株式会社 本田技術研究所 先進パワーユニット・エネルギー研究所
2020年3月 理工学研究科
システム理工学専攻 博士課程前期課程 修了
福岡 儀剛
航空用ガスタービンエンジンに用いられている圧縮機の試験を担当しています。航空エンジンは過酷な環境で使用され、製品としての性能が求められる一方で高い安全性を保証する必要があります。それらの高い技術要求を満たす製品を世に送り出すため、最適な試験内容を検討・実施し、設計の妥当性を検証していくことが開発において重要です。試験は地味な作業の積み重ねであり粘り強い根気が必要ですが、それらの積み重ねが人々の空への可能性を拡大している点に技術者としてのやりがいを感じます。圧縮機の試験を行うなかでは既存の経験や設計段階では予想していない物理現象が目の前で起きることがあります。そのような新しい発見に日々出会えることは試験の魅力であり、難題に対して頭を悩ませ解決まで導けたときには技術者としての成長を感じます。私が航空エンジン開発に携わりたいと思ったきっかけは軽飛行機に乗った経験と大学での航空エンジンに関する研究が楽しかったことです。これからも学生時代からの熱意を絶やすことなく一つ一つの物理現象に正面から向き合い続け、より良い航空エンジンの開発に貢献したいと考えています。
現在の仕事に生きている学科の学び
実験実習や研究室で実際にモノに触れて、データを取得・処理し、PDCAを回した経験が現在の業務に生かされています。データと向き合い、頭を悩ませる過程で理解が深まるとともに技術者としての素地が形成されました。
オムロンヘルスケア株式会社
2022年3月 理工学研究科
システム理工学専攻 博士課程前期課程 修了
関戸 耀太
体調を崩し入院していたことがあり、検査に使われていた医療機器に関心をもちました。そして大学・大学院の研究では人工心臓弁を研究し、その研究過程で医療機器にはさまざまな分野があると実感。病気の有無にかかわらず幅広い年齢層の方が使用する医療機器があることを知り、今の会社を志望しました。現在は血圧計の商品設計という業務を行っています。私たちの製品は世界中の人々に使われており、家電量販店や病院などで製品を目にすることも多いため、やりがいにもつながっています。今後はメカ領域のエンジニアとして血圧計を世に出し、全世界の人々の健康管理を支え、地球上の一人ひとりの健康ですこやかな生活への貢献を果たしていきたいと思います。大学進学後は、どんなことにでも興味をもつようにしてください。一見なにも関係ないと思える勉強も、必ずその知識が生かされます。そして、学生でしか体験できないことにたくさん出合い、前向きに楽しみながら大学生活を楽しんでください。
現在の仕事に生きている学科の学び
製図の知識や4力学の知識は、製品の図面を作成する際や製品の検証や不具合解析などに役に立っています。また学会発表や論文執筆などの経験が、社内でのプレゼンやレポート作成時の土台となっています。
ダイハツ工業株式会社
2019年3月 理工学研究科
システム理工学専攻 博士課程前期課程 修了
吉田 司
私は現在、小型エンジンの開発に携わっています。走行時に排出されるガス成分や車速などのデータ解析から、エンジン内部の燃焼状態の把握と改善を行っています。自動車に求められる環境性能がますます厳しくなるため、環境規制に対応したエンジンを開発することは非常にやりがいがあります。今後は、開発が進むHV車両用のエンジンなど、環境性能と自動車の楽しさを両立させることに取り組んでいきたいです。この仕事を選んだのは、学部1年次に「エンジン分解」という実験に取り組み、エンジンの構造や動作原理に興味をもったことがきっかけでした。その後は学部と大学院で3年半をかけて熱と流体に関する研究に取り組み、そこで得た知識や経験が、現在の業務で何度も役立っています。多様な学問に触れるチャンスが多くある大学生活の中で、好きな物事を発見し、より詳しくなれるよう、積極的に学ぶ姿勢を忘れず有意義な時間を過ごしてほしいと思います。
トヨタ自動車株式会社
2015年3月 システム理工学部
機械工学科 卒業
鈴木 克治
昔から乗り物が好きで、将来の夢はクルマづくりに携わることでした。大学でも、クルマの製造に欠かせない四力(機械力学・熱力学・液体力学・材料力学)を中心に、製図や制御などさまざまな分野の勉強に取り組み、念願のトヨタ自動車に入社することができました。現在は生産技術を担当。クルマの品質を守りつつ、工場にて効率良く、また低コストで生産できるようにクルマの構造を改良する業務を行っています。クルマの全構造と工場の仕組みを把握しなければならず、大変な面もありますが、クルマづくり全体に関われる点では大きなやりがいを感じます。これからも「お客様にとっていいクルマとは何か」を常に意識して、より良いクルマを提供したいと思います。大学で講義を受けた統計学が今の仕事に生かされたように、将来の仕事にどんな知識が役立つか分かりません。大学では好き嫌いせず、さまざまなことを学んでください。そして、勉強以外の活動にも積極的に挑戦しましょう。
オーエスジー株式会社
2015年3月 理工学研究科 システムデザイン専攻
博士課程前期課程 修了
細川 翔太
昔からものづくりに興味があり、機械工学分野を専攻。卒業後、各種工具の総合メーカーであるオーエスジーに入社しました。ナットの内側のネジ山を切る「タップ」、金属に穴を開ける「ドリル」、金属表面の加工を行う「エンドミル」など、ものづくりを支える「もの」を作っている会社で、生産技術を担当しています。主な業務は、生産工程のレイアウト設計や治工具(各生産工程で作業効率を良くするために必要な工具)の設計、製品加工の可否検査などです。より良い生産体制を模索することで、生産現場を縁の下で支えています。実製品の開発に携わることはありませんが、治工具の設計はものづくりと同じ。製図の知識や材料力学など大学で得た知識を活用できます。大学での学びは、将来仕事をするうえで必ず生きてくるでしょう。将来の目標が定まっていなくても、大学の4年間で一番の興味に出合う瞬間がきっと訪れます。そのときに慌てることのないよう、大学で基礎をしっかりと築いておきましょう。
矢崎総業株式会社
2012年3月 理工学研究科 システムデザイン専攻
博士課程前期課程 修了
民谷 尚紀
昔からものづくりに興味があり、なかでも基幹産業である自動車産業で働きたいと考えていました。そこで、自動車部品のワイヤーハーネスやメーターで高いシェアを誇り、また世界中のカーメーカーとやり取りをしている矢崎総業に入社しました。当社では自動車部品をはじめ、電線やガス機器などの研究・開発・製造・販売を行っています。私はそのなかで、ワイヤーハーネスに関する生産技術を担当。自社工場に対してQCDES(品質/コスト/納期/環境/安全)を満たすワイヤーハーネスを生産するための、工法や設備を提供しています。現在の業務において、まったく異業種の技術を参考にすることが多々あり、知識の引き出しをたくさんもっていると、将来研究や仕事で必ず役に立つものだと感じます。皆さんも「あの機械ってどうやって作っているのだろう?」「どうやって動いているのだろう?」など、さまざまなことに疑問と興味をもち、幅広い知識を得てください。また、そうやって得た知識を自分の学んでいることに当てはめてみると、さらに理解が深まると思います。