環境都市工学部

学びのスタイル

理工学研究科 環境都市工学専攻
博士課程前期課程 2年次生
西尾 弘樹

研究テーマ

SDGsの目標・ターゲット・指標間の構造分析

2030年のSDGs目標達成に向けて、効率的な取り組み方を分析する 2030年のSDGs目標達成に向けて、効率的な取り組み方を分析する

SDGsの目標、ターゲット、指標の構造を分析する研究を行っています。SDGsは2030年までの達成を目標に全世界で取り組みが進められていますが、グローバルな目標の達成には、ローカルな課題を解決していかなければなりません。そしてこれまでとの違いは、経済、社会、環境の異なる分野の課題を同時に解決していくことです。そこで、例えば1つの目標の達成に向けた取り組みを行う際、その取り組みが他の目標達成にどのような好影響または悪影響を与えるのか、その相互関係を理解し、SDGsへの効率的な取り組み方を分析するのがこの研究の目的です。そしてこの研究をもとに、どの分野に注力すればいいかの政策提案を行うことが目標です。現在は特に健康寿命延伸を中心に、健康寿命と社会的、環境的、経済的要因との関連性から仮説を立て、相関分析を行いながら1つずつ仮説を検証しています。前例が少なく、試行錯誤を繰り返しながら進めていくのは大変ですが、意義あるテーマに取り組んでいることに大きなやりがいを感じています。

行政が取り組むSDGsの達成に貢献する新規性の高い研究テーマです。

私の研究室では地球温暖化や気候変動の影響を研究する一方で、環境に関する各種計画・施策の評価を行う研究も重要と考えています。西尾さんの研究は、行政がSDGsに取り組むにあたっての明確な指標を示すことにつながり、グローバルの目標達成に貢献します。地道な調査と仮説検証を丁寧に積み上げてきているので、ぜひこの成果を明らかにしてほしいと思っています。

都市システム工学科
尾﨑 平教授

  • ※この学びのスタイルは2021年度のものです。

理工学研究科 環境都市工学専攻
博士課程前期課程1年次生
菊池 健太

研究テーマ

プラットフォームを用いた資源循環プラットフォームの提案

ブロックチェーン技術を活用した、資源の再利用を促す仕組みを提案する。 ブロックチェーン技術を活用した、資源の再利用を促す仕組みを提案する。

さまざまな分野で私たちの生活を変えていくことが期待される、ブロックチェーンについて研究しています。環境問題に関するテーマを選んだ理由は、学部在学中にヨーロッパを旅行し、現地でリサイクル・リユースを促すデポジット制度が普及しているのを目にしたことがきっかけでした。日本でもこの制度が普及すれば、使用済みのペットボトルや食品トレーを再利用する資源循環がより進むだろうと考えました。ブロックチェーンを活用してプラットフォームを構築すれば、人の手を介さずに契約を自動実行させる「スマートコントラクト」が可能なので、人件費や維持管理などのコストは下がります。その一方で、現状のリサイクル・リユースのサイクルから移行するためには、社会的な取り組みが必要になることが考えられます。まずはブロックチェーンへの理解を深めた上で、社会の課題を見据えた提案を行いたいと思います。

社会基盤を支える情報通信技術を学び、次世代ネットワークの可能性を探りましょう。

菊池さんが取り組んでいるブロックチェーンの活用提案をはじめ、情報通信技術で解決できる社会課題は非常に多岐にわたります。現代は社会の至るところに情報システムが関わっており、土木、電気、水道などのインフラ自体も情報通信技術が支えています。情報システムを学び、次世代のネットワークをつくりだし、支える人が増えることを期待しています。

