KANSAI UNIVERSITY

化学生命工学部

学びのスタイル

理工学研究科 化学生命工学専攻
博士課程前期課程 1年次生
荒西 佳織

研究テーマ

石クラゲ(Nostoc commune)の培養方法の改善と吸水性ポリマーの生産

海外の論文からヒントを得て、培養方法を開発。天然素材・石クラゲの可能性を学会で発表します。 海外の論文からヒントを得て、培養方法を開発。天然素材・石クラゲの可能性を学会で発表します。

道端にも群生する石クラゲの培養方法、生態、活用方法について調べています。石クラゲはラン藻類の仲間で、水を吸うとふくれ、乾燥すると縮むのが大きな特徴。吸水性ポリマーの新素材として、また紫外線カットの機能を化粧品などに活かせるなどの可能性を秘めています。難点は、量産しにくいこと。湿度、温度、培地の成分などさまざまな条件を試しても、増え方が変わりません。先生から励まされ、関連する海外の論文から情報を探るうち、赤い光を照射するというヒントを得ました。すると従来は1.2倍だった増え方が、3倍以上に。実験開始から約半年が経過しており、思わず先生と「シャーレを見てください!」「すごい、まったく違う! 」と喜びを分かちあいました。自分で考えて、諦めずに道を切り拓く大切さを実感できた瞬間です。今はこの成果を学会で発表する準備をしています。現在は大学院に進学し、吸水性、紫外線カットなどの機能について追究しています。ゆくゆくは食品や化粧品といったメーカーで、研究の成果を活かすことが目標です。

天然植物由来物質への評価が、見直されています。10年後の社会を見据えて「次」を考えましょう。

医薬品などに使われる物質は、従来の有機合成から天然植物由来へと移行しつつあります。このように社会の価値観や私たちが創造すべき対象は、常に変遷するもの。大学時代に変化への対応力を鍛えておくことは、大変有意義です。私の研究室では、学生一人につきワンテーマ。それぞれ1~3社程度の企業と産学連携で研究しています。10年後の社会に役立つテーマにトライしましょう。

生命・生物工学科
河原 秀久 教授

  • ※この学びのスタイルは2016年度のものです。

理工学研究科 化学生命工学専攻
博士課程前期課程 2年次生
柄澤 歩

研究テーマ

乳酸菌Lactococcus lactisの高密度培養によるナイシン生産

乳酸菌を効率よく増やすための画期的な方法の開発に取り組んでいます。 乳酸菌を効率よく増やすための画期的な方法の開発に取り組んでいます。

ヨーグルトなどの身近な発酵食品に含まれる乳酸菌は、人に良い影響を与える微生物です。また、抗菌作用があるナイシンのように、乳酸菌から作ることができる有用物質も数多くあります。私は、大量生産への社会的要請に応え、企業との共同で乳酸菌を効率よく増やす研究に取り組んでいます。乳酸菌は通常、増えるときに乳酸を生成します。しかし、できてしまった乳酸は乳酸菌の増殖を邪魔する方向に働くので、増える上限が決まってしまいます。そこで私は、乳酸を作らせないようにすれば、効率的に乳酸菌が増えるのではと考えました。自然界では、乳酸菌は腐った木など、液体分が40-50%しかない環境下で増殖するので、実験室でも同程度まで水分を減らした培地を作り、そのなかで乳酸菌を培養。その結果、通常よりも活発に増殖することが確認できました。従来は、乳酸ができるのは当然で、仕方がないと考えられていました。その「当たり前」を疑うという発想が面白く、研究にやりがいを感じています。

豊かな食文化が生み出した発酵工学のさらなる発展を期待しています。

近年、遺伝子工学の隆盛と裏腹に、伝統的な発酵工学を深く学べる研究室は少なくなりました。しかし、日本酒、味噌など豊富な発酵食品の文化をもつ日本は、この分野の研究では世界をリードしています。研究室では、今までにない乳酸菌の製造法を開発しようとしている柄澤さんのような、発酵生産の基礎を身につけて新しいテーマに挑む学生を育てていきたいと考えています。

生命・生物工学科
片倉 啓雄 教授

  • ※この学びのスタイルは2015年度のものです。

理工学研究科 ライフ・マテリアルデザイン専攻(現 化学生命工学専攻)
博士課程前期課程 2年次生
大塚 錬

研究テーマ

ヘモグロビン摂取による脂質代謝改善効果

ヘモグロビンの新しい働きを、分析と動物実験を通して探っています。 ヘモグロビンの新しい働きを、分析と動物実験を通して探っています。

食物にはまだ解明されていない、数多くの機能が秘められています。そうした可能性を、分析と動物実験から追究していくのが私の研究です。研究対象は、私たちの赤血球にも存在するヘモグロビン。一般的に、不足すると貧血の原因になることで知られていますが、これをマウスに与えると血液中の中性脂肪が大きく減少することがわかりました。その結果に着目し、ヘモグロビンが脂質代謝に働く役割について解明を進めています。まずは、ヘモグロビンを構成するどの成分が働くのかを明らかにするため、現在はヘムとグロビンを分離させる作業が中心。離した成分をマウスの餌に加え、1カ月の飼育後に臓器の変化を調べていくという手法です。過去の事例や参考文献も少ないため、いまはまだ手探り状態の研究が続いていますが、学んだ理論と実験の結果が重なり、頭に描いていたイメージが具現化できたとき、自分の研究が着実に前進しているんだという喜びを感じます。病気の治療や体質の改善のため、食生活を制限される人が多いなか、新たな食の可能性を広げることで「食べる楽しみ」を社会の皆さんに届けたいと思います。

