関西大学 人間健康学部

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Biofeedback

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高校時代から日本拳法を始め、全盛期の頃様々な大会で優勝した。個人戦では全日本拳法総合選手権大会4回、段位別全日本に該当する龍峰杯高段の部11回、全日本社会人個人選手権大会11回、4年毎の国際大会3回が主な優勝である。ところが全日本拳法総合選手権大会では4回優勝したが、決勝で5回、準決勝で1回負けている。なぜ最大の大会になると勝てないのか、それが現役時代からの課題であった。

その疑問に対する答えを探していた時、バイオフィードバックに出会った。私に紹介して下さった村川治彦先生によると、精神的な変化が、医療やスポーツなど様々な分野においてその行動に影響を与えるという事であった。これは、私にとっては長年の課題の手掛かりのようでもあり、同時に絵空事の様にも感じた。ちょうどこの時期、バイオフィードバックの第一人者エリック・ペパー先生が来日され、講習会を開かれた。精神的な影響による脳波、筋電図、発汗量等の測定値の推移をリアルタイムで視覚認識可能なグラフとしてスクリーンに映し出し、環境の変化による精神的な変化を認識するという、当時の最先端を行く講習会であった。ペパー先生の講習会で得た知見に試行錯誤を繰り返し、体育会で活躍する学生にバイオフィードバックトレーニングを実施したところ、全日本学生弓道選手権大会で、10年来ベスト8入賞のなかった関西大学体育会弓道部が全日本男子団体戦で準優勝の成績を収めた。弓道はバイオフィードバックトレーニングで精神的な影響が競技成績に結びつき易く、アメリカではアーチェリーやゴルフ、射撃等の分野で効果が出ている。人は気づかない間に緊張し、過緊張は常時発生しているがそれに気づく事は難しい。緊張に気づき拮抗筋の過緊張を抑制する能力を習得できれば、競技成績に大きく貢献できる。

文頭で述べた、私が全日本拳法総合選手権大会においてのみ負ける事が多かった理由は、精神的に発生する過緊張が主動筋の働きを阻害し、競技能力を低下させた事に起因しているが、過緊張により実力が発揮できないケースはスポーツの試合のみならず、面接やプレゼン等、様々な場面で見られる。自分自身の経験や体験を活かしながら、講義「臨床バイオフィードバック」と演習「スポーツ・バイオフィードバック」で、精神状態が筋肉の働きに及ぼす影響を分析、緊張をコントロールし、受講生が様々な「ここ一番」の場面において実力が発揮できる能力を習得する一助となりたいと考えている。