概要と沿革

研究所の概要

昭和26年3月、藤澤桓夫氏(小説家)の御意志と石濱純太郎教授の尽力によって「泊園書院」の蔵書1万6千余冊と「極東国際軍事裁判資料」が関西大学に寄贈されたことを契機として、東西学術研究所が設立されました。「泊園書院」は、江戸時代末期[文政8(1825)年]に讃岐(現在の香川県)の儒者藤澤東畡先生が大阪の淡路町で徂徠学を講じるために開かれた私塾で、藤澤南岳、藤澤黄鵠、藤澤黄坡先生と四代にわたり大阪の町人・市民の文化と教養を高めるために営まれた漢学塾でした。
同年4月「東西両洋文化の学術研究、殊に比較研究を行い世界文化の融合に貢献する」という目標を高らかに掲げて、関西大学における本格的な研究所の第1号として設立され、現在、千里山キャンパスの児島惟謙館2階にあります。
そして、当研究所はアジア研究に軸足を置きながら、広く世界を視野に入れた比較研究を展開してきており、現在、上記の設立理念を踏まえて、8研究班体制をとって幅広い研究活動を展開しています。

東西学術研究所は、①研究、調査及びその成果の発表、②研究会・講演会・シンポジウム等の開催、③研究高度化推進事業、④外国人研究者の受け入れ等の活動を行っています。研究成果は「東西学術研究所紀要」(2024年、第57輯を刊行)に所載されます。その他に、各研究者の研究成果を集大成した研究叢刊をはじめ、訳注シリーズ、資料集刊、索引シリーズ、国際共同研究シリーズ、研究叢書と、膨大な研究成果が蓄積されてきており、研究活動としては、研究例会(年10回程度)、およびシンポジウムの開催(不定期)を行っています。2007年にはグローバルCOEプログラムに採択され、5年間のプログラム終了後、研究所内に「関西大学文化交渉学研究拠点」が設置されました。

関西大学が所蔵する東アジア文化研究のための豊富なリソースを集中的にデジタル化し、開かれたアーカイヴズを構築することを目的に、文部科学省より「アジア文化研究センター」が2011年5月に5カ年の計画で選定され2016年3月をもってプロジェクトを終了し、数々の研究成果を収め、国内外において高い評価を得ました。2017年度には私立大学研究ブランディング事業に採択され、「関西大学アジア・オープン・リサーチセンター(KU-ORCAS)」が設立されました。
若手研究者の養成という観点から、「準研究員制度」を設けて大学院生の研究能力の向上に資するとともに、「非常勤研究員制度」を設けて学籍を離れてより高度の研究活動を展開している若手研究者を研究組織に組み入れて日本学術振興会科学研究費にも積極的に応募しながら研究の一層の展開を促していく体制を整えております。その他に、上記の泊園書院を顕彰するために設けられた泊園記念会は、毎年10月頃に「泊園記念講座」を開催しています。

設立の目的

東西学術研究所は、昭和26年4月「東西両洋文化の学術研究、殊に比較研究を行い世界文化の融合に貢献することを目的」として設立されました。

設立の機縁

昭和26年3月、藤澤桓夫氏(小説家)の御意志と石濱純太郎教授 の尽力によって「泊園書院」の蔵書約1万6千余冊と「極東国際軍事 裁判資料」が関西大学に寄贈されたことを契機として、東西学術研究所が設立されました。

設立時の構想

その当時関西大学理事長であった宮島綱男氏は、かねてから戦後の荒廃したキャンパスにアカデミックな研究所を創設することを念願にしておられ、これらの資料が大学に寄贈されたことが端緒となり、理事長の遠大な構想「小にしては東洋に存在する大学が東洋に関する学問を為すを以ってその一使命を全うするものであり、大にしては東洋学を経とし、西洋学を緯として是が比較研究を為し其融合を図り、以て世界人類並びに其平和に貢献せんとする」ことを具現化することができました。

研究体制

発足当初は4名の研究員が個別の研究題目を掲げて、それぞれの専門領域の研究に足跡を残しましたが、今日では、本学の専任教員が核となり学外の委嘱研究員の協力を得て、非常勤研究員、準研究員を含む研究員50名以上が共同研究に重点をおいた活動を進めております。この成果は、研究所紀要、研究叢刊、資料集刊などの各種出版物として刊行しております。また、当研究所は、中国や欧米の海外の研究所や多くの研究者と活発な研究交流を行うとともに、国際的なシンポジウムなどを開催しています。

研究所の蔵書

各研究班で必要な基本的文献を中心に辞書・辞典などの参考資料を所蔵しています。 また、当研究のテーマに関わる他大学の研究紀要などの逐次刊行物も収集しています。これらは図書館を通じて一般学生の利用にも供しています。