MUSE learning system

ミューズ学習

What is MUSE
learning system

ミューズ学習とは

本校は開校以来、思考力育成を掲げ教育活動に取り組んできました。
「思考」、すなわち「考える」とは抽象的な活動であり、「思考力」を身につけさせていくために具体的にどのように学習させたらいいかの手立てを考えるのは大変難しいことです。「よく考えなさい!」と言われたものの、具体的に何をどうすれば良いのかが全然イメージできないことは大人でもあります。
そのため、まずは「考える」という曖昧な活動を「思考スキル」という具体的な技術に分解することが大切であると考えました。「思考スキル」とは、例えば「比較する」「分類する」といった考えるための方法、思考するための技術であり、教師が「考える」ことを知識として子どもたちに教えるというアプローチを可能にするものです。
さらにその「思考スキル」を「考える技」として定義し、習得から活用までを1年生から6年生までの発達段階に応じて細分化した目標として設定し、体系的に指導していくカリキュラムを作成することにしました。その習得と活用を行う授業として「ミューズ学習」という「考えることを考える」に特化した学習をする特設の時間をデザインすることにしたのがはじまりです。

6types of thinking tools

6つの考える技
(思考スキル)

ミューズ学習では6つの考える技とそれに対応したシンキングツールの習得と活用を行っています。「比較する」にはベン図、「分類する」にはX・Yチャート、「つなげる」にはコンセプトマップ、「多面的にみる」にはボーン図、「組み立てる」にはピラミッドチャート、「広げる」にはイメージマップが対応しており、中学年までにこの一つ一つのわざとツールの使い方を習得していきます。

比較する

ベン図

複数の事象の「相違点」や「共通点」を見つけ出すことに使います。

分類する

X・Yチャート

物事をいくつかのまとまりに分けて整理するために使います。

つなげる

コンセプトマップ

ある事柄と、ほかの事柄とのつながりを見つけるために使います。

多面的にみる

ボーン図

物事を複数の視点から見て情報をまとめることに使います。

組み立てる

ピラミッドチャート

複数の事象を根拠に論理的に主張を構成するために使います。

広げる

イメージマップ

対象について、言葉で想像や発想を広げるために使います。

学習するテーマに応じて情報をツールに書き込んで考えを整理し、自分の考えを「見える化」をします。さらに書いたツールをもとにペアやグループ、または全体で交流することを通して、考えるわざを自分のものにしていきます。中学年では、身に付けた思考スキルを組み合わせて問題解決を行います。問題解決のプロセスである「情報収集」「整理分析」「まとめ」という3つの段階を意識し、それに合ったわざを選択することを繰り返し練習します。高学年ではこの問題解決自体を「メタ認知」し、どのような方略で解決すればいいかについて思考することができるようにします。発達段階に合わせて、思考スキルを習得し、活用することができるようにしています。

Learn thinking skills
and utilize them

思考スキルの
習得から活用

繰り返し取り組み、力を伸ばす

思考スキルは1コマの授業で身につくものではありません。何度も繰り返して取り組み、学んだ「考える技」をほかの教科にも応用したりするなかで、いつでも活用できる力にします。したがって、本校では「ミューズ学習」以外の教科においても「考える」ことを重視した授業を実施しています。また、中等部では「考える科」、高等部では「プロジェクト学習」を設け、論理的な思考の育成をめざした教育を一貫して行っています。

習得期

1

2

3

年生

考えるおもしろさを体感。思考スキルを6つのシンキングツールで習得します。

子どもたちの学びから

活用期

4

5

6

年生

習得した思考スキルを課題に合わせて選択、組み合わせて問題解決に取り組みます。

子どもたちの学びから

5

6

年生

5・6年生では目的や意図に応じて自分の判断で思考スキルを選択します。

子どもたちの学びから

Logical thinking ability/
critical thinking ability

論理的思考力・
批判的思考力

これまでの思考スキルの習得と活用では、「自分の考えを理由と根拠をはっきりさせながら主張できる」という「論理的思考力」の育成に重きが置かれてきました。しかしながら、本校が研究テーマとして設定した「21世紀型スキル」においては、論理的思考力だけでは不十分であると考えます。自分の考えを補強するための思考では、自説にこだわって他者を受け入れられなくなることもあります。どんな文脈においても「本当にそうだろうか?」「もっとよりよい考え方はないか?」と吟味的に考える「批判的思考力(クリティカルシンキング)」の育成が大切であると考えます。これからのミューズ学習に必要になってくるのは、この探究の質を上げるために、「いかに問いを立てるか」「いかに立てた問いにアプローチするか」において、思考スキルを駆使し、他者と協働的に深めていく学びにできるかということなのです。