コクヨの社員が実際にオフィスで働いている様子をお客様に見学していただくのがライブオフィスです。面積は2フロアで約1600㎡あり、グループ会社を含め、営業や設計を担当する約400人の社員が勤務しています。以前は1つのフロアをオフィス家具などのショールームとして使っていましたが、2025年にリニューアルした際にショールームのエリアは縮小し、ライブオフィスのエリアを拡張しました。モノではなく、コクヨの働き方やオフィス運用を見ていただくようにしたわけです。



















































働く関大人
オフィスづくりを通し、企業文化を変えるお手伝い
文具・オフィス家具メーカー/営業職
大阪の新たなビジネス拠点として注目されるグランフロント大阪。その一角にコクヨの「梅田ライブオフィス」があります。柳田亮太さんはこのライブオフィスを舞台に法人営業部門の一員として、企業にオフィスづくりの提案や働き方のコンサルティングをしています。オフィスのあり方が問われる時代に柳田さんが目指すものは—。
コクヨの社員が実際にオフィスで働いている様子をお客様に見学していただくのがライブオフィスです。面積は2フロアで約1600㎡あり、グループ会社を含め、営業や設計を担当する約400人の社員が勤務しています。以前は1つのフロアをオフィス家具などのショールームとして使っていましたが、2025年にリニューアルした際にショールームのエリアは縮小し、ライブオフィスのエリアを拡張しました。モノではなく、コクヨの働き方やオフィス運用を見ていただくようにしたわけです。
仕事の内容や目的に合わせて従業員が働く場所や時間を選ぶ、「ABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)」という働き方です。梅田ライブオフィスはいわゆるフリーアドレスで、決まった座席はありません。社員は「ソロワークはテーブルで」「打ち合わせならソファで」「ウェブ会議は電話ボックス型ブースで」というように業務内容に応じて働く場所を変えます。1日中会社にいても同じ席に座っていることがなく、社内のさまざまな場所で仕事をしています。在宅勤務をしている社員も多く、出社率は6割ほど。もともと座席数が定員の7割分くらいしかないのです。ここではコクヨとグループ6社の社員が働いていますが、会社ごとにエリアを分けず、仕切りもありません。基本はオープンです。その方が、風通しがよく、社内のコミュニケーションが取りやすいからです。会議や打ち合わせも仕切りのない場所で行います。
筒抜けでいいんです。たまたま通りかかった社員が会議のやりとりを耳にして「それは私がサポートできます」「この案件は昔やったことがあるよ」と声を掛けてくれることがよくあります。そのメリットは大きいと思います。一方で、クローズドな部屋もあり、人事など機密が求められる会議はそこを使います。2つあるフロアのうち1つは「共創フロア」といって、お客様も仕事で利用していただくことができます。社外の人も含め飲食を楽しみながら情報交換を行うための、バーカウンターのようなコーナーもあります。
一時は「オフィス不要論」も叫ばれましたが、コロナが終息すると「やはりリアルに話がしたい」とオフィスに人が戻ってきました。とはいえ、以前のようなぎゅうぎゅう詰めの職場にはしたくない。それでオフィスの移転やリニューアルを検討する会社が増えてきました。でも、僕がいきなり「ABWはどうですか?」と提案してもお客様は働くイメージが湧きづらく、ハードルは高い。そこでお客様に1週間ほど共創フロアで実際に仕事をしてもらい、コクヨの働き方を体験していただくわけです。
おもに金融業界を担当しています。金融機関はとくにセキュリティーを重視されます。「フリーアドレスだと部下の管理に目が届いない」という人も多い。一方、「金利のある世界」になり、金融業界は今、人材獲得に積極的です。そうすると「昔ながらのオフィスに若い人が魅力を感じてくれるのか」という疑問も出てきます。どんな仕掛けを施せば、会社が目指す姿や方向性にオフィスが寄与できるのか。そんな議論をお客様と重ねながら営業をしています。
ある銀行に完全なフリーアドレスではなく、グループ内で自由に席を替えられるオフィスを提案し、採用していただきました。リニューアル後、「従業員の満足度があがったよ」と言っていただいたのは、うれしかったですね。
商社やメーカーを対象に志望企業を探していて、「面白そうな会社だな」と思ったのがコクヨでした。「家具や文房具が好きだから...」という理由ではありません(笑)。
コクヨは業界大手で、今年で創業120年という歴史のある企業です。しかし、これまでの勝ちパターンに安住するのではなく、「次の100年は自分たちで作っていくんだ」という強い思いを感じ、「こういう変革の時代に関わることができれば面白いんじゃないか」と思いました。
