関西大学 人間健康学部

講演会・シンポジウム等Seminer

シリーズ 笑いの総合科学(第2期)の第3回を開催しました。

  • ■日時

10月30日(日)に、「シリーズ 笑いの総合科学(第2期)」の第3回を開催いたしました。

講 師:関西大学人間健康学部助教 松阪崇久
テーマ:笑いの人類学~笑いの起源と進化~

「笑う動物は人間だけである」とかつては考えられていましたが、進化の過程から見て
もっとも人間に近い存在であるチンパンジーもくすぐりや追いかけっこ遊びの際に笑い
声を上げることが知られています。人間の笑いを本当の意味で知るためには、進化論
的な視点から他の動物と比較し、人間にとっての笑いの起源をたどることが必要です。

今回は、アフリカはタンザニアにあるマハレ山塊国立公園まで赴き、長期にわたって
野生のチンパンジーの生態の記録・観察を続けてこられた関西大学人間健康学部
助教の松阪崇久先生から、人間とチンパンジーの比較から見た笑いについて解説
して頂きました。

人間の笑いは、笑顔の表情である「スマイル」(smile)と、笑い声の「ラフ」(laugh)に
分けることができます。このうち、笑顔のスマイルは類人猿の「グリマス」と呼ばれる
「恐怖・服従」をあらわす表情が元になっており、この他者に対する恐怖や服従の
動作がやがて相手に自分が敵意を持っていないメッセージを伝える人間のスマイル
になったと考えられています。一方、笑い声のラフは、くすぐりや遊びの中で出てくる
あえぎ声が元になっており、チンパンジーが人間の子どもと同じように追いかけっこ
遊びをしながら笑い声を上げる様子が紹介されました。チンパンジーと人間の笑い
には共通点があるものの、言語を使用し、大勢で一緒に笑ったりみずから笑いを
起こそうとしたりする人間の笑いはより高度で複雑だといえます。

進化論的な立場で見ると、私たち人間にとって親戚のような存在であるチンパンジー。
遊びの中で笑い声を上げる可愛らしいチンパンジーの姿に微笑みながら、人間の
笑いの独自性について考えることができました。

次回以降も充実した講師陣でお届けしますので、
ご期待ください。ひきつづきご応募お待ちしております。

シリーズ 笑いの総合科学(第2期)ご案内
http://www.kansai-u.ac.jp/Fc_hw/2011/09/2-3.html

※注意事項
「シリーズ笑いの総合科学」では、テキストを使用します。
(テキストは講座開始時に、定価2,940円を2,500円で販売しております。
講座テキストをご購入の方には、各担当の先生方の直筆のサインを入れていただけます。)

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