現代の情報社会を支えるさまざまなコンピュータシステム。それらが24時間継続して、安全かつ安定的に稼働するために必要不可欠な性質を『可用性』といいます。この「可用性」を確保するための強固なセキュリティシステムを構築すること、そして、未知の技術を使った新しいネットワークを開発することが主な研究テーマです。
通信技術が発達した今日の日本では、コンピュータが日常生活に深く浸透し、気軽にインターネットを利用できるようになりました。多くの企業は、その活動機能の中枢を担うコンピュータシステムを管理し、情報を安全に活用するためにさまざまな対策を講じています。しかし一般家庭では情報管理やセキュリティへの関心が低く、複雑化するコンピュータ犯罪に対して無防備な状態です。
例えば無線LANによって、通信範囲内であれば場所を選ばずネットワークに接続することが可能になりました。しかし、このようにデータが四方八方に伝わる性質は、便利である反面、通信内容を第三者にアクセスされてしまう危険性もはらんでいます。周囲の無線LAN利用状況を観察する実験では、セキュリティ対策がなされずに通信されているものを多数確認できます。このような調査結果を踏まえて、人とインターネットの"安全で豊かな関係"を築くために必要な課題と、その解決法を探る研究も進めています。
広く一般化したとはいえ、学問としてのコンピュータシステムやプログラムに対して苦手意識を持つ学生が多いのも事実です。授業ではサンプルプログラムを丸々写してもらうことからはじめて、そこに少しずつ手を加え自分だけのプログラムへとカスタマイズしていきます。その過程で学生は、自分が入力したものが機能する喜びを感じ、挑戦することの大切さに気付きます。ハードルを克服し、何事にも自信をもって取り組むことができる、そのきっかけとなるような指導を心がけています。総合情報学部には皆さんが気軽に触れることのできるコンピュータ環境がありますから、やる気さえあれば、さまざまな事にチャレンジできる。学生の積極性に期待しています。
今後、より一層多くの場面でコンピュータが活用されることは間違いありません。しかし学生にはコンピュータと向き合う以上に人と向き合ってほしい、『人との対話』を大切にしてほしいと私は考えています。これから社会に出ていく彼らは、コンピュータや自分一人の力では解決できない無数の問題と対峙することでしょう。そんな時に助けとなるのは周囲の仲間です。協力を仰ぎ、困難な問題に全員で一丸となり立ち向かってほしい。そのために必要なコミュニケーション能力を、ゼミや大学生活を通じて培ってもらいたいと思っています。
小林ゼミはネットワークやOSなど、テーマ・分野ごとのグループで構成されています。各グループでは先生や先輩の指導を受けながら、それぞれの研究を進めていきます。そして試行錯誤を繰り返しながら、自分自身がこれだ!と思えるテーマを見つけ、大学生活の集大成である卒業論文に臨んでいます。
また週に1回開いている勉強会では、メンバーそれぞれの得意分野を発表し、全員で知識を共有します。議論しながら新しい視点に気付いたり、研究のヒントが見つかることもしばしば。貴重な時間になっていますよ。
実習科目も担当されている小林先生は、ゼミ生以外からも大人気。ユーモアがあって気さくな先生なので、ゼミはいつも和気あいあいとした雰囲気です。
実はゼミ生の携帯電話にはメーリングリストを通じて常に先生の位置情報が送られてくるんですよ。これは先生が寂しがり屋だからではありません(笑)。私たちが勉強や就活など、いつでも気軽に相談できる機会をもてるようにと配慮いただいてのことです。小林先生がよく話されるコミュニケーションの重要性についてご自身で体現されているんですね。こうしてゼミ生は先生と接しながら人と関わることの大切さも学んでいます。
可用性
システムの稼働を維持するための能力。可用性が高いほど壊れにくいシステム、可用性が低いほど壊れやすいシステムになる。
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OS
Operating System(オペレーティングシステム)の略。多くのアプリケーションソフトから共通して利用される基本的な機能を提供するソフトウェアのこと。OS本文に戻る
メーリングリスト
電子メールを大勢の人間に同時に配信する仕組み。メーリングリスト用のアドレスに送信すると、リストに登録されたメンバー全員に一斉にメールが送信されることになる。メーリングリスト本文に戻る