2009年撮影:辻 雄一郎(駿河台大学法学部講師、マイノリティ研究センター客員研究員)
台湾司法院
この建物は、清王朝時代に寺院(孔子廟)があった場所に、日本の植民地時代に1929年に建設を開始し34年に完成した。当初、台湾総督府高等法院、検察局、台北地方法院などが置かれていた。台湾政府が樹立された際、司法院と憲法最高裁が移動して現在に至っている。この建物は日本人によって設計されており、各フロアの面積は65000平方フィートに及ぶ。元々三階建てだったが、のちに四階が増築された。もっとも注目されるのは、中央の八角形の尖塔であるが、建物の細部は中国王朝様式、ルネッサンス様式、ビザンツ様式、ロマネスク様式など多彩な建築様式を取り入れている。例えば、入口に位置する三つの円形アーチとアーチ形の窓はアラビア・イスラム建築を取り入れている。それぞれの建築様式は複雑性を排除し、調和を図り簡素化されている。植民地時代は、この建物は権威の象徴であったが、現在では司法府の最高位性と人民と司法府を結ぶ繊細な橋を示している。内務省によって98年7月に国家遺跡に認定された。