2006年撮影:浅野 宜之
(大阪大谷大学人間社会学部准教授)
インドの農村風景
インド東部・アーンドラ・プラデーシュ州山間部の、とある農村の風景です。この写真を撮影した12月末はちょうど穀物等の収穫期でした。写真の真ん中に写っている、この村のメインロードは、道でもあり、また作業場でもあります。村の住民は、いわゆる山岳少数民族に属する人々。現在、インドといえばIT産業や製薬産業など、最先端の業種による経済発展が注目を集めていますが、この村の人々にその恩恵が及ぶことはまずありません。いわば、人口的にも、そして経済的・教育的・政治的にマイノリティとしての位置に置かれているという状況があります。しかし、だからといって単に「可哀想」な存在ではありません。自らの持つ、先祖伝来の知恵や体験的に得た知識を集約し、それを形として残すことで、自分たちの持つ「資源」そして「財産」を見直していく、そんな地道な作業を続けている、強い人たちでもあります。
なお、インドではこのように社会的、経済的に弱者の立場に置かれてきた人々に対する、議会の議席や公務への就職などにおける留保政策が長年続けられてきており、マイノリティ政策を考える際の、重要なトピックです。ちなみに、この村が属する行政村の長の職は、現在女性に留保されています。