関西大学 人間健康学部

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これからの子育て支援のあり方を考える

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 わが国の少子化に歯止めがかかりません。私が生まれた1974年、ちょうど第2次ベビーブームの最終年で出生数(生まれた赤ちゃんの人数)は約207万人でしたが、その10年後の1984年生まれは約151万人、さらに10年後の1994年生まれは約123万人、そして2013年生まれは約103万人となっています。

 このような少子化傾向は、日本の子育て環境が改善し、合計特殊出生率(一人の女性が生む平均の子どもの数)が増加しても、しばらくの間は変わらないといわれています。つまり、「出生数」=「生む女性の数」×「合計特殊出生率」で求められるため、生む女性の数が減少してしまっているわが国では、人口の減少は避けられないということです。

 これからの日本の社会、とりわけ子育てのあり方を考える時、子どもが減っていくということを前提に、子育て環境や子育て支援のあり方を再構築していくことが重要になります。

 さて、2015年4月から子ども・子育て新制度が始まることをニュースや自治体の広報誌などで耳にされたこともあるのではないでしょうか。新制度の目的は大きく分けて次の3つです。

①幼児期の学校教育・保育の拡充(認定こども園の普及を進める)

②待機児童の解消(小規模保育など多様な保育を充実させる)

③地域の子育て支援の充実(全ての子育て世帯を支援の対象に)

 私はいくつかの自治体で、地方版子ども・子育て会議の委員をさせて頂いています。この会議では、新制度の準備をし、今後5年間の子育て支援事業計画の策定をめざしています。みなさんはお住まいの市町村の子ども・子育て会議の議論の進捗状況をご存じですか?

 会議の委員はどのようなメンバーで構成されているか、会議の内容はしっかり情報公開されているか、住民のニーズはきめ細かく把握されているかなどをチェックしてみて下さい。会議は重要ですが、そのことだけでこれからの子育て支援のあり方が充実していくわけではありません。一人ひとりの住民が地域の子育て支援を自分のこととして考える。それを丁寧に積み上げていく姿勢が求められています。