また、コクヨは「働く・学ぶ・暮らす」の3つを事業領域にしています。「働く」はオフィス家具、「学ぶ」は文具ですが、実はインテリアショップの「ACTUS」もコクヨが運営しています。これが「暮らす」です。子どもから社会人、お年寄りまで幅広い年齢層がお客様で、「世の中にお役に立てる領域が広い会社だ」と感じました。この2点がコクヨを志望した理由です。
「実験カルチャー」を大事にしている会社ですね。お客様よりも先にいろいろなことを社内で試してみる。そして、うまくいったことだけでなく、失敗したことも包み隠さずお客様にお伝えする。これがコクヨの文化です。
以前、本社(大阪市東成区)などで犬や猫と一緒に働く実験をしたことがあります。「社員の癒しになるのでは」と考えたからです。動物アレルギーや臭いの問題などがあって結局やめたのですが、今は代わりに「LOVOT(らぼっと)」という小さなロボットがオフィス内をぐるぐる回っています。
コクヨは1905(明治38)年、黒田善太郎が大阪市西区で創業。その後、文具、オフィス家具、通販へと事業を拡大しました。「Campus(キャンパス)ノート」は代表的な商品で、1975~2024年の50年間で累計約37億冊を販売。2026年4月には東成区の本社をグランフロントに隣接するグラングリーン大阪に移転する予定です。
2012年に入社し、最初は法人向けのオフィス用品通信販売事業「カウネット」の営業を担当しました。購買プラットフォームを通じた間接材の調達は、大手企業さんが相手だと非常に大きなプロジェクトとなり、総務以外に情報システムや経理などさまざまな部門の担当者とも協議しなければなりません。打ち合わせで聞くのは経理やシステムの専門用語で、最初は全然わかりませんでした。でも、営業としてお客様に提案する以上は、こちらがプロとして理解する必要がある。勉強しなければならないことが多く、会話に追いつけるようになるまで結構苦労しましたね。
購買システムの構築では相手先の企業に入り込まなければなりません。「売る側」と「買う側」という関係を超えて、「この会社をどうしていくのか」といったことも議論します。プロジェクトが終わると「一緒にやり遂げた」という達成感がありました。担当者の方に「社員並みにうちの社内事情を知っていますね」と言われた時は、仲間として認めてもらったようでうれしかったですね。僕は2年前に法人営業部門に異動しましたが、こうした喜びはオフィス空間事業でも感じます。これが営業のやりがいかなと思います。
僕たちはメーカーとしてオフィス家具や文房具を売っていますが、それはあくまでコクヨの価値を届ける手段の一つであって、お客様が企業文化や働き方を変えるためのお手伝いをしているという意識があります。実際、オフィスが変わると社員の満足度が向上し、雰囲気も変わります。これはコクヨが実験カルチャーでいろいろやって僕たち自身が実感していることです。
今まで企業はオフィスを「コスト」と捉え、なるべく費用を抑えて限られた面積に効率よく人を収めることを求めていた。でも、これからは経営が目指す「会社の新しい姿」を社員が体験できる場所になると思います。今後も新しいオフィスや新しい働き方を提案して、お客様のお役に立ちたいですね。
それとコクヨは今、海外での事業展開を積極的に進めており、現在15%の海外売上高比率を30%に拡大する計画です。このチャンスを生かし、海外勤務に一度は挑戦してみたいと考えています。
「モ・バコ」という社内用の持ち運びバッグです。オフィスには個人用ロッカーがないので、社員はこの「モ・バコ」に私物を入れて社内を持ち歩いています。私はパソコンやタブレット端末、通路幅などを計測するメジャーなどを入れています。データーはすべてデジタルで保存し、お客様からいただいた紙の図面などはすぐにスキャンします。だから書類はほとんどありません。社員は「モ・バコ」を2つまで社内に置くことができますが、私は1つしか使っていません。筆記具やノートもほとんど使いません。文具メーカーの社員としては矛盾しているかもしれませんね(笑)。
9:30 出社
10:00 社内で打ち合わせやソロワーク
12:00 昼休み
13:30 お客様を訪問
15:00 街中のシェアオフィスで作業
16:00 お客様を訪問
17:00 会社に戻る
18:30 退社
休日は、2歳の息子と出かけたり、遊んだりするのが最大のリフレッシュ法ですね。それと月に1回くらい平日に休みを取り、映画を見た後、サウナに行きます。映画とサウナがいいのは、携帯に電話がかかってきても物理的に出られないこと。基本的に「休みの日は仕事をしない」と決めています。会社もそれを推奨していますから。映画のジャンルにこだわりはなく、その時々に話題となっている作品を鑑賞します。2025年に観た映画では『国宝』が面白かったですね。最近編み出した休み方ですが、最高です。