水産食品とミネラルの双方向から、食品がもつ真の機能を解明します。

「水産食品の機能性」と「ミネラルの栄養学」の双方向から、食と栄養に迫るのが本研究室の特徴。分析と評価を重ねて食品の機能を解き明かし、間違った世間の常識に警鐘を鳴らしています。大塚さんはあらゆる難題にも真摯に取り組むことで、自分なりの答えを導く力を磨いてきました。研究活動で育んだ自主性を、社会でも発揮してくれると期待しています。

生命・生物工学科
福永 健治 教授

  • ※この学びのスタイルは2014年度のものです。

理工学研究科 ライフ・マテリアルデザイン専攻
博士課程前期課程 1年次生
須田 理子

研究テーマ

黒酢もろみから単離された乳酸菌のアスパラギン酸ラセマーゼの研究

黒酢から抽出した酵素について、 化学的な視点から性質を探究しています。 黒酢から抽出した酵素について、 化学的な視点から性質を探究しています。

アミノ酸には、ほとんど性質が等しいL型とD型があり、人の体のなかにあるアミノ酸はほとんどがL型です。しかし、わずかにD型も存在し、肌の保湿などL型とは異なる大切な生理機能を果たしています。私は、D型のアミノ酸を豊富に含む黒酢のもろみから乳酸菌を分離し、そのなかのアスパラギン酸ラセマーゼという、L型アミノ酸とD型アミノ酸の相互の変換をする機能をもった酵素の性質を調べています。研究方法としては、まず黒酢に含まれる乳酸菌のなかでD型のアミノ酸を産出する割合が高い菌を選び、その全遺伝子(ゲノム)から、アスパラギン酸ラセマーゼのDNAを取り出して増幅。それを大腸菌に入れて育て、DNAとともにアミノ酸を増やします。最後にこの大腸菌を粉砕し、出てきた中身を精製。このようにして目的の酵素を取り出し、それがどの程度の温度、pHで働き、どれほど熱に安定であるかを確かめました。その結果、数分間であれば90℃から100℃という高温でも活性を維持できるという、珍しい性質があることを発見。今後は、なぜ熱に安定なのか、pHを変えると構造がどう変化するかなど、詳しく研究を行っていきたいと考えています。

機能性食品の開発を通じて、 社会の健康増進に貢献しています。

研究室では、ヨーグルトやお酒など発酵食品のなかに含まれるD型アミノ酸の分析や、D型アミノ酸を豊富に含む機能性食品の開発を行っています。須田さんのしっかりした基礎研究と、地道な実験の積み重ねによって、炎天下となる屋外で伝統製法に従って黒酢を製造しても、酵素が有効に働くことが明らかになりました。これは酵素の産業利用を進めるうえでも、とても貴重なデータです。

生命・生物工学科
老川 典夫 教授

  • ※この学びのスタイルは2013年度のものです。

理工学研究科 ライフ・マテリアルデザイン専攻
博士課程前期課程 1年次生
中地 学

研究テーマ

食用豆由来不凍タンパク質の構造解析とその応用

豆の中に含まれている、 水を凍らせない性質をもった 不思議なタンパク質の研究を進めています。 豆の中に含まれている、 水を凍らせない性質をもった 不思議なタンパク質の研究を進めています。

生物は、生きていくために欠かせない液体の「水」を、体内に維持するしくみをもっています。例えばニンジンが氷点下の地中でも凍らないのは、水を凍らせない働きをする糖を蓄積しているからです。研究室では、このような冷凍耐性をもったタンパク質や糖などを、さまざまな生物の中から抽出し、その性質を活用して、安全で世の中に役立つ製品の開発を進めています。そのなかでも、カイワレから抽出した不凍タンパク質による冷凍食品の品質保持剤は商品化され、2012年の春から冷凍めんに添加されて売り出されることになりました。そして、私は緑豆に含まれる不凍タンパク質の研究をしています。普通、生物は低温ストレスにさらされた時に不凍物質を出すのですが、保存しているこの豆からは常温でも不凍タンパク質を抽出できる点が特徴です。小豆などにも同様の性質がありますが、緑豆は安価な点がメリット。従来の方法より容易に不凍タンパク質を取り出せれば、使い道も広がるのではと考えています。

