タイトル:コーヒー豆の収獲
[2001年撮影:石田慎一郎]
(首都大学東京都市教養学部准教授)
ケニア中央高地ニャンベネ地方の農村におけるコーヒー豆の収穫。ケニア中央高地では、コーヒーと茶が主要な換金作物として栽培されており、いずれも日本をふくむ世界各地に輸出されている。現在は、世界市場におけるコーヒー価格の下落も影響して、換金作物の多様化がすすんでいる。そして、ニャンベネ地方では、現地でミラー(アラビア語圏ではカート)と呼ばれる地域固有の嗜好品作物が、コーヒーや茶にかわる有力な換金作物となりつつある(ニャンベネ地方産のミラーは、イギリスなど欧米諸国に輸出されるグローバルな換金作物である)。被写体の女性(現在では婚出して別の村に住んでいる)の世帯では、げんざいコーヒー栽培よりもミラー栽培のほうにより多くの労力を注いでいる。コーヒーと茶は、イギリス植民地時代に導入され、こんにちでもその生産と流通がフォーマルセクターに属しているのに対して、ミラーの生産と流通はインフォーマルセクターに属している。撮影は2001年、ケニア中央高地ニャンベネ地方にて。