関西大学 人間健康学部

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宇宙人の笑い

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 宇宙人は笑うだろうか?

 映画やアニメに出てくる宇宙人は、しばしば人間のように笑う。たとえば、ウルトラマンに出てくるバルタン星人は、人間をあざ笑うように「フォフォフォ...」と笑う。ウルトラマンも笑いを持っているようだ。恐竜ジラースとの戦いの時に、劣勢の相手に対して「シュワッハッハ...」と笑うシーンがある。他の映画などでも同様の例は多いだろう。人間の創作物に出てくる宇宙人は、人間のような笑い方をする。それが笑いだと視聴者に理解される必要があるから、人間の笑いと似ていて当然ではある。

 しかし、仮に本当に地球外生物がいたとして、彼らが人間と同じような笑い方をするということはあるだろうか?彼らの感情表現が我々にも理解できるということがあるだろうか?進化の歴史を共有している地球上の動物の感情表現でも、理解するのが難しい場合がある。宇宙人の感情理解はもっと難しいはずだ。

 宇宙人は、笑いを表情や音声では表現していないかもしれない。匂いや温度変化、色、あるいは電磁波を用いて伝えているかもしれない。いや、我々の想像も及ばないような刺激と感覚器官を使っているかもしれない。となると、表情や音声を用いる我々の笑いとは、かなり違った使われ方をしていたとしてもおかしくない。それでもそれを「笑い」と呼べるのだとしたら、それはいったいなぜだろうか?

 我々ヒトは、表情と音声で笑いを伝えあう。このことは当たり前の事実だと思われるかもしれないが、生まれる星が違えばまったく別の笑い方をしていたかもしれないのだ。我々が今のような笑いを笑っているのは、ヒトが霊長類だからである。森林での生活に適応して視覚と聴覚を発達させ、表情や音声によるコミュニケーションを発達させてきた霊長類の一員として、ヒトがこの地球上で進化したからだ。中でも、好奇心旺盛で認知能力や共感能力の高い類人猿のグループの一員として生まれたからこそ、高度なユーモアをも楽しめるようになったのではないだろうか。