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vol.38:2017年03月17日
福祉教育は熟成する

 私のゼミでは地域福祉や福祉教育実践をテーマとしている。卒論はゼミ生それぞれの関心によるテーマを設定してとりくむが、優れた実践についてぜひ直接知り実践の魅力と地域の力を理解してもらおうと、フィールドワークにとりくんでいる。

 今年度は、和歌山県内のある地域がそのフィールドで、多くの方々に助けていただきゼミ一同学ばせていただいている。地域での福祉活動などを支援している社会福祉協議会につないでいただき、ふるさと教育・防災教育・福祉教育をとても丁寧に取り組んでおられる小学校と、その地域の自治会の役員さんや民生児童委員さん、そして社会福祉協議会とが連携してとりくんでこられたとりくみに、いっしょに関わらせていただいている。

 子どもたちは、この地域がかつて大水害の大きな被害を被ったこと(この小学校に当時通っていた子どもたちも亡くなっている)を授業でも学んでいるが、当時直接経験された地域の高齢者の方々のお宅を訪問して、聞き取りをする。聞き取りに行く前には、高齢になっての暮らしや認知症についての理解を深めるためのワークショップなども社会福祉協議会の協力で行っている。地域の高齢者の方々との顔のみえる関係づくり・つながりづくりもめざしている。聞き取りの後、地域の慰霊祭で子どもたちは学びについて発表する。

 今年は子どもたちと高齢者の方の顔見知り・つながりづくりを一層深めようと、同じお宅に2度聞き取りに伺っている。ゼミの学 生たちは、子どもたちとともに聞き取りに伺わせていただいた。

 ゼミ生も参加して毎回参加した方々とで振り返りの話し合いを行った。活動を通じてそれぞれが気づいたことやいかしていきたいことをはなしあうのだが、厳しい意見もでた。子どもたちへの期待もあるからであろう。先生からは、それぞれの子どもが置かれている状況もあり、とりくみの成果が直ちにみられない子どももいることが伝えられた。そもそも地域福祉の活動や教育は、即効性をねらうより、時間をかけてとりくみ育むものである。

 大学に戻りゼミの時間では、自分がかつて小学生の時に経験した福祉教育の体験が語られた。自分たちが経験したことと今回のとりくみを比較し、学校の先生方の思い、地域の方々、社会福祉協議会の方々の協力など、自分が小学生の頃には気づかなかったことに思いをはせる。もしかして今福祉を学ぶ道につながったのは、あの時の経験が関係していたかもしれない。

 福祉教育は熟成する。少し時間がかかるかもしれないが、丁寧なとりくみはきっと地域社会に芽を出し、花を咲かせ、実を結ぶと信じている。

所 めぐみ 教授

所 めぐみ 教授

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