2009年撮影:田中 鉄也(マイノリティ研究センター RA研究員)
ワット・アルン
(Wat Arunratchawararam Ratchaworamahawihan)
タイ王国バンコク(バーンコークヤイ区)の仏教寺院で、チャオプラヤー川の西岸に位置する。バンコクを代表する建造物の一つだが、日本人にとっては三島由紀夫の小説『暁の寺』の舞台としても著名だろう。大仏塔(その高さは約67mと言われているが諸説ある)にかかる狭隘かつ急勾配な階段を登ると、チャオプラヤー川から官庁街を望むバンコク中心部が一望できる。その眺望は一見の価値ありだが、一方でふと様々な社会問題を孕む大都心バンコクが想起される。バンコクでは運河をぬって船舶路線網が完備され、ボートによる水上交通も進んでいる。ワット・アルンへのボートによる観光コースも人気である。他方で運河の水質汚染はひどい(もちろん政府も対策を講じてはいるのだが)。寺院への道程では、お世辞にも綺麗とは言えない川岸に住む多くの邸宅や漁業を営む人々の日常生活が垣間見られ、興味深い。