『ETロボコン2013関西地区大会』総合3位入賞おめでとうございます!
リーダーの村田さん、まずはメンバーを紹介してください。
村田さん(大学院生):ありがとうございます。このチームは、広兼研究室の大学院生である私と、学部3年次生の相尾君、上坂君、大田君、そして今日は欠席している谷高君、佐野君、北川君の計7名のチームです。
早速ですが、ETロボコンとはどんなコンテストなんですか?
村田さん(大学院生):簡単に言うとロボットにシステムを組み込んで、走行の正確性やスピードを競うコンテストです。各チーム同じロボットを使って競いますので、自分たちが開発・設計するシステムやプログラムの“質”が問われます。他の参加チームはシステム開発に携わる企業がほとんど。広兼研究室では毎年、大学院生をリーダーに有志の学部ゼミ生で参加するのが恒例になっています。
なるほど。システム開発に関する高度な知識が求められると思いますが、ゼミがはじまって間もない3年次生のみなさんは、大変ではありませんでしたか?
大田さん(3年次生):最初は大変でしたね。もともと、プログラムの経験はあったので、多少慣れていたつもりでしたが想像以上に難しく、試行錯誤の繰り返しでした。
相尾さん(3年次生):私も経験者でしたが、いくつも壁にぶつかりました。
上坂さん(3年次生):実習を通じて基礎知識はありましたが、まだまだ初心者レベルでした。プロジェクトを通じて、プログラムやシステム開発について学んでいきました。
本番まではどういった工程があるんですか?
村田さん(大学院生):最初は、ゼミで行う週一回の勉強会で、バラつきのある基礎知識の積み上げや、必要な技術の共有を行います。チーム作業では、プログラムの書き方・ルールはもちろん、さまざまな情報をできるだけ共有することがとても大切。こうした準備期間があることで、はじめは戸惑っていた3年次生も自主的に勉強するようになっていきました。私は、彼らの指導と同時に、適正を見極めてチームでの作業分担を決めていきました。
上坂さん(3年次生):私、大田君、相尾君の3人でプログラムのコードを書くことになって、村田さんを中心に残りのメンバーでUMLを担当することになりました。
“UML”とはなんですか?
村田さん(大学院生):ご覧の受験生や高校生のみなさんには、聞き慣れない言葉ですよね。UMLはとても高度で必要な知識も多く、私自身もまだ完全に理解したとは言えません。一言で説明すると、あるシステムを実現するための“設計図”。どんなプログラム言語や技術を使うのか、コースに沿ってどんな走行戦略を立てるのか...etc。プロジェクト全体の元になるものです。
複数の人が関わるシステム構築を、スムーズに進めるための“説明書”や“ルールブック”のようなものですか? 例えばプログラムはこのUMLに沿って書いていくんですね。
相尾さん(3年次生):もちろんUMLに沿ってコードを書くこともあれば、逆にプログラムの検討を先に行い、UMLに書き加えていく事もあります。
上坂さん(3年次生):コミュニケーションを取りながらUMLを更新して、ブラッシュアップしていきます。UMLには、どのようにシステムが組み立てられ、どのような動き(機能)を想定したものなのか、そのすべてが詰まっています。
なるほど。UMLを理解することはもちろんですが、とても実践的なプロジェクトですね。一番難しかったのは、どんな所ですか?
相尾さん(3年次生):本番の走行コースには、坂道や、バランスが必要なシーソー、ロボットの高さを調整させるゲートエリアなど、難所と呼ばれる障害物があります。それらをクリアするためのプログラム調整に苦労しましたね。
上坂さん(3年次生):シーソーでどうやってバランスを取るのか、そこが一番のハードルでした。
壁にぶつかった時は、どのように解決したのでしょうか?
大田さん(3年次生):過去の参加者がプログラムコードを公開しているので、参考にしながらですね。もちろんコピーして使えば、うまくいくという訳ではありません。笑。コードの前後の流れや、ほんのわずかなミスで想定した動きにならないことがあるので、まさに三歩進んで二歩下がる。少しずつ少しずつ課題をクリアして行きました。村田さんをはじめ、先輩やゼミ生にアドバイスをもらいながら、課題も共有して、一緒に考え・学んでいきました。
このコンテスト経験者でもあるリーダーの村田さんは、後輩たちのがんばりをどのようにご覧になっていましたか?
村田さん(大学院生):当初はプログラミングに関しても、私が具体的な指示を出すことが多かったですね。ですが、少しずつ自分たちで意見を出し合って検討したり、サンプルコードをカスタマイズしてみたり、自主的・積極的に取り組んでくれました。
このプロジェクトは、成長のとても大きなきっかけになりそうですね。
村田さん(大学院):そうですね。システム構築に限らず、何かを作る時、一人でできることは決して多くありません。そのことを実感して、よりよい結果を導くために、ディスカッションのやり方を工夫したり、作業効率を考えて統一ルールをみんなで作ってみる。そうしたグループワークの経験一つひとつが、この先ずっと残っていく財産になると思います。
3年次生のみなさんは、今回のプロジェクトに参加していかがでしたか?
相尾さん(3年次生):もちろん技術的には、自分でも驚くほど成長できたと思います。あらかじめ答えの用意されていない課題に取り組み、自分自身で考え答えを探していく作業は“研究” そのものですよね。これから卒業研究がはじまる自分にとっては、実践の中で研究活動を経験できたことは、とても大きかったと思います。
大田さん(3年次生):プロジェクトの間は、大変だったなというのが正直な感想です。本当にトライ&エラーの繰り返し、手探りの毎日でした。苦労した分、本番で自分たちのロボットがいくつもの難所をクリアし、見事にゴールしたときは最高の気分でした。やってよかったと思いますし、当初はあったプログラミングに対する壁を、ひとつ越えられたなと感じています。
上坂さん(3年次生):ひとつのテーマにじっくり、根気強く取り組めたのは大きな自信になりました。来年度は、卒業研究もあるので難しいかもしれませんが、チャンスがあれば、今回は叶わなかった全国大会出場をめざして、もう一度挑戦したいです。システム構築をはじめて経験してみて、やっと見えてきたこともたくさんあるので。
では、最後に総情をめざす高校生や受験生にメッセージをお願いします。
村田さん(大学院生):ロボットやプログラミングに興味はあるけど、文系の自分には無理だと考えている方も、ぜひ一度挑戦してみてください。総情ならできますから。プログラムは、何も理系出身の人だけのものではありません。例えば整理整頓が好きな人はきっと、プログラミングの適正があると思いますし、苦手意識で引いてしまわずに、とにかく触れてみることが大切なんだと思います。