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国際関係班主幹メッセージ

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「国際関係とマイノリティ」研究班 主幹メッセージ(西平等)


マイノリティに関する法的な処遇は、近代法の歴史上、国際関係においてこそ、重要な位置づけを与えられてきた。たとえば、16世紀から17世紀にかけての宗教戦争の終結に際しては宗教的少数者の処遇が条約の重要項目に挙げられていたし、また、第一次世界大戦以降、古い帝国が解体される際には、民族的少数者の自決問題が、常に国際関係の中心的問題であり続けた。マイノリティの処遇が、国際秩序の近代的な編成において重要問題とみなされるのは偶然ではない。近代国家の生成期においては、ヨーロッパの秩序が領域原理に基づいて再編されるにあたって、かかる領域に必然的に生じる諸々の社会勢力に対する国家の寛容が、国際・国内秩序安定のための不可欠の要件として求められたのであり、その裏返しとして、マイノリティの自由が法的に承認される必要があった。

19世紀後半から20世紀にかけて、国民(人民)による民主的な政治的決定が国家の正統性の根拠とみなされるようになるにつれて、多民族もしくは植民地帝国におけるさまざまな(民族)集団が、みずから民主的決定の担い手となることを目指して自決権・自治権を主張し、部分的にはそれを実現した。 このように、国家からの自由、あるいは法の下の平等としてのマイノリティの権利も、政治的・集団的な存在を支える自決権・自治権としてのマイノリティの権利も、国際秩序の再編に伴って現実に確立されてきたものである。

20世紀の後半以降は、ふたつの系譜のマイノリティの権利が、互いに緊張関係に立ちつつ、併存している状態とみてよいだろう。「マイノリティ」をめぐる錯綜した議論を構造的に理解し解明するためには、歴史的な視野に立って問題を解きほぐしてゆく必要があり、そこでは国際関係を含めた視角が不可欠である。そこに私たちの研究班の存在意義がある。

 


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