各種取組み

TSネットワークTA研修TA通信実践事例

TA通信第8号

学生のため、先生のために働く

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橋野勇一(外国語学部学部「フランス語」TA)

 私は、外国語学部の1年生のフランス語 (担当:菊地歌子教授) のTAを担当しています。1クラス20名弱の少人数クラスで、活発な学生が多く、教室はいつも明るい雰囲気です。ここでは、(1) 私のTAとしての活動内容と、(2) TA活動における工夫について紹介していきたいと思います。

1. 活動内容
 このクラスにおける私の仕事は主に2つあります。
1つは、授業中のグループワークの時や学生がメモを書いている時に教室を巡回して受講生からの質問に答えたり、ヒントをあげたりすることです。菊地先生の授業では、実際に使えるフランス語を身に付けることを目標としているため、授業中にペアやグループに分かれて作業や会話練習をする時間が多くとられています。その際に、教室を巡回し、受講生からの質問に答えたり、発音や文法についてのアドバイスを与えたりすることが授業中の私の役目です。先生も巡回され、質問に答えたり、間違いを指摘したりしていらっしゃいますが、2人で回ることによってより多くの質問に答えることができ、効率よく授業時間を使うことができます。
大学に入って初めて学習するフランス語に戸惑う受講生も少なくありません。また、厳しい先生なので、なかなか質問できない受講生もいます。授業中に難しそうな顔をしている受講生に自分から積極的に話しかけ、どこがわからないのか言ってもらい、理解を助けるために説明します。質問者が本当に分からない事を把握するのは難しいですが、受講生に自分の説明が理解してもらえたときはとてもうれしく、TAをやっていてよかったと思える瞬間です。
 もう1つは、授業の記録をフランス語で書くということです。関西大学のフランス語コミュニケーションクラスでは、火曜日は日本人の先生、木曜日はフランス人の先生という風に、日本人とフランス人の先生がペアを組んで1つのクラスを教えています。授業を円滑に、そして効果的に進めるためには、それぞれの先生の間での情報共有が欠かせません。そこで、菊地先生の授業でしたことを記録し、それをフランス人の先生にもわかっていただけるようにフランス語で書くことが私の仕事になります。もちろん、その記録は、フランス人の先生に渡される前に菊地先生に確認・添削していただけるので、間違った情報を伝えてしまうことはありませんし、フランス語の勉強にもなります。
最初はうまく記録をつけることができませんでしたが、回数を重ねるごとに徐々にフランス語の作文にも慣れてきて、最初よりは上達したように感じられます。また、記録を付けるためには、授業を細かいところまで観察する必要があります。授業の構成を観察することで、いま先生が何を目的としてこの練習をおこなっているのかについて常に考えるようになりましたし、それに対する受講生の反応もしっかり観察できるようになりました。将来フランス語の教員を目指している私にとって、フランス語教育に関してさまざまな経験をもつ菊地歌子先生の授業を間近で見られることは、とてもいい経験になります。
 このように、授業中は学生のために、授業後は先生のためにはたらくTAの仕事はとてもやりがいがあるものだと思っています。まだまだ勉強不足なところもあり、受講生や先生にご迷惑をおかけすることもありますが、これからも努力を続けていきたいです。

2. TA活動における工夫
 TA活動において私が心がけていることは、フランス語 (外国語) を勉強することが楽しいと思ってもらえるような雰囲気を作ることです。フランス語を大学の1年や2年でしか勉強しない人も多いと思います。それでもできるかぎりのことを学んで記憶に残してもらえるように工夫をしているつもりです。たとえば、授業中にフランス語についてただ教えるだけではなく、フランス語のこんな部分が英語や日本語と違うとか、似ているということを学生と一緒に考えたりしています。同じことを言うときでも、言語が違えば言い方や考え方も違っていたり、時にはとても良く似ていたりするということを一緒に考え、外国語を学び、発見することの楽しさを実感し、少しでも興味を持ってもらいたいと思っています。
 また、質問をされてもなるべく答えは言わずに、できるだけ学生に自分の力で考えてもらえるようにヒントだけを出すようにも心がけています。しかし、どこまで私が教えていいのか、どこまで自分たちで考えてもらうべきなのか、それを判断するのはなかなか難しいものです。今までは自分なりの判断でTA活動をおこなっていたのですが、TAとしてどのように学生に指導するべきかについては、今後、担当の先生と話しあうなどして、考えていくべき点であると思っています。