藤澤南岳像〔藤澤黄坡賛〕 (関西大学総合図書館蔵)

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藤澤南岳像〔藤澤黄坡賛〕 (関西大学総合図書館蔵)


   請事斯語 仰不愧天 俯不怍人

   未喪斯文 弘以済世 楽以忘老

      明治辛亥重陽、先子作此聯以述其志、今的場生得

      此像、乃爲題之

        昭和乙亥維夏    章謹題

        (関防印)三惜 (印記)章印 士明

こととせん あおいでは天にじず しては人にじず

いまぶんほろぼさざるや ひろめて以て世をすくい 楽しみて以て老いを忘る

       明治辛亥重陽、先子此の聯を作りて以て其の志を述ぶ。今、的場生

       此の像を得て、乃ち為に之に題す

         昭和乙亥維夏    あきら謹みて題す

明治辛亥(44年、1911)、南岳は古稀の際に聯句を作ってみずからの志を述べた。この写真は昭和乙亥(10年、1935)、泊園門人の的場信太郎が見出したもので、黄坡が南岳の聯句を書して識語を附し、軸装したもの。

南岳はここで、今に伝わる儒学の教え、すなわち「斯文」をみずからの任として受け継ぎ、世を救おうとする経世済民の志を述べる。

この句は越智宣哲(おち・せんてつ)による南岳墓碑にも引用されており、南岳の生涯のモットーでもあったといえよう。