


















































座談会メンバー
学生氏名の代わりにニックネームを掲載しています。
フィーカさん/文学部4年次生

ぺんさん/社会学部 4年次生
リョウさん/理工学研究科 修士2年次生

ねここさん/ビジネスデータサイエンス学部 1年次生

小学生の頃に「シートン動物記 オオカミ王ロボ」を読んで、「オオカミってなんて魅力的な動物なんだろう!」と感動したことがきっかけです。大学生になって留学先にスウェーデンを選んだ理由の一つも、「オオカミが生息しているから」でした。留学中に訪れた動物園で見た、自然に近い状態のオオカミの姿は一生忘れることができません。
大学1年次生の頃、たまたまお店で見かけたレインコート姿のちいかわのマスコットに一目惚れ。そこから原作であるSNSの投稿を読み始め、かわいらしい見た目に反したシビアなストーリーや世界観にも惹かれるようになりました。
私は元々趣味で野球観戦をしており、2021年のリーグ優勝を機にオリックス・バファローズに注目するようになりました。自分の中で毎年推しの選手を決めているのですが、今期は若手ながらも完成度の高いバッティングをする、太田椋選手推しです! 積極的に応援するために、観戦時は応援団と一緒に熱くなれる外野席を選び、ファンの方たちと一体となって大声を出しています。
私は推しがふたつありまして......。ひとつめの「はなまるおばけ」は、サンリオの新キャラクターを決めるプロジェクトで見かけた時から「かわいいな」と思っていました。そのプロジェクトで1位となり正式デビューしたことから、私の推しキャラにしようと決めて、友人に紹介するなど布教活動をしています。ふたつめの「Crazy Racoon」は、プロゲーマーのチームです。元々私はゲームが好きで、実況動画などを見ているうちにCrazy Racoonの存在を知り、ファンになりました。
私もゲームが好きなので、もうひとつの「推し」、ゲームグッズを持ってきても良かったな(笑)。
オオカミが推しになってから、私の中に「オオカミセンサー」のようなものが生まれました。オオカミという文字や写真、グッズを見かけると、見逃さずにピピッと反応してしまうのです。このセンサーがあることで毎日が楽しくなりました。
推しセンサー、わかります!!私も「ちいかわ」の文字につい反応しちゃいます。ほかの変化というと、私はこれまでSNSで写真投稿などするタイプではなかったのですが、ちいかわのぬいぐるみを持ち歩き、お出かけ先で写真を撮るようになりました。そのおかげで思い出が形に残せるようになりましたし、SNSに投稿するとちいかわ好きの方が反応してくれて、新しい交流が生まれたりしています。
一緒に楽しめる仲間がいるといいですよね。私は友人を野球観戦によく誘うので、自然と周りがオリックスファンになっています。また自分自身の変化としては、日々のストレスを野球観戦で発散できるようになりました。ただ勝ち負けによってその日の気分が左右されることには、少し困っていますね(笑)。
推しの影響、受けちゃいますよね。
困ることといえば、グッズ購入やイベント参加など推し活にかかる費用です。バイト代が推し活に消えるので、なかなか貯金ができませんね...(笑)。でも推しがあることで、交友関係や自分の興味の幅が広がります。Crazy Racoonに韓国人メンバーがいるのですが、私はその影響で韓国語の勉強を始めました。
それは私と違っていい影響ですね(笑)。
私は卒業後大学院へ進学するのですが、オオカミの研究を続け、研究者となることが目標です。だからオオカミは推しであり、生きる目的でもあります。例えば動物園へ行くにしても、「これ研究にしたら面白そうだな」「こういうことってどうなんだろう」など、次々と頭に研究テーマが浮かんでくるので、推し活=研究のようなところがありますね。
「推し活」が「研究」に...!
私にとって、ちいかわは「良き隣人」です。ちいかわが苦境や困難に立ち向かう姿勢に共感し、励まされます。だからこそ推し活を通して、ちいかわと一緒に人生を歩んでいるような感覚があります。
なるほど。私の場合は、推し活と学業は全く別ジャンルなので、推し活をするときはとことんそれを楽しみます。勉強や仕事にはグッと集中して取り組み、趣味の野球観戦では開放・発散するようなメリハリのつけ方は、社会人になってからも役立つんじゃないかなと思っています。
確かに、自分の日常と対比するようなところが、推しにはありますね。私にとってはなまるおばけは、自分を認めてくれる「光」のような存在で、Crazy Racoonは、こんな風にゲームが上手くなりたいなという「憧れ」の存在です。具体的な将来の進路は考え中ですが、ゲームに関わる仕事にとても興味を持っています。
あの、実は私ゲーム会社に内定していて、卒業後はゲーム業界に進むので、もし何か気になることがあれば聞いてください。
え、そうだったんですね。ぜひお話し聞かせてください!
推しのジャンルも推し活のスタイルも異なる4人による座談会でしたが、
互いに共感する場面も多く、終始和やかな雰囲気に包まれました。
推し活が、参加者それぞれの日常に自然に溶け込み、生活の一部、あるいは中心となっていることが印象的でした。
アンケート実施期間:2025年11月19日〜11月30日
回答者数:関西大学大学生・大学院生 158人
データ分析:ビジネスデータサイエンス学部・向真央 准教授

