインタビュー当時のものです。