特  集 vol. 522

海外渡航の前と後

帰国後編

 旅の始まりは、スリランカ最大の都市・コロンボ。街を歩いていると、スリランカ人の中年男性から「観光名所を案内してあげる」と声をかけられました。最初は正直、「怪しいかも......」とかなり警戒しましたが、「お金は払えませんよ」と念押ししたうえで、案内してもらうことに。男性は「以前、愛知県に住んでいたことがあるんだ」と言って簡単な日本語を話してくれたほか、寺院についても説明してくれました。料金を請求されることもなく、無事に楽しい時間を過ごせました。

 また、長距離バスでは、隣に座った現地の女性と話す機会がありました。日本を訪れたことがあるという彼女は紅茶の会社を経営しているといい、別れ際に商品のティーバッグをプレゼントしてくれました。単なる移動時間になるはずだったバスでのひとときが、忘れられない思い出の一つになりました。

 この旅で一番楽しみにしていた「シギリヤロック」を訪れたのは旅の5日目。高さ約195メートルの巨大な一枚岩で、頂上にある宮殿跡までは、1,200段以上の階段を登ります。その道のりはかなり大変でしたが、「天空の宮殿」と呼ばれるだけあって、頂上からの眺めは圧巻! 眼下には一面のジャングルが広がっていて、日本ではなかなか出会えない景色でした。現地で目の当たりにしたスケール感は、写真では伝えきれないのが残念です...!

 もちろん、旅の間ずっと順調だったわけではありません。移動時に最終バスを逃してしまい、仕方なく配車アプリでトゥクトゥクを呼んだのですが、なかなか車が見つからず。ようやく来たと思えば、今度はアプリに表示された金額よりも高い料金を請求されそうに。「表示されている金額以上は払えない」ときっぱり伝えて、なんとか過剰請求を避けることができました。

 今回の一人旅では、トラブル時の交渉や現地の人との交流、旅行者同士の情報交換など、英語で話す機会がたくさんありました。その中で、語学力だけでなく、「とにかく自分から伝えてみよう」という度胸がついた気がします。帰国後も、以前より積極的に周囲の人に話しかけるようになりました。

 自分からコミュニケーションを取らざるを得ない環境に身を置くことは、バックパック旅の醍醐味かもしれません。雑多な雰囲気が好きで、これまでアジアを旅してきましたが、次はヨーロッパにも行ってみたいです。

 私たちが最初に訪れたのは、フィリピン屈指の人気観光地、セブです。美しいビーチや大型ショッピングモールが有名ですが、プログラムでは、マンゴー加工工場や現地の小学校、フェアトレードカンパニーなどを訪問しました。

 セブには、SNSで見るような華やかなリゾート地のイメージを持っていましたが、観光地からそう遠くない場所には貧困地域もありました。特に印象に残ったのが、墓地で生活する人々です。フィリピンのお墓は石棺を覆うコンクリート製の建物になっており、住む場所のない人たちが、墓地の所有者の許可を得てそこで生活しています。墓地全体が一つのコミュニティになっていて、日本では想像もできない暮らしがあることに衝撃を受けました。一方で、そこで暮らす人たちの明るさも印象的でした。子どもたちは歌やダンスで私たちを歓迎してくれて、フィリピンの人たちのフレンドリーさを感じました。

 ダバオでは、児童養護施設「HOUSE OF JOY」に3日間ボランティアスタッフとして滞在。そこで暮らす子どもたちとバスケットボールやゲームをしたり、休日には一緒にビーチへ行ったりして交流しました。

 さまざまな事情から親元を離れて暮らしている子どもたちですが、みんな元気いっぱい。毎日一緒に遊んでいると、こちらの体力が追いつかないほどでした(笑)。
 滞在最終日には、別れを惜しんで涙を流す子もいて、短い期間でしたが、とても心に残る経験になりました。

 今回の実習では、衛生環境や教育制度、家族のあり方など、日本とは異なる暮らしや社会の仕組みに触れることができました。観光旅行ではなかなか知ることのできない、フィリピンが抱えるさまざまな社会課題を、自分の目で見て、肌で感じられたことは大きな経験となりました。

 電気や水道の整備された街に住み、大学で勉強できる。日本で不自由なく暮らせることのありがたさを改めて感じました。一方で、生まれた地域や環境によって、十分な教育や適切な衛生環境を得られない人がいることは、大きな社会問題だと感じました。私は政策創造学部で学んでいるので、今回見聞きしたことをきっかけに、社会課題についてこれからもさまざまな角度から考えていきたいです。社会を大きく変えることは簡単ではありませんが、まずは、自分がフィリピンで見たことや感じたことを周囲に伝え、少しでも関心を持つ人を増やしていきたいです。

 初めての海外、そして3週間の短期留学ということで、最初はとても緊張していました。食事があまり口に合わず、少しホームシックになったこともありました。
 そんな中、うれしかったのが現地の人たちの温かさです。滞在先の寮ではよくピザが振る舞われたのですが、「チーズが苦手」と現地の学生に伝えると、わざわざチーズ抜きのピザを用意してくれました。

 街の人にも助けてもらいました。初めて訪れたスーパーで、ショッピングカートの取り出し方がわからず困っていると、近くにいた方が代わりに取り出してくれました。カートを使うにはデポジット(預かり金)として1ドルコインが必要だったのですが、その方が代わりに支払ってくれていたことを後から知り、人の優しさを感じました。

 プログラムは、午前中が英語の授業、午後はさまざまなアクティビティという内容でした。日本人だけでなく、韓国やポーランドからの留学生もいて、一緒に学び、寮で生活しました。最初は「正しい文法で話さなければ」と考えてしまい、一言発するにも勇気が必要でした。でも実際に話してみると、文法や発音が完璧でなくても意外と伝わることが多く、何より大切なのは「伝えようとする気持ち」なのだと気づきました。

 それからは、間違いを恐れず自分から質問したり話しかけたりするようになりました。先生から「授業でもよく質問していたね」と褒めていただきました。授業以外でも、お土産を交換したり、出かけた場所について話したりするうちに、留学生同士の交流が自然と深まりました。ちなみに、日本から持っていった「おにぎりせんべい」はとても好評でした!