まず「推しがいるかどうか」をたずねたところ、推しが「いる」と答えた学生は75.9%と、全回答者の約4分の3を占めました。男女別では、男性70.0%、女性78.7%で、いずれも「推しがいる」が多数派です。この結果から、『推し活』は一部の人の趣味ではなく、多くの関大生の日常に根づいた身近な文化であることが分かります。


次に「何を推しているのか」を見ると、1位は「アイドル・アーティスト」(44.9%)で、関大生の推し活は音楽・ステージ系が中心であることが分かりました。続いて「二次元」(24.1%)、「VTuber・配信者」(11.4%)が上位に並びます。一方で、「俳優・声優」(8.9%)や「スポーツ選手」(7.0%)も一定数おり、推しは決して一種類ではありません。
この結果から、推しのジャンルは多様でありつつも、「アイドル・アーティスト」「二次元」「VTuber」の三分野が、関大生の推し活の軸となっていることがうかがえます。


推し活に費やす時間(週平均)は「2〜4時間」が最多で、関大生の多くは日常の中で無理なく推し活を楽しんでいることが分かりました。一方で、「15時間以上」と答えた学生も一定数おり、推し活への熱量には幅があることがうかがえます。
次に、推し活にかける月平均の費用を見ると、「3,000〜6,999円」が最多で、全体としては低〜中コストで楽しむ学生が多い傾向にあります。一方、「15,000円以上」と答えた学生も一定数おり、推し活にしっかり投資する層の存在も見えてきました。
イベント参加頻度(過去6か月)は「1回」「2〜3回」が中心で、たまに現地参加する層が多い結果となりました。一方、イベントに参加しない学生も一定数おり、配信やSNSなど多様な形で推し活を楽しんでいる様子がうかがえます。また、参加回数が多いアクティブな層も存在しており、関大生の推し活には幅広いスタイルが共存していることが分かりました。


最後に、『推し活』の程度(推し度)と大学生活の満足度との関係を分析しました。「推し度」は、①推しに費やす時間、②推し活の費用、③イベント参加頻度の3項目をスコア化し、合計した指標です。「大学生活の満足度」は、「生活面」と「学習面」の2項目をそれぞれ1〜5で評価し、その合計(2〜10)で算出しました。この指標は数値が高いほど大学生活全体への満足度が高いことを示します。
推しがいる学生を「低推し度」「高推し度」に分け、「推しなし」を含めて満足度を比較したところ、高推し度の学生が最も高い結果となりました。推しがいるだけでは大きな差は見られませんが、推し活に積極的に取り組むほど、大学生活の満足度も高まる傾向がうかがえます。
この結果だけで、推し活が満足度を高めると断定はできませんが、推し活が日々の楽しみや人とのつながりを生み、大学生活を前向きにする要因になっている可能性は示唆されます。推し活は、関大生の生活を支える一つの力になっているのかもしれません。
「推し活」から垣間見る関大生の豊かな個性とエネルギー
本特集では、「推し活」を単なる趣味の枠に収めず、学びや人間関係、進路、さらには自己形成へと広がる営みとして、多角的に取り上げました。
座談会では、幼少期の「推し」との偶然の出会いが、やがて価値観や進路選択にまで影響していくプロセスが具体的なエピソードを通して語られ、「推し」が将来へのエネルギーとなり得ることが浮き彫りになりました。
アンケート調査では、関大生の推し活の実態をデータサイエンスの視点から分析。関大生がどのような「推し」を持ち、どれほど推し活を行い、それが学生生活とどのように結びついているのかを可視化しました。また、アーティストやキャラクターのみならず、「アルバイト先の先輩」といったごく身近な存在を推す学生から「推しは学問」と語るストイックな学生まで、その姿は実に多彩で、関大生の豊かな個性も垣間見ることができました。
本特集が、皆さんにとって日々の生活の充実や心の豊かさを見つめ直すきっかけとなれば幸いです。