都市システム工学科
安達 直世准教授

  • ※この学びのスタイルは2020年度のものです。

理工学研究科 環境都市工学専攻
博士課程前期課程 2年次生
山本 剛士

研究テーマ

粒子法を用いた海岸構造物の大変形に関する研究

安全性、景観に配慮した堤防づくりにシミュレーションを使ってアプローチ。 安全性、景観に配慮した堤防づくりにシミュレーションを使ってアプローチ。

一般に、堤防がどの程度の強さの波力で崩れるかというデータを得るためには、水槽にブロックを並べ、実際に波を当てるという大掛かりな模型実験を行います。この方法の場合、波の強さやブロックの大きさ・形状を変えた際の結果を知るには、何度も実験を繰り返す必要があるために時間がかかります。そこで私は、粒子法という計算法を用いたシミュレーションモデルを使って、条件をさまざまに変えながら、波によってブロックがどう変化するのかを調べています。この方法なら、模型を使った実験を何度も行わずに済むことに加え、モニター上でブロックが移動する様子をイメージできるため、結果を直感的に理解することも容易です。粒子法を用いたシミュレーションは歴史が浅く、模型実験と併用して研究活用されているのが現状です。しかし、今後研究を進めることで精度を上げ、将来的には安全性を備え景観にも配慮した堤防の設計が、コンピュータによる計算だけでも可能になると考えています。

海外の研究者とも切磋琢磨し、研究を先へ進める牽引役になってくれています。

波の挙動に関しては、シミュレーションモデルを使ってかなり高い精度で再現できるようになりましたが、消波ブロックなど構造物の挙動については、数値シミュレーションは発展途上です。このモデルは欧州で開発されたものですが、山本さんは開発チームや各国の研究者と協力して、精度向上に取り組んでいます。今後の進展が非常に楽しみです。

都市システム工学科
安田 誠宏准教授

  • ※この学びのスタイルは2019年度のものです。

理工学研究科 環境都市工学専攻
博士課程前期課程 2年次生
栢原 佑輔

研究テーマ

都市と川との一体性という観点から見る京都鴨川改修計画の景観設計の変遷

「京都の顔」鴨川の景観がいかにして作られてきたか。ヒアリングと資料からじっくりと掘り下げる。 「京都の顔」鴨川の景観がいかにして作られてきたか。ヒアリングと資料からじっくりと掘り下げる。

平安時代から京都の人々に愛されてきた鴨川ですが、今の景色は1987年の「鴨川改修計画」以降に作られたものです。私は、その改修計画の全容を明らかにする研究に取り組んできました。1987年は日本の河川行政における転換点であり、日本の各地で川の改修事業が進められました。鴨川においては、背後の山や植生とのつながりを重視した景観計画がスタート。資料によると、歴史に詳しい文化人や造園学の専門家、企業経営者、新聞社社員などが改修協議会に加わった点が特徴的です。また公聴会を実施し、市民の意見を広く集めたことも分かりました。多くの人々の協力の結果、伝統的な山紫水明に配慮した景観が作られ、川と都市との一体化を意図した改修事業が実現しました。研究方法としては、改修計画に関する資料を読んだ後、実際に設計や工事を担当した方、当時の京都府の担当者などに協力をいただき、数回のヒアリングを行いました。計画に携わった人々の京都らしさ、鴨川らしさに対する強い思いを感じられたことがうれしかったです。

景観研究は、未来につながる仕事。
地域に対する先人の思いを次世代に伝えることが大切です。

公共事業は安全面、費用面が重視されますが、街の質を高めるという点では景観も大切な要素です。栢原さんの研究は、鴨川の景観を行政、市民、企業が一体となって作り上げた経緯を、膨大な資料から明らかにした点が評価され、学外の研究発表会で優秀講演賞を受賞しました。今後も、何気ない景色を作り上げてきた先人の努力に思いを寄せ、研究を続けてほしいと思います。

都市システム工学科
林 倫子准教授

  • ※この学びのスタイルは2019年度のものです。

理工学研究科 環境都市工学専攻
博士課程前期課程 2年次生
小橋 昭文

研究テーマ

地域に即した震災復興対策

土木機械など復旧の要を優先して確保した上で市町村の全体像や将来像に合った震災復興対策を。 土木機械など復旧の要を優先して確保した上で市町村の全体像や将来像に合った震災復興対策を。

