千里山キャンパスには、関西学院大学のヴォーリズ建築や立教大学の本館のような象徴する顔がありません。その理由は、正門から凛風館を抜け裏門へと通じる道路が吹田市道であるため、キャンパスは閉じることなく、その軸線に沿った構成になっているからです。一つの何かがシンボルになるのではなく、地形で分かれながら学部単位で「街」を構成し、「街」が集まって「都市」ができているのです。また、バブル崩壊後、建築に強烈な象徴性を求めなくなったことや、コロナ禍の影響を受け、悠久の庭のような公園や広場での過ごし方が上手になったことも大きいでしょう。学生の声は建築やモニュメントだけでなく、一人一人にとって愛着のある、居心地の良いオープンスペースが大切になり始めている今の世相を反映しており、有だけでなく無に、複数かつ強くないランドマークがシンボルになる可能性がありそうです。それらが「街角」をつくり、学生や地域住民の振る舞いという風景が関大らしさであるといえるでしょう。
個人的に好きな高槻ミューズキャンパスの設備は「エレベーター」です。6基あり、広々としているので、ぎゅうぎゅう詰めになることがほとんどなく気に入っています。さっきまで受けていた授業の担当教授と私だけになって、妙に緊張してしまうこともあります(笑)。