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自己実現に向けて
「夏への扉」を探しにいこう!

国際部長からすべての関大生へメッセージ

 アメリカのSF作家ロバート・A・ハインラインの作品の一つに『夏への扉 The Door into Summer』(1956年)という長編があります。今日のライトノベルを思わせるような軽妙な作品です。小説の主人公デイヴィスの愛猫ピートは、真冬であっても家のドアを全て試せば、必ず一つは夏へと通じていると固く信じていて、主人公に家中のドアを一つ一つ開けるようにせがみます。物語は、主人公自身が「夏への扉」を探し求めるようなストーリーが展開しますが、これ以上はネタバレですので、やめておきましょう。

 この有名な小説を持ち出したのは、関西大学にはみなさんにとっての「夏への扉」がいたるところに用意されている、ということをお伝えしたいからです。みなさんが想い描く「夏」はさまざまでしょうけれども、わたしたちがみなさんのためにあつらえたたくさんの扉の一つは、かならずみなさんの希求する「夏」に通じていると確信しています。そして扉を開けて足を踏み入れたその先には、みなさんの自己実現のための道が夏の陽光に照らされて未来に続いているはずです。

 ただし、実際の扉と同様に、前に立って扉を眺めているだけではそこに何があるのかはわかりません。大学での学びを忘れられない貴重な「夏」にするためには、まず扉を開けてみないことには何も始まらないのです。

 扉の向こうの「夏」は、灼熱の世界かも知れませんし、爽やかな風が吹く高原かも知れません。そこに見えるのは異国の街にたたずむ自分自身であったり、自分のふるさとを訪れた異邦の友であったりもするでしょう。そこにはみなさんにとってかけがえのない出会いや体験が待っているに違いありません。みなさん自身の「夏への扉」をぜひ見つけてください。

 さて、冒頭の小説に登場する猫のピート君はいつまでたっても、ドアというドアを試せば、必ずその一つは夏に通じるという確信を棄てようとしません。小説の最後は次のような主人公の言葉で結ばれます。「そしてもちろん、ぼくはピートの肩を持つ。」(福島正実訳、ハヤカワ文庫)。そして私自身も全く同意見です。