国際関係班・沖縄自治州構想についての研究会(於.琉球大学)について
主幹 西 平等
国際関係班では、2009年2月27日から3月3日まで、沖縄にて、琉球大学・沖縄国際大学の研究者とともに、自治州構想に関する共同研究を行った。主要な目的は、28日に開催された共同研究会である。その際、琉球大学の矢野昌浩教授(労働法)より、沖縄の雇用環境の現状と経済的自立の可能性について、同じく琉球大学の樋口一彦教授(国際法)より、国際法の観点から見たマイノリティの地位について、沖縄国際大学の比屋定泰治准教授(国際法)より、基地問題の国際法的な側面について、それぞれ報告をいただいた。さらに、沖縄自治州の構想も含め、将来の沖縄住民の在り方を構想するにあたって、マイノリティという概念を生かしうる可能性があるかについて、討論を行った。
3月1日には、沖縄自治州構想の検討を主導的に進めている仲地博教授(琉球大学(当時)・行政法)より、自治州構想の系譜・現状と課題・「沖縄道州制懇話会」の基本的立場などについて、資料を提供していただくとともに、詳細にご教示いただいた。沖縄単独州という構想について、多くの問題があることを認めつつも、「では道州制が実施されることになった時、九州に組み込まれる方が沖縄の状況がよくなると思うか?」という問いを立てることにより、自治州(沖縄単独州)構想を検討する意義を仲地教授が簡潔に表現されたことが、非常に印象的であった。
そのほか、閉館されることとなった沖縄県立郷土劇場において、「かりゆし芸能公演」の最後となる琉球舞踊公演を観ることができたのは、沖縄芸能に対する住民の思いや、それを取り巻く現状を知るうえで、貴重な経験であった。また、沖縄県平和祈念資料館やひめゆりの塔などの戦跡を視察し、自治構想を深い部分で支える沖縄の歴史理解について議論した。