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教員が語る専門領域の魅力 vol.12

中田 達也 准教授

どのようにすれば英単語を効果的に学習できるか?

中田 達也 准教授

Profile

主な研究テーマは第二言語語彙習得であり、外国語の語彙習得に影響を与える要因(学習の間隔・種類・頻度など)について研究を行っている。また、コンピュータを使用して外国語学習を支援する方法に関しても論文を発表している。
webサイト(http://www.howtoeigo.net/english/) webサイト

 主な研究テーマは、第二言語語彙習得です。具体的には、外国語の語彙習得に影響を与える要因(学習の間隔・種類・頻度など)について研究を行っています。近年は、特に効果的な復習スケジュールについて研究を行っています。

 新しい単語を覚えたとしても、時間とともにその記憶は減衰し、やがて忘却されてしまいます。したがって、記憶を定着させるためには、定期的な復習が欠かせません。それでは、どのような復習スケジュールが最も効果的なのでしょうか?

復習の間隔を少しずつ大きくしていくのは効果的?

 語彙の復習スケジュールに関しては、拡張分散学習(expanding spacing)と均等分散学習(equal spacing)という2つのスケジュールがよく知られています。拡張分散学習とは「1日後→1週間後→2週間後→4週間後」というように、回数を重ねるにつれて、復習の間隔を少しずつ大きくしていくスケジュールのことです。一方で、均等分散学習とは、「2週間後→2週間後→2週間後」というように、ある学習項目を一定の間隔で繰り返すスケジュールのことです。

 一般的には、拡張分散学習が最も効果的な復習スケジュールであると考えられています。市販の英単語学習ソフトでも、拡張分散学習を売り文句にしているものが数多く見られます。しかしながら、私が行った研究(Nakata, in press)では、均等分散学習と拡張分散学習の学習効果に大きな差は見られませんでした。これは、認知心理学の分野で得られている近年の研究結果とも一致するものです。

一度に学習する単語の量を減らすのは効果的?

 もう1つの研究(Nakata & Webb, in press)では、全体学習(whole learning)と部分学習(part learning)という2つの復習スケジュールを比較しました。全体学習とは、学習したい内容を1つの大きなブロックで繰り返す学習法のことです。一方で、部分学習とは、学習内容をいくつかの小さなブロックに分けて繰り返す学習法のことです。

 例えば、100の英単語を学習するとします。100語を1つの大きなセットで繰り返し学習するのは全体学習にあたり、100語をいくつかの小さなセット(例えば、20語ずつの5セット)に分けて繰り返すのは部分学習となります。

 部分学習では一度に学習する単語の量が減り、負荷が軽くなるため(例えば、全体学習では一度に100語を学びますが、部分学習では一度に学ぶのは20語のみ)、部分学習の方が全体学習よりも効果的であるという主張が多く見られます。

 外国語学習に限らず、楽器の演奏や詩の暗唱でも、部分学習は一般的に用いられている学習テクニックです。例えば、ピアノである曲を弾けるようになりたいとします。いきなり曲全体を弾こうとする(全体学習)前に、曲をいくつかのパートに分け、そのパートごとに練習する(部分学習)方が一般的ではないでしょうか?

 しかしながら、これまでの研究では、意外なことに部分学習よりも全体学習の方がより効果的である、という結果が得られています。しかし、今までに行われた研究では、学習間隔が統制されていないという問題がありました。

 そこで、私が行った研究では、学習間隔を統制した上で、全体学習と部分学習の効果を比較しました。その結果、語彙習得に影響を与えるのは学習間隔であり、全体学習・部分学習という区別は本質的な要因ではないという結果が得られました。

その他の研究課題と実践への応用

 この他にも、「語彙はどのような問題形式で練習すべきなのか?」、「語彙を定着させるには何回くらい練習すべきなのか?」、「練習問題を解いた後、フィードバック(正解)はどのタイミングで与えるべきなのか?」(Nakata, 2015)、「どのようにすればコンピュータを使用して語彙学習を支援できるか?」(Nakata 2011, 2013)といった課題に関しても研究を行っています。

 「2015年度は、外国語学部ではAcademic Writing、Academic Listening and Speakingおよび基礎演習を担当しています。第二言語語彙習得やコンピュータ支援外国語学習に関する研究をふまえ、教育実践を行っています。また、大学院博士課程のオムニバス講義である「応用研究法2(量的研究法)」では、重回帰分析という統計手法を用いて言語データを分析する方法について担当しました。

 さらに、NHKテレビ・ラジオ番組「ニュースで英会話」、大学用英語教科書、一般語学書、辞書、ニンテンドーDSゲームソフトなど、教材開発にも力を注いでいます。

参考文献

Nakata, T. (2011). Computer-assisted second language vocabulary learning in a paired-associate paradigm: A critical investigation of flashcard software. Computer Assisted Language Learning, 24, 17-38. (Routledge)

Nakata, T. (2013). Web-based lexical resources. In C. Chapelle (Ed.) Encyclopedia of Applied Linguistics (pp. 6166–6177). Oxford, UK; Wiley-Blackwell.

Nakata, T. (2015). Effects of feedback timing on second language vocabulary learning: Does delaying feedback increase learning? Language Teaching Research, 19, 416-434.

Nakata, T. (in press). Effects of expanding and equal spacing on second language vocabulary learning: Does gradually increasing spacing increase vocabulary learning? Studies in Second Language Acquisition. (Cambridge Univ. Press)

Nakata, T., & Webb, S. A. (in press). Does studying vocabulary in smaller sets increase learning? The effects of part and whole learning on second language vocabulary acquisition. Studies in Second Language Acquisition. (Cambridge Univ. Press)

学生のみなさんへのメッセージ

 "The real intrinsic difficulty of learning a foreign language lies in that of having to master its vocabulary" (Sweet, 1899)という言葉に示されている通り、外国語習得の難しさは、つまるところ語彙習得の難しさにあると言って良いでしょう。どのようにして語彙習得を促進することができるのか、一緒に考えましょう。