やがて石油の供給不足が現実になるといわれ、地球環境の悪化も進行しています。これ以上の環境破壊を食い止め人類の持続的発展を維持するためには、今とは異なる新しいエネルギー体系を構築することが求められています。深刻化する地球温暖化問題に対しては、二酸化炭素の排出を最小化して、低炭素社会を構築する必要があります。そのためには省エネルギーの推進と既存エネルギーの変換効率の飛躍的向上に加えて、太陽光、風力、バイオマス、廃棄物や水素などの新エネルギーを利用する技術開発を進めていくことが重要です。本学科では、省エネルギーや新エネルギー、環境修復、環境汚染防止など、エネルギーと環境を見据えた科目を配置。1年次から多くの実験・演習を課し、身に付けた実践的な知識・技術を生かして環境負荷の少ない新システムを構築できる人材を育成します。
学びのスタイル
理工学研究科 環境都市工学専攻
博士課程前期課程 1年次生
松木 崇登
研究テーマ
炭素担持ニッケル触媒を用いた有機物水溶液の水熱ガス化
有機廃棄物などが水に溶けている廃液の処理として燃焼するためには、余分な水分を蒸発させるのに重油などの燃料が必要でした。しかし近年注目されているのが、高圧で水分を蒸発させないで、溶けた有機物をメタンなどの燃料ガスに転換する水熱ガス化プロセスです。従来の燃焼処理に必要だったエネルギーの削減と、処理中に排出される二酸化炭素の抑制を同時に実現できます。触媒を用いて廃水中の有機物を化学的に分解するこの技術は、従来の燃焼法に比べて高効率で燃料ガス化できるのですが、私はこの触媒をさらに改良する研究に取り組んでいます。高温高圧の条件下で実験を行うのですが、温度を上げるとそれだけエネルギーが多くかかってしまうため、できるだけ低い温度で高い反応率になるような触媒を作ることが目標です。何度も実験を繰り返して結果を比較し、次の実験を計画する中で、自分で考え行動する力がついてきたと感じています。
この学科を選んだ理由
中学から高校にかけて自然災害や環境問題のニュースを見る機会が多く、エネルギー問題について学びたいと思っていました。なかでも炭素資源や廃棄物の有効利用に関する研究分野に興味をもったこと、また工場生産のスケールで実際に役立つ研究ができることに魅力を感じました。
将来の目標
卒業後は大学院に進み、現在の研究についてより多くの実験を行い、考察を深める予定です。環境により良いものを作ることで社会に貢献したいと思います。
従来と同レベルの性能を発揮しつつ、環境負荷を下げる触媒の実現へ
この研究室では、バイオマスをはじめとする有機性廃棄物を炭化、ガス化、水熱処理などの転換技術によって、有用なものに転換することをめざしています。松木さんは従来の研究成果をベースにしながら、柔軟な発想で新たなアプローチを取り入れている点が素晴らしいと思います。
エネルギー環境・化学工学科
長谷川 功 准教授
- ※この学びのスタイルは2022年度のものです。
学びのキーワード
【新エネルギー】
【リサイクル】
【環境保全】
取得できる資格
所定単位を修得すると資格を取得できるもの
中学校教諭一種免許状〔理科〕
高等学校教諭一種免許状〔理科・工業〕
司書、司書教諭、学芸員、毒物劇物取扱責任者
所定単位を修得すると在学時から受験資格が得られるもの
甲種危険物取扱者
卒業時に受験資格が得られるもの
甲種消防設備士
受験できる資格
公害防止管理者
高圧ガス製造保安責任者
放射線取扱主任者
環境計量士