関西大学 人間健康学部

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"1>99"の体験

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 今春、本学部の3人の学生が関西学生舞踊連盟の発表会(2011.4.16/於:兵庫県立芸術文化センター)の舞台に立ちました。「スポーツ方法実習Ⅶ・ダンス」を受講した男子2人と女子1人が、"自分たちで創る"ことに魅せられて初舞台に挑戦したのです。他大学はすべて、ほぼ毎日練習をして踊る技術を磨いているダンス部の学生たちの作品。それに対して本学部の3人は授業で初めて創作ダンスを体験し、"舞台で踊るのは人生で初めて!"という状態です。「本当にやるの?」という私の問いに、「やります。頑張ります!」と明るい返事。"怖いもの知らず"とはこのことかと内心で思いながら、懸命に練習する3人を頼もしく見ていました。

ダンスとは踊り手の身体とその動きによって、現前する時空間にイメージの世界を描き出す行為です。観客は、そのイメージの世界を享受しますが、踊り手が想像をめぐらせ、創造力を発揮して描きたい世界を明確に表現しなければ到底メッセージは伝わりません。しかし、たとえ技術が未熟であったとしても、自分たちの表現したい世界観を紡ぎだすことができれば、今在る身体と動きでも十分に観客を引き込むことができるのがダンスの面白いところです。

一方で、舞台上演には様々な周辺要素(音楽、衣装、照明、お金の管理等々)が付随しており、舞台初体験のメンバーには苦労も多かったことと思います。今回はマネジメントを引き受けてくれた女子学生がいたので助けられましたが、たった6分程の舞台上演のために費やした時間と労力は大変なものでした。3人は見事に自分たちの世界観を演じ切り、これまで彼らが馴染んできた勝ち負けのあるスポーツとは異なる達成感を得たはずです。

すぐに結果を求められ、努力や苦労は敬遠される今日ですが、99の苦労をしてもそれに勝る1の輝きを実感する体験が、彼らを大きく成長させたと信じています。

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