働く関大人 人気の大手広告会社 採用される決め手になったのは? 広告業/営業職
株式会社博報堂
鍵屋 彩花(かぎや あやか)さん 

 華やかでクリエイティブなイメージがある広告業界。特に大手広告会社は、学生の就職先として常に人気企業ランキングの上位に名を連ねています。鍵屋彩花さんは2020年、株式会社博報堂DYメディアパートナーズ(現博報堂)に入社。取材当時は関西支社(大阪市北区)のテレビラジオビジネス推進部で働いています。彼女が採用を勝ち取った決め手は何だったのでしょうか。

放送局の「資産」を活用し、新しいビジネスを提案

—広告会社は、どのような仕事をする会社なのでしょうか?

 テレビや新聞、雑誌といったメディアの力を活用して、企業の製品やブランドイメージを生活者に伝える。これが広告会社の仕事のひとつですが、その手法は時代とともに多様化しています。CMの制作や企業のブランドイメージの構築に加え、近年は商品開発のサポートといった「非広告」の領域にも業務が広がっています。

—鍵屋さんの具体的な業務について教えてください。

 私はテレビラジオビジネス推進部で、主に新規事業開発を担当しています。最近はテレビ局・ラジオ局を取り巻く環境が大きく変化する中で、従来の広告ビジネスに加え、新たな収益の柱を模索する動きが活発になっています。そこで私たちは、放送局さんが持つ「資産」を活用し、広告以外で収益を生み出すビジネスモデルを構築するのが主な業務です。このほか、イベントへの出資も担当しています。

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2024年の日本全体の広告費は7兆6,730億円と、3年連続で過去最高を記録した。このうち新聞・雑誌・テレビ・ラジオの「マスコミ4媒体」は合計2兆3,363億円で全体の30.4%。一方、インターネット広告費は3兆6,517億円で47.6%を占め、マスコミ4媒体を上回った。

—確かに、最近は若者のテレビ離れ・ラジオ離れが進んでいると言われていますね。

 ラジオ局には素晴らしいコンテンツと熱心なファンがいますが、その魅力がなかなか広がりにくい現状があります。ラジオを聞いたことがない、という人も今の時代、珍しくはないように思います。
 ただ、ラジオにはSNSと共通点があると感じています。テレビは一方向で情報を伝える傾向が強いですが、ラジオには双方向性があり、ラジオパーソナリティとリスナーとの距離が近い。これはSNSのインフルエンサーとフォロワーの関係に似ていますよね。「一人で楽しむ」という点でも共通しており、この特性に着目してSNSを活用したビジネスプランをラジオ局に提案し、すでにご相談をいただいています。テレビについても、コンテンツをデジタルに展開する事業などを構想中です。

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—入社以来、ずっと現在の部署にいらっしゃるのですか?

 入社1年目は東京本社で勤務し、関西支社に配属されたのは2021年4月です。当時は民放キー局とその系列局を担当し、CM枠の販売を行っていました。その後、夫がニューヨークでMBA(経営学修士)を取得することになり、私自身も海外生活を体験してみたいと考えて同行したので、2年ほど休職しました。

251021_kt_work12.png ニューヨーク在住時 美術館での一コマ

スポンサーと放送局にどんなメリットを提案できるか

—仕事で大変なこと、心がけていることは?

 新規事業の成功率は「千三つ」(1000のアイデアのうち実現するのは3つ)と言われるほど、収益につながるポイントを見つけるのは簡単ではありません。スポンサーと放送局をただ結びつけるだけではなく、博報堂が間に入ることで双方にどんなメリットを提供できるかを常に意識しています。

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—今後挑戦してみたいことはありますか?

 現在(取材当時)はメディアを担当していますが、将来はスポンサーと向き合う仕事にも携わりたいと考えています。広告以外の領域にも関わり、課題を抱えるクライアントに解決策を提案できるよう、自分の引き出しを増やしていきたいですね。

両親の姿に憧れて 記念受験から内定をつかむまで

—広告代理店会社を志望した理由を教えてください。

 両親が広告業界で働いており、楽しそうに仕事をしている姿を見て興味を持つようになりました。私は関西大学と高大連携をしている大阪府立大阪ビジネスフロンティア高等学校の出身なのですが、高校・大学を通してマーケティングを学んだことで、プランを考える仕事に惹かれましたね。広告業界の厳しさも理解していましたが、就職活動で自己分析を進めるうちに「やっぱり広告会社で働きたい」と強く感じました。

—就職先として大手広告会社は非常に人気がありますが、内定の決め手は何だったと思いますか?

 正直にお伝えすると、内定をもらえる自信があったわけではなく、当時は記念受験のつもりで博報堂DYメディアパートナーズ(現博報堂)に応募しました。入社後、人事担当者から「協調性やロジカルな思考力がよかった」と言われましたが、特に自身の強みとして意識はしていませんでした。広告会社はいわゆる製品というものがなく、"人"が一番の資産です。現在、実際に勤務している立場としては、「一緒に働いてみたい」と思われる人材かどうかが重視されているのではと感じています。

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—広告会社と聞くと、体育会系の方が多いイメージがあります。

 「めっちゃ体育会系!」という人もいますが、最近はデータサイエンス領域の新卒採用枠もあり、システム開発やデータ分析に携わる理系出身の社員も増えていて人材の多様化を感じてます。

人としての魅力を磨く 1、2年次生はまず大学生活を楽しんで!

—大学時代に打ち込んだことはありますか?

 アルバイトに明け暮れていました。焼肉店や洋食店、焼鳥店など飲食業界だけでも5軒ほど経験。百貨店の化粧品販売やイベントスタッフも務めました。ある会社で地方自治体のイメージガール募集を担当した際には、応募が集まらなかったため「ネット広告を出してみては」と提案したこともありました。

—まさに広告会社の仕事ですね!

 任せてもらったものの、いざやってみるとうまく運用できず、広告費ばかりが嵩んで焦りました(笑)。

—広告業界を目指す後輩にメッセージをお願いします。

 昨年秋、関大卒業生が在学生に経験を語る「関西大学マスコミ人会OB・OGキャリア相談会」に参加した際、1・2年次の学生が早くも就職活動について心配している姿に驚きました。気持ちはわかりますが、まずは大学生活を存分に楽しんでほしいと思います。旅行に行ったり、興味のある研究に没頭したり、友達と時間を気にせず遊んだり、今自分の好奇心が赴くまま学生時代を謳歌してもらいたいです。それが出来るのは大学生の特権だと思います。しかできないことです。企業は、大学卒業後に即戦力となる人材を求めているわけではありません。学生時代には、さまざまな経験を通して人間的な魅力を磨くことを大切にしてほしいと思います。

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教えて!働く関大人

必須アイテム

 一番は名刺ですね。アポイントなしで放送局などの知人を訪ね、不在の場合は名刺にメッセージを書いて預けてくるということもありますです。入社直後は関大の卒業記念でもらった校名入りの名刺入れを使用していましたが、現在は夫からプレゼントされた名刺入れを愛用しています。

ある1日のスケジュール

  9:30 出社、メールなどをチェック
 10:00 打ち合わせ
 12:00 昼食
 13:00 打ち合わせ
 17:30 退勤

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リフレッシュ方法

 週末には、スーパー銭湯や昔ながらの銭湯に行って気分転換をしています。時間があるときはサーフィンや旅行に出かけたりもしますね。サーフィンは高校1年生から続けているんですよ。

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広告業/営業職
株式会社博報堂
鍵屋 彩花(かぎや あやか)さん

2020年商学部卒
大阪府立ビジネスフロンティア高等学校出身