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藤澤黄鵠 「道德由躬行積累」(関西大学総合図書館蔵)
道德由躬行積累、事功憑聖學經綸
書贈逸堂賢契 黃鵠元
道徳は躬行の積累に由り、事功は聖学の経綸に憑る
書して逸堂賢契に贈る 黄鵠元
(関防印)枯骨千金 片語九鼎 (印記)元字士亨 黃鵠
個人の道徳の蓄積と、正しい社会的活動の発揮、その双方の成就を唱える。力強い筆致は黄鵠壮年期のものと思われる。逸堂は書家の田中逸堂であろう。黄鵠は名を元造といい、中国風に「元」と一字で署名している。
関防印の「枯骨千金」は、死馬の骨を千金で買うことで真の名馬を手に入れた故事による(『戦国策』燕策)。「片語九鼎」は、一言で趙国の危機を救った毛遂の故事をふまえる(『史記』平原君虞卿列伝)。枯骨や片語も場合によっては重大な価値を持つという意味。