【開催報告】2025年度東西学術研究所 第1回研究例会〔アートと感性・健康 東西比較研究班〕を開催しました(2025.5.13)
2025.06.02
東西学術研究所
2025年5月13日(火)11時より12時まで、高槻ミューズキャンパスのミューズホールに於いて
2025年度 東西学術研究所 第1回研究例会〔アートと感性・健康 東西比較研究班〕
「ワイン・ウォーズ:モンダヴィ事件の25年 マス・ド・ドマス・ガサックの現在
Affaire Mondavi 25 ans après Daumas Gassac d'Aujourd'hui, Basile Guibert」を開催しました。
講師は、フランス・ラングドック地方の銘醸マス・ド・ドマス・ガサックのアジア担当責任者バジル・ギベール氏、司会・通訳を研究班主幹の社会安全学部・亀井克之教授が務めました。
今回の講演は、この度、東洋出版から刊行された電子書籍オリビエ・トレス著、亀井克之・山本淑子・窪田知樹訳『ワイン・ウォーズ:モンダヴィ事件 アメリカ流グローバリゼーションとフランス流テロワール』出版記念講演会の第一弾です。この本は、2009年に関西大学出版部から刊行された『ワイン・ウォーズ:モンダヴィ事件 グローバリゼーションとテロワール』(関西大学出版部2009年)の復刻・電子版です。
ワインは世界最古の飲料である。6000年前にジョージアで初めて造られたという説があります。テロワール・土地の特性、気候、ヒト、宗教、文化、地域社会と深く結びつくワインは、東西文化、東西比較を語る上でこの上ない研究対象です。
また、ワイン造りは病害リスク、自然災害リスク、競争下の戦略リスク....まさにリスクマネジメントとリーダーシップが必要な業界です。2000年から2001年にかけて、カリフォルニアの巨人モンダヴィが南仏・ラングドック地方のアニアーヌ村への進出を計画しました。地元は、賛成派、反対派に分かれ、大騒ぎとなりましたが、結局、モンダヴィはアニアーヌ村への進出を断念しました。全世界の注目を集めたモンダヴィのラングドック地方進出失敗から25年、『ワイン・ウォーズ』日本語版2009年刊行から15年が経過しました。しかし、アメリカ流グローバリゼーションとフランス流テロワール主義との比較というテーマはまったく色褪せていません。
当時、リーダーシップを発揮して、モンダヴィ進出に真っ向から反対したのは、マス・ド・ドマス・ガサックの創業者エメ・ギベールでした。本講演会では、後継者バジル・ギベール氏を招き、マス・ド・ドマス・ガサックの沿革、ワイン造りとテロワール、アジアでのワイン販売戦略について語っていただきました。
講演は現地の写真をふんだんに交えて行われました。質疑応答では「ワイン造りは土壌が6割、気候が3割、ヒトの力が1割」というギベール氏の説明に聴講者の関心が集中し、当事者からの回答に、非常に有意義なディスカッションとなりました。まさに東西比較研究にふさわしい内容の講演会となりました。参加者は210人でした。
▲マス・ド・ドマス・ガサック創業者で、今は亡き父親のエメ・ギベール氏の写真を見せながら講演するバジル・ギベール氏