関西大学 人間健康学部

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男の笑い、女の笑い 〜ユーモア恋愛術・導入編〜

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 ユーモアのある男性はもてるらしい。各種の調査報告によれば、この傾向は、国や文化を問わず認められるようだ。プロの世界を見ても、流行りの男性コメディアンには、若い女性ファンの声援が絶えない。ふと疑問に思う。女性のコメディアンはもてるのだろうか?

 心理学の領域でユーモアの研究が盛んになった初期の頃から、ユーモアと性別の関係について、多くの研究者が関心を寄せてきた。アブナー・ジッブは、ソシオメトリや自己評価を含めた複数の調査の全てにおいて、男性のほうがユーモアをつくる能力に長けていることを確認した。一方で、他者のユーモアに反応して笑う頻度は女性のほうが高い。つまり、コミュニケーションにおいて「男性がユーモアをつくり、女性が笑う」役割分担があるらしいというわけだ。

 ユーモアの性差は幼少期から存在する。ある研究チームは、児童を対象とした集団実験で、男児がそばにいるほうが女児の笑いの頻度が高まること、また、女児は男児につられて笑う頻度が高いことを発見し、男児には類似の傾向が見られなかったことを報告している。どうやら笑うという行動が意味するものは、男女で異なるらしい。別の研究チームは、男性が女性をデートに誘いたい場合、自分のポートレイトに笑える一言を書き添えて渡したほうが、ただ写真を渡すよりも成功率が高いことを発見した。しかし男女を逆にすると、この戦術は効果がない。カウフマンは、孔雀が美しい羽を広げて雌にアピールするように、男性はユーモアを披露して女性を魅了するのだと説明している。なるほど、ユーモアのある男性はもてるらしい。

 冒頭の質問に戻ろう。

 笑わせる能力に長けた女性は、素敵な恋愛ができるのだろうか?これについては、興味深い報告がひとつある。結婚生活の危機において、男性が頻繁にユーモアを披露する夫婦は、そうでない夫婦に比べて、離婚や別居に至る率が高い

(結婚前とは逆の結果である!)。のみならず、女性が頻繁にユーモアを披露する夫婦は、結婚生活の満足度の高さを維持しやすいというのだ。それはなぜかというと...残念、字数が足りないようだ。この続きは、ぜひ授業でお話ししたい。