 午後のアクティビティでは、さまざまな観光地や博物館を巡りました。特に印象に残っているのが、北米有数のマウンテンリゾート、ウィスラーです。ウィスラー山とブラッコム山という二つの山を結ぶゴンドラは、谷底からの高さが400メートル以上。乗車料金は日本円で1万円以上と聞き、「こんなにするんだ!」と驚きました(笑)。でもその甲斐あって、山頂に雪の残る山々が広がり、そのスケールの大きさに圧倒されました。また、先住民の歩みについて学んだり、博物館を訪れたりと、カナダの歴史や文化に触れられたことも印象に残っています。

 留学前は、初めての海外ということもあり不安もあったのですが、3週間を過ごすうちに、英語で人と話すことがどんどん楽しくなっていきました。最終日、別れを惜しんで涙する現地の学生を見たときには、私も「もっとここにいたい」と思ったほどです。

 「完璧に話せなくても、まず伝えてみる」。そう思えるようになったことが、今回の留学での一番大きな変化かもしれません。今後はTOEICにも挑戦して、もっと英語でコミュニケーションを取れるようになりたいです。そして次は、冬のカナダにも行ってみたいです!

 グローバルキャンパストライアル(OSIPプログラム)では、午前中は授業、午後は比較的自由に行動できました。限られた時間を有意義に過ごせるよう、参加者8人で出発前から何度か集まり、フランスで行きたい場所を相談していました。凱旋門、エッフェル塔、ルーヴル美術館、シャンゼリゼ通りなど、約2週間の留学中にパリ市内や近郊の定番スポットを幅広く巡ることができました。

 中でも印象に残っているのが、ヴェルサイユ宮殿です。フランス絶対王政を象徴する建物のスケールには圧倒されましたし、庭園もバスに乗らないと回りきれないほどの広さでした。ルイ14世やマリー・アントワネットなど、教科書で学んだフランスの歴史の舞台に実際に立っていると思うと、とても感慨深かったです。ルーヴル美術館でも、特にフランス革命を描いた作品に心奪われました。

 今回の留学では、実際のフランス社会やビジネスについて知ることも自身の目的の一つにしていました。

 そこで、個人行動の時間には、日本の大手食品企業のパリ拠点で働く日本人の方に事前にアポイントを取り、お話を伺いました。ビジネスの視点から見たパリという市場や商業文化、現地での営業スタイルや仕事の進め方など、授業だけでは聞けない話がとても参考になりました。さらに、パリに本拠地を置くグローバルメガバンク「BNPパリバ」を訪問し、行員の方から銀行制度や金融についてお話を伺いました。日本との違いについて自分でも調べ、その内容をレポートにまとめ、授業でプレゼンテーションしました。

 また、フレグランスメゾンや、ファッションブランドのパリ本店を巡ったことも印象に残っています。内装や接客など、一流ブランドならではの世界観に触れられたことは、普段の生活では得られない貴重な経験になりました。

 今回の留学では、自由時間も単に観光するだけでなく、訪れた建築や芸術作品、ファッションブランドなどについて、その背景まで調べることを意識していました。実際に現地を訪れると、事前に知っていた場所やものでも、歴史や文化的な背景を知ることで見え方が変わることがありました。

 また、現地で働く人に話を聞いたことで、歴史や文化だけでなく、金融制度やビジネス、社会の仕組みにも触れることができました。フランスという国をさまざまな角度から知ることができ、視野が広がったと感じています。今回の経験を通して、気になったことをそのままにせず、自分で調べたり、人に話を聞いたりして学ぶ姿勢の大切さも実感しました。今後、韓国やアメリカへの旅行も予定しているので、各地で見識を広げたいと思います。

当たり前」を問い直して、自分の世界を広げよう

 「行ってみたい」「現地の人と話してみたい」。出発前の学生たちの言葉から、そんな素直な好奇心が伝わってきました。海外へ踏み出すきっかけは、まずは身近な関心で十分なのだと思います。
 私自身も学生時代に米国の大学で学び、その後、日本の大学院へ進学しました。同じ課題について話していても、友人たちが自分とは異なる視点に注目していることに驚き、その背景にある経験や考え方を知ることで、自分の見方も数ある見方の一つに過ぎないことに気づきました。海外で学ぶ意義の一つは、自分にとっての「当たり前」を問い直せることです。新しい視点との出会いは、自分の世界を大きく広げてくれます。
 語学についても、最初から完璧を目指す必要はありません。「もっと知りたい」「自分の考えを伝えたい」という思いこそが、学び続ける力になります。うまく伝わらなかった経験も、次に向けた大切な学びです。
 帰国後は、楽しかったことだけでなく、驚いたことや戸惑ったことも含めて誰かと共有してみてください。経験を言葉にすることで、自身の変化や成長に気付けるはずです。海外で生まれた小さな問いを、これからの学びや人生につなげてほしいと思います。

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