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藤澤黄坡 「秋園雜詠」七言絶句(泊園記念会蔵)
雁語蟲聲入仲秋 雁語虫声 仲秋に入る
林庭無物解新愁 林庭物無くして 新愁を解く
只由茉莉殘花在 只だ茉莉の残花の在るに由り
灌水課程猶未休 灌水の課程 猶お未だ休めず
秋園雜詠 黃坡章
(関防印)高櫟 (印記)藤澤章印 字士明
雁の鳴き交わす声と虫の鳴き声が伝わる中秋の気節、静謐な庭は何もないからこそ日々の愁いを忘れさせてくれる。ただしジャスミン(茉莉花)の花がまだ咲き残っているために、水を流し込む作業はやめずに続けているという。黄坡らしい繊細な詩。
この詩は黄坡の還暦を祝って出された『三惜書屋初稿』(1936年刊)にも「秋園雜題」として収める。