各種取組み

TSネットワークTA研修TA通信実践事例

TA通信第3号

「TAのモットー」

PDF版

植木美千子(教職に関する科目 英語科教科教育法(一))

 私は、外国語学部の竹内理教授が担当されている「英語科教科教育法(一)」でTAを務めさせていただいています。この授業は週に1回の行われており、中学・高校の英語科教員を目指す学生の必修科目(教職課程科目)となっています。初めてこのTAをさせていただいたのは平成20年であり、今年でTA3年目となります。今回は、この3年間のTAの経験を通して、私が普段心掛けている「TAのモットー」のうち、以下の2点をご紹介したいと思います。

●普段から学生とのコミュニケーションをとる●
 私はTAの仕事で知り合った学生に、キャンパス内でよく声をかけます。彼らの英語学習の相談にのることもしばしばあります。TA研修会に参加すると、「(授業に)どのような学生がいるのかもよくわからないし、学生の名前なんて覚えていたらキリがない」という声をよく耳にします。しかし、そのような方にかぎって、学生とのコミュニケーションの取り方に悩みを抱えている場合が多いのも事実です。コミュニケーションは相手を知ろうという気持ちなしには成立しません。それ故に、出来るだけ学生の名前や特徴を覚え、普段から積極的に声をかけるよう心がけています。
 このように普段から学生とのコミュニケーションを大切にすることによって、学生と「よい関係」を築くことができるだけでなく、「今日の授業は盛りだくさんだった」や「自分だけが授業についていけてなさそうで不安…」など授業に関する学生のリアルな感想を聞くことができます。そして、その「感想」や「学習者の声」をもとに、担当者に授業に関する提案をさせてもらったり、個に応じたより良い学習サポートを行ったり、と工夫を凝らすことが出来るようになってきました。

●「自分が『授業者』だったら・・・」という立場でサポートをする●
 TA制度をよくご存知ない方からは、TAは単なるアルバイトと思われてしまいがちです。また「TAは担当教授から指示された仕事だけをこなせば良い。仕事はそれ以上でもそれ以下でもない。」という意見もありそうですが、個人的にそれではTA制度の良い面があまり活かされていないように感じます。TAは授業運営が円滑に進むための授業支援や、学生の学びへの支援を通して、自分が将来『授業者』の立場となったとき、どのように授業運営をすれば良いのか、どのように学生と関わっていけば良いのか、ということを学べる最高の機会だと考えます。
 私がそのように『授業者』の立場で考え、提案して実際に採用されたサポートの中に「紙媒体資料の電子 (PDF) 化」があります。これは学生の提出物や毎回の小テストなどを全て電子化して担当教授にお渡しするだけのことなのですが、複数の授業を抱え、各授業でレポート・小テストを行い、毎年学期末に膨大な紙の資料の中に埋もれていた担当教授からは、好評価をいただきました。このアイディアも、授業者の立場に立って物事を考えていた時に思いついたものであり、単に指示された仕事をこなすという『授業支援のアルバイト』という姿勢では考えつかなかったことだと言えるでしょう。このような実践的サポートを提案し、提供していくという点は、TAの腕の見せ所であると同時に、TAの仕事の「やりがい」でもあると思います。

 TAをさせていただいてからは、学生と関わる機会が飛躍的に増えていきました。当然といえば当然ですが、研究室にいたときには想像できなかったほどの「人のつながり」を持つことができるようになったのです。そのつながりからも、学習者の「学び」に対するサポートのあり方に気づいたり、時には、研究者(の卵)として研究のアイディアを見出したりすることもありました。TAの仕事は、いつもこうして新しい視点を与えてくれます。
末尾になりましたが、私がこのように学ぶことができているのは、突拍子もない提案をしてもいつも真剣に耳を傾けてくださる担当教授のご理解とサポート、そして授業支援グループの方々の協力があるからだと思います。感謝の気持ちも、TA には必要なのかもしれませんね。