「市民権とマイノリティ」研究班
――市民権概念の成立とその受容、および現代国家(とりわけアジア)における新たな市民権概念の形成可能性とマイノリティに関する研究を行う。
国民国家の担い手は、市民権(シティズン・シップ)を共有する人々(=従来は「国民」とされてきた)であり、国民形成・統合には、この市民権の確定が不可欠であった。
しかし、この作業は、たえず他者をつくり出す営為でもあった。この営為のなかで、国境の内部に異質性があるという事実をどのように法的に処理(規範化)し、その「国のかたち」を創り上げていくのかが困難な課題であったし、また近年一層困難になりつつあるといえよう。マイノリティは、国民国家のこの「境界画定」と内部の均質化にともなって不断に創られていく存在であると言うこともできる。さらに、グローバリゼーションの中では、マイノリティ状況とでもいうべきものが、グローバルな「市民」のあり方を示すものとなりつつある。本研究班は、ネイションの「幻想」を乗りこえた21世紀以降の「グローバル市民」像の形成可能性を探る。