関西大学 人間健康学部

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スポーツボランティアって?

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被災地におにぎりを持っていったボランティアがいます。被災された方に渡したとき、「こんな冷たい握り飯、食えるか!」と言われました。さて、あなたならこんなときどうしますか?

そのボランティアは、「なにおぅ!、せっかく持ってきてやったのに!」と言って、なんとおにぎりを叩きつけて帰っていったそうです。このようなボランティアを「似非ボランティア」と言います。本物ボランティアなら、どうしたらそのおにぎりを温めることができるかを考え、温かいおにぎりを渡そうとします。

では、似非と本物の違いは何でしょうか。似非ボランティアは、被災者に良いことを「してあげている」から感謝されて当然だと思っているのです。上から目線ですね。だから、感謝されないと腹が立つのでしょうね。一方、本物ボランティアは相手ができないことを「させてもらっている」と思っている人です。あくまで、その人にとってどうすればいいかを常に考えているのです。

最近、スポーツの分野でもボランティアが活躍しています。それはスポーツボランティアと呼ばれています。私たちが研究している大阪マラソンでも、1万人近い人がスポーツボランティアとして関わりました。そこで、どうして、こんなに多くの人がボランティアをするのか調べてみました。すると次のことが分ったのです。

災害ボランティアや福祉ボランティアは、ある面、人々と「苦しみ」を共有しなければなりません。しかし、この大阪マラソンのような市民マラソンのスポーツボランティアは、ランナーと「楽しみ」を共有するところに特徴があります。だから、ランナーから「感謝」もされますが、それ以上に、ランナーの走っている姿から「感動」をもらうのです。そして感想には、「来年も是非させてもらいたい」という言葉が並びます。そこには、「してあげている」という思いは一切ありません。それは自らが、大阪マラソンをランナーと共に創っている一員としての自覚があるからです。

その意味で、スポーツボランティアには本物ボランティアを育てる力があると言えるのではないでしょうか。