3年次の夏に東日本大震災の被災地を訪ね、地震が街の機能を全壊させたことを全身で感じて衝撃を受けました。それをきっかけに、救助やインフラ復旧にすぐ必要な土木建設関連をはじめ、街の機能を担う施設や機器の重要性を再認識。それらを生かした地域ごとの復旧・復興計画の必要性を痛感しました。南海トラフ地震の津波避難対策特別強化地域139市町村の面積、地形、人口、産業などを調べ、震災復興計画の課題を見つけ、地域に即した対策について研究しています。中でも過疎が進むと推定される地域では、復興の力が不足する可能性が高く、新しいまちづくりや廃棄物の処理に、近隣地域との連携が不可欠となるでしょう。そこで震災対策の中核を成す都市の市役所を訪ね、周辺市町村を支援する計画のヒアリングを実施。地域の実情に合わせた提案をまとめ、土木関連学会や国際シンポジウムで発表する機会にも恵まれました。この研究で得たことを社会に出てからも生かせるよう、常に意識を高く保ち、機会があれば行動に移せる人でありたいです。

震災復興対策を切り口にしたまちづくりなど、人々の幸せを考えて提案する人材を育成します。

公共性の高い事業に注目している人が興味をもつ学びが盛りだくさんの学科です。都市デザインコースは都市インフラ、都市環境計画コースは街全体の環境や健康、都市情報システムコースはシステムの生かし方に着目。フィールドワーク、実験、シミュレーション分析など、研究方法はさまざまです。官公庁、建設会社、コンサルティング会社、情報システム会社などからの人材ニーズがあります。

都市システム工学科
北詰 恵一 教授

  • ※この学びのスタイルは2017年度のものです。

理工学研究科 環境都市工学専攻
博士課程前期課程 2年次生
岡部 良治

研究テーマ

都市水害

地下鉄と地下街の水害メカニズムを調査、解析し、被害を示す模型で防災教育を実施しています。 地下鉄と地下街の水害メカニズムを調査、解析し、被害を示す模型で防災教育を実施しています。

都市水害というテーマのうち、特に地下鉄と地下街について研究しています。地上と地下を繋ぐ入口の幅、地下道までの深さ、連絡通路の長さ、ホームの高さなどを実測。どの入口から浸水し、水がどう広がるのか、流量やスピードなどの数値を割り出しました。研究対象は、大阪府内に存在する地下駅すべて。解析データから水害の画像シミュレーションを作成し、パソコンで確認可能にしました。実際に行って確かめたことで、乗り換えの駅が地下で繋がっているかどうかなど詳細まで把握。どの時点でどんな対策が必要になり、どこへ避難すべきかといった想定、避難経路の整備などに幅広く役立つ内容にできました。また水害による被害を軽減させるには、防災教育が欠かせません。オリジナル模型を持って小学校を訪ね、ゲリラ豪雨や津波の発生時における水流やその激しさなどについて実演。家が流される様子などで被害をわかりやすく伝え、対策についての話もします。子どもたちは興味津々で質問も多数。命を守るための研究なのだと強く実感できます。

調査、解析、防災教育まで、学生が実施。行政や企業に役立つ公共性の高い研究です。

被害の軽減を図ることを目的に、フィールド調査、解析、計算モデルの作成、防災教育などに一貫して取り組みます。既存データによる解析も可能ですが、学生自身が現地で水の流れをイメージしながら実測することで、行政や企業に役立ち、一般の方々にもよりわかりやすいシミュレーションモデルの作成が可能になります。公務員、コンサルタントなど将来の進路にも幅広く生かせます。

