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Ginsburg報告「Constitutional Treatment of Minorities : New Data」

10時過ぎに国際シンポジウムは開催された。本センター長の孝忠延夫からセンター開設の挨拶が述べられたあと、ギンズバーグ教授は「Constitutional Treatment of Minorities : New Data」を、呉准教授は、「台湾における中国人配偶者の法的地位―政治に揺れるマイノリティの権利」をそれぞれ報告された。午前に二人から研究報告があり、午後からは研究者を中心にして自由で活発な議論が交わされた。

ギンズバーグ教授によれば、憲法設計はプレコミットメントの装置として理解される。プレコミットメントとは将来の作為・不作為という行動に一定の道筋をつけたり、将来の行動に抑制をかけたりして、将来の人々の選択に影響を与えることをいう。政治家と人民たちは統治関係について約束(promise)を結ぶ。統治を充全化するためには約束に対する信頼を被治者から得る必要がある。しかし、政治家たちが将来その約束を守るかどうかは信頼できない。信頼を得るために統治者たちは自分たちに授与される権限を縛る。

ギンズバーグ教授によれば、プレコミットメントの問題を解くためには、国際法と憲法とが相互に補完することが必要だという。国際法は国内に存在する複数の集団・機関に情報を提供する。国外から及ぶ影響が国内にも波及することによって国内の行動が確定される。国外の機関に意思決定を委ねることによって国内の影響から一定の距離を置くことができる。もっとも国際法にも欠点はある。どれだけのコストを負担させるか、という点は予測が難しい。どの争点をどれだけ国際機関に委任できるのか、という点も解決しなければならない。マイノリティ保護のために利用するという程度において、国際法と憲法のコミットメントという装置を利用するべきだという。その例として、Gasperi-Gruber Accordの例を挙げて説明した。

その後、同教授の従事する比較憲法プロジェクトのデータをもとに立憲主義国家における憲法の一生を説明された。世界中の憲法の中には、誕生してから修正を経るが、場合によっては停止されたり、古い憲法が復権したりする憲法もある。比較憲法プロジェクトの資料収集において、憲法の寿命がおよそ70年しかない点が説明されると聴衆は大いに驚いた。途中にアメリカとロシアの表現の自由に関するジョークを交えながらのひと時であった。

 


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