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教育開発支援センター設立記念フォーラム

関西大学教育支援センター設立記念フォーラム
“Facultyづくり”からはじめるFD

【日時】:2009年5月30日(土) 13:00~17:00
【場所】:関西大学千里山キャンパス 第1学舎千里ホール
【フォーラム開催趣旨】
「教育の絶え間なき向上のためには、教員間の協力、さらには学生そして管理者の協力が必要である」、これがアメリカのFD活動を支えてきた理念です*。FDの“F”は集合名詞の“Faculty”ですから、その向上(Development)は教員集団のチームワークが前提です。しかし我が国のFD活動は個々の教員による改善の側面が強調されているきらいがあります。意味あるFD活動を展開するためには“Faculty”が集団として十全に機能することが不可欠です。本フォーラムではそれを考えるための機会としました。                                                                 *Jerry G. Gaffの言葉

【プログラム】
13:00~  開会のあいさつ           河田 悌一学長
13:15~  第1部 基調講演     テーマ「大学政策の新動向とFD・SDの課題を考える」
                          寺﨑 昌男氏(立教学院)
15:00~  第2部 パネルディスカッション  テーマ「“Facultyづくり”の取り組み」
17:00~             パネリスト   飯吉 弘子氏(大阪市立大学)
                           松下 佳代氏(京都大学)
                           寺﨑 昌男氏(立教学院)
                           沖 裕貴氏(立命館大学)
                           池田 勝彦(関西大学)
                   コーディネータ  三浦 真琴(関西大学)
17:30~   イブニングFD(情報交換会)

【第1部 基調講演 要旨】 
講演者 :寺﨑 昌男氏(立教学院)
タイトル:大学政策の新動向とFD・SDの課題を考える
このところ、大学の学士力保証、教育強化を強調する政策動向が顕著である。それは国際的なプレッシャーに支えられたものではあるが、われわれは、大学らしく理性に裏づけされた対応を行うことが必要である。特にFDとSDについては、それらを「わがこと」とする考察と方途が求められる。FDは、その範囲が中教審の答申等のいうものよりはるかに広く多様であること、まさに学生たちの学習のための活動であるという認識が必要である。SDは、プログラムとカリキュラムの開発が当面緊急な課題であること、その最低限のエッセンシャルズとして「大学という組織の独自性と本質の理解」「大学アイデンティティーの共有作業」「高等教育政策の理解」の三つがあると提言した。

【第2部 パネルディスカッション 発表要旨】 
パネリスト:飯吉 弘子氏(大阪市立大学)
タイトル :大阪市立大学における実質的FD実施への取組と大学教育研究センターの役割
大阪市大では、授業評価アンケートや自主参加型全国FD研究会等「全学的・草の根的FD」の1994年からの蓄積がある。2003年以降は、より1)「組織的・体系的な全学FD」実施と教育の質改善のための調査等をセンターが担っている。同じ頃から2)「日常的教育実践に根ざす部局単位のFD」の展開も多様に進み、1)と2)の連携の取り組みも始めている。この日常的で多様な教育実践とFDをあくまで基盤としつつ、それを実践的に支援促進するFDのあり方の研究・指針等の検討もセンターで進めている。

パネリスト:松下 佳代氏(京都大学)
タイトル :“Facultyづくり”の取り組み-京大センターの場合-
京大のような部局自治の強い大規模研究大学でのFDには、独自の困難さがある。センターが学内組織化に本格的に取組み始めたのは、2004年度に特色GP「相互研修型FDの組織化による教育改善」に採択されてからである。授業評価を中心とする工学部のFD支援、大学院生対象のプレFD、全10学部に対して実施した「教育改善・FDヒアリング調査」などの活動を経て、2006年12月に「FD研究検討委員会」が組織されたことにより、部局の独自性をふまえたFD活動支援、部局間連携などが進められている。

パネリスト:沖 裕貴氏(立命館大学)
タイトル :「FDの定義の変遷と評価」
立命館大学では2007年以降、FDを「学部・学科のDPの実現を目的に日常的なすべての教育改善活動を教職協働と学生参画で推進・検証する組織的な活動」と定義している。これは中教審答申(2008)のFDの定義と符合するが、今後はその効果検証が新たなる課題となる。教育改革総合指標(TERI)はその課題を解決するとともに3つのポリシーの明確化に資するシステムとして開発された。一方、FDに関しては将来的に教職員の職能開発に関する個人的な支援も視野に入れる必要があるだろう。