都市システム工学科
石垣 泰輔 教授

  • ※この学びのスタイルは2016年度のものです。

理工学研究科 環境都市工学専攻
博士課程前期課程 2年次生
井上 裕貴

研究テーマ

パイプライン管内形状の連続的な3次元画像計測

パイプラインの内部を3Dカメラでとらえ、劣化の状態をつかむ仕組みを開発中です。 パイプラインの内部を3Dカメラでとらえ、劣化の状態をつかむ仕組みを開発中です。

水や天然ガスなどを輸送するパイプラインは、重要な社会インフラの一つ。日本では大部分が高度経済成長期に設置され、現在いっせいに寿命を迎えています。パイプラインは通常、土のなかに埋められているため、管のなかのたわみや劣化の度合いがわかりにくいものです。しかし管が破裂すると、水害や事故など深刻な事態を引き起こす心配があり、適切なメンテナンスを行う必要があります。そのため、私は、3次元画像計測法を使って農業用水用パイプラインの管内の状態を効率よく調べる方法を研究しています。具体的には、家庭用ゲーム機のデバイスに付属した3Dカメラを利用し、多数の点データを取得。PC上で解析を行って、管のわずかな変形やたわみを確認しています。工夫した点は、1回の管内の撮影でどこまで撮れたかを把握するために、レーザーポインタで多色のマーカーをつけ、位置合わせを行うようにしたこと。今後も、たわみをより正確に数値化できるしくみの開発に向け、研究を続けたいと考えています。

構造物の姿をとらえ、将来を考える研究に「情報」からアプローチしています。

構造物には、設計から運用、補修というサイクルのなかで、膨大な情報が蓄積されていきます。私たちは、三次元画像計測技術を用いてそれらの情報を集め、編集し、CG技術との融合によって構造物の過去・現在を可視化したり、社会基盤の専門家とともに未来を予測したりする研究を進めています。今後は、まちの3次元データから災害のシミュレーションを行う研究にも挑戦したいですね。

都市システム工学科
安室 喜弘 准教授

  • ※この学びのスタイルは2015年度のものです。

理工学研究科 ソーシャルデザイン専攻(現 環境都市工学専攻)
博士課程前期課程 2年次生
野田 圭祐

研究テーマ

地区・街区レベルでの業種別電力需要の再現と評価

街区レベルの需要量を検証し、電力の安定供給への貢献をめざしています。 街区レベルの需要量を検証し、電力の安定供給への貢献をめざしています。

東日本大震災以降、発電所の稼働が限られるなかで問題になっているのが、ピーク時における電力の供給量と消費量の関係です。既存の発電施設の範囲で安定した電力供給を実現するには、供給側・需要側が一体となった仕組みづくりが欠かせません。そこで私が取り組んでいるのは、都市・街区単位における電力需要量の算出。住宅地、商業地、工業地など、区域ごとの1日の需要量をシミュレーションで再現し、ピーク時の分散化や平準化に役立てようというものです。現在、調査の対象にしている北九州市八幡東区は、持続可能な「スマートシティ」をめざす官民一体となった再開発プロジェクトが進み、有益なデータが得られる街。同地区には大規模な製鉄所やショッピングモールもあり、それぞれの稼働時間や営業時間を参考に、ピーク需要をいかに設定すれば良いかの想定も進んでいます。今後の目標は検証データの精度を高め、汎用性のある調査モデルを構築すること。日本各地の取り組みに役立つ研究へと発展できれば幸せです。

先進的な機能と自然との共存を念頭に、都市の根幹を担うシステムを追究しています。

低炭素型都市の実現、効率的な循環型社会の構築、環境インフラの保守と健全化を3つの柱に、都市の根幹を担うシステムや技術の研究を進めています。野田さんが行う研究は、限られた資源のなかで持続できる「スマートシティ」の実現を支えるもの。膨大な数のシミュレーションにも粘り強く取り組んでいます。今後は国際的な活躍を視野に、能力の幅を広げてほしいと思います。

都市システム工学科
盛岡 通 教授

  • ※この学びのスタイルは2014年度のものです。

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