生物由来の安全な「不凍タンパク質」は、 多様な分野への応用が期待されています。

不凍物質は、計り知れない応用可能性を秘めています。例えば再生医療分野で注目されているips細胞や人工組織は、現在効率良い保存方法が確立されていませんが、私たちの技術を生かし、生体に安全な状態で細胞保存できれば、先端医療の選択肢も広がるでしょう。中地さんをはじめ、研究室には意欲的な学生が集まっています。幅広い領域に関心を広げ、わくわくする研究を進めてほしいですね。

生命・生物工学科
河原 秀久 准教授

  • ※この学びのスタイルは2012年度のものです。

理工学研究科 ライフ・マテリアルデザイン専攻
博士課程前期課程 1年次生
藤田 亜弓

研究テーマ

小胞体ストレス型アポトーシスの細胞内分子機構の解明

1年次から個人面談を受け、進路を充分考えた結果、 ヒトの生命現象の研究に挑むことになりました。 1年次から個人面談を受け、進路を充分考えた結果、 ヒトの生命現象の研究に挑むことになりました。

中学時代、再生医療に興味をもって以来、生命に関わる研究をしたいと思うようになりました。そして、関西大学に入学したころには、大学院まで進学したいと考えるように。生命・生物工学科では、全学生が1年次から個人面談を受けられるというメリットがあります。先生方の指導を受けながら適性を見定めた結果、最初からの希望通り、神経生命工学研究室に進もうと決断。いま取り組んでいるのは、神経が変性する病気の発症につながるアポトーシス(細胞死)をどのように防ぐかを、分子のレベルで考える基礎研究です。アポトーシス自体は、高等生物の発生の過程で普通に起こっている現象です。しかし、真核細胞内でタンパク質の品質管理を行っている小胞体という小器官が正常に働かないと、不良のタンパク質が小胞体内に貯まる「小胞体ストレス」という状態になり、それが過剰になると細胞は死んでしまいます。ある種の病気の発症過程で、この小胞体ストレス型アポトーシスが起こっています。わたしは、細胞内でどのような情報伝達が行われることでアポトーシスが起きたり、防がれたりするのかを、クローニングしたDNAを培養動物細胞の中に入れる実験を通じて調べています。DNAの加工に用いる試薬を一つ入れ間違うと、準備がすべて無駄になってしまうので、精神を集中して作業を進めなければなりません。しかし、ヒトの生命に関わる研究をしているという点で、大きなやりがいを感じています。

小胞体ストレス型アポトーシスの研究は、 将来的には予防治療薬の開発につながる基礎研究です。

藤田さんが進めているのは、神経変性疾患などに関係している小胞体ストレス型アポトーシスの分子機構やその防御機構に関する研究です。小胞体ストレス型アポトーシスは、地球環境問題を引き起こす環境ホルモンが、ヒトの細胞内に入ったときに起きる作用としても注目されています。そういう意味で、この研究は将来、生活習慣病や環境ホルモンの作用を防ぐ薬の開発につながる可能性がある重要な研究です。

生命・生物工学科
池内 俊彦 教授

  • ※この学びのスタイルは2011年度のものです。

理工学研究科 ライフ・マテリアルデザイン専攻
博士課程前期課程 1年次生
大西 智子

研究テーマ

低温馴化エノキタケ菌糸のマウス肝機能保護作用の解析

キノコに秘められた未知の性質を発見。 研究の喜びを実感しています。 キノコに秘められた未知の性質を発見。 研究の喜びを実感しています。

キノコには健康維持に有用な成分が含まれていることがすでに判明しており、さまざまな研究が行われています。私が所属する微生物工学研究室では、4℃という低温で培養したエノキタケの菌糸体(キノコに成長する前の状態)に含まれる、化合物の機能を研究中。私のテーマはこの「低温培養エノキタケ」の、人体に対する作用を調べることです。特に、肥満にも関連が深い肝臓の働きに対する効果に着目しました。そこでまず、高脂肪食で太らせたマウスを3群に分け、普通のエノキタケ菌糸体を混ぜたエサ、低温で培養した菌糸体を混ぜたエサ、菌糸体を交ぜない高脂肪食という3種類を10週間与え続けるという実験を行いました。その間に体重、血圧を測り、肝機能を調べるために血液検査も行いました。小さなマウスだけに血圧の測定などでは苦労しましたが、何度もやり直して数値を採りました。その結果、8週目から、低温培養エノキタケを与えたグループの体重、コレステロール値などが、はっきりと減少していくことがわかりました。しかしまだ「作用する物質は何か」「なぜ、8週目に効き目が現れるのか」など不明な点が多く、現在も研究を続けています。キノコに肝臓を保護する作用があるという実験結果は、私自身にも大きな驚きでした。今後の研究でどんな成果を導くことができるか、本当に楽しみです。

健康の維持促進に寄与する食品の開発を、産学共同で進めています。

大西さんが進めている研究は、近い将来、医薬品や健康食品の開発につなげることができる画期的な取り組みです。私たち微生物工学研究室ではさらに、低温培養エノキタケの菌糸体を用い、市販エノキタケを製造し、肝機能保護作用がある「機能性エノキタケ」を企業との提携で大量生産することも構想中です。

生命・生物工学科
河原 秀久 准教授

  • ※この学びのスタイルは2010年度のものです。

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