関西大学 人間健康学部

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子ども・子育て新システムの行方

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保育制度が大きく変わろうとしています。昨年12月に閣議決定された「明日の安心と成長のための緊急経済対策」に基づいて「子ども・子育て新システム検討会議」が設置され、今年6月に「子ども・子育て新システムの基本制度案要綱」がとりまとめられました。

新しい保育制度(子ども・子育て新システム)では、(1)すべての子どもへの良質な成育環境を保障し、子どもを大切にする社会、(2)出産・子育て・就労の希望がかなう社会、(3)仕事と家庭の両立支援で、充実した生活ができる社会、(4)新しい雇用の創出と、女性の就業促進で活力ある社会を実現するとしています。

その施策のひとつとして、既存の幼稚園、保育所、認定こども園を一体化し、幼児教育と保育を一体的に提供する「こども園」の創設が提案されました。それに伴って、従来の幼稚園教育要領と保育所保育指針を統合した「子ども指針」の策定、幼稚園教諭免許状と保育士資格の共通化を進めるとしています。

しかし、このような一体化については従来から議論が続けられているものですが、幼稚園を管轄する文部科学省と保育所を管轄する厚生労働省の縦割り行政の問題などがあり実現するかどうかは不透明な状況です。「子ども指針」の策定や免許・資格の共通化にしても、保育現場や保育士養成校に大きな混乱を与えかねないもので慎重な議論が必要です。

この新システムは、2011年の通常国会に法案を提出し、2013年度から施行を目指しています。今回の「基本制度案要綱」では、制度設計のイメージが示されたに過ぎません。7月の参議院選挙で民主党が敗北し政権運営が不安定になる中で、今後、新システムがどのように検討されていくかについて注視していくことが必要です。