このたび「泊園書院開設二百周年記念シンポジウム」と「泊園書院開設二百周年記念特別展示」を開催しました。
この記念行事は関西大学泊園記念会が主催し、本学教育後援会をはじめ本学校友会、文学部に共催していただき大きな反響を呼びました。以下、これらにつき紹介します。
泊園書院とは
江戸後期の文政八年(一八二五)に大阪に開かれた私塾、泊園(はくえん)書院は今年で二百周年を迎えました。
同書院は藤澤東畡(とうがい)、南岳(なんがく)、黄鵠(こうこく)、黄坡(こうは)の四人の院主、および石濱純太郎によって維持、発展し、昭和二十三年(一九四八)まで続きました。特に幕末以降、懐徳堂(かいとくどう)や適塾(てきじゅく)をしのぐ規模を有し、近代化の黎明期である明治中頃に至るまで「大阪ナンバーワンの学問所」として全国から学生を集めたのです。
また黄坡が本学最初の名誉教授となり、石濱が文学部教授として活躍、さらに泊園文庫が本学に寄贈されて東西学術研究所が創設され、文学部に東洋文学科が開設されるなど、「関西大学の知的ルーツの一つ」でもありました。
シンポジウムの開催 ── 一日目
ビデオと講演
まず十月二十四日(金)と二十五日(土)の二日間、いずれも午後一時から五時まで、梅田キャンパス八階大ホール“KANDAI Me RISEホール”においてシンポジウム「泊園書院から関西大学のルーツをひもとく」を開催しました。第六十五回泊園記念講座を兼ねるものです。
一日目は長谷部剛泊園記念会副会長の司会のもと、高橋智幸学長、仁井ひろみ校友会副会長にご挨拶いただき、ついで教育後援会の野澤友秀会長にご挨拶賜りました。
ついでビデオ「大阪ナンバーワンの学問所 泊園書院」を上映、百二十余年にわたる同書院の歩みをたどりました。本学出身の噺家、林家染太師匠のユーモアあふれる語り、株式会社・読売連合広告社の撮影による22分間の映像は、「想像していたよりずっと良かった!」と大好評を頂戴した次第です。
後半では東京大学大学院総合文化研究科准教授の高山大毅先生の講演「徂徠研究の大先輩──泊園書院と徂徠学」、関西大学東西学術研究所・非常勤研究員の山寺美紀子先生による「帰去来辞」など三曲の古琴演奏がなされました。高山先生の話は荻生徂徠研究者としての東畡を再発見したもの、山寺先生の演奏は東畡が実際に演奏していた古琴曲を再現したもので、いずれもたいへん貴重な内容でした。
(右から:藪田名誉会長、高山准教授、吾妻)
対談と銘菓「南岳」
ついで泊園記念会名誉会長・本学名誉教授の藪田貫先生と高山先生の対談「大阪の私塾がはぐくんだ知の力──泊園書院の学びとは」が吾妻の司会のもとに行なわれ、大阪の学問・文化や泊園書院の特色につき新たな知見が示され、質疑応答もなされました。
なお、受付では来場者に銘菓「南岳」を進呈しました。これは東畡・南岳の故郷である香川県高松市の熱心な泊園ファンの方の尽力により作られたお菓子で、これまた「古風な和菓子の味がおいしい」と評判になりました。包み紙の由緒書は吾妻が書かせていただきました。
シンポジウムの開催 ── 二日目
二日目は七名の研究者による研究発表がなされました。次のとおりです。
第一部
- 橋本昭典先生(奈良教育大学教育学部教授) 「教育勅語」の漢訳とその思想的文脈─藤澤南岳、そして重野安繹─
- 榧木 亨先生(浙江外国語学院東方語言文化学院講師) 藤澤東畡「楊雄從王莽論」について
- 松井真希子先生(奈良工業高等専門学校准教授) 田中右馬三郎『大阪繁昌詩』とその周辺
- 増田周子先生(関西大学文学部教授) 藤澤桓夫の文学活動─俳句・川柳を中心として
第二部
- 佐賀香織先生(法政大学大学院政策科学研究所特任研究員) 藤澤南岳と宇和島出身者との交流について
- 田山泰三先生(香川県英明高等学校講師) 讃岐における泊園関係者顕彰の現状
- 太田 剛先生(四国大学文学部教授) 香川で収集された藤澤家の書跡─花待草舎コレクション─
いずれも各分野の専門家によるご発表で、これまで知られていなかった泊園書院の研究成果を披露していただき、たいへん刺激的でした。
特別展示の開催
貴重書と書画
もう一つの行事は十月二十日(月)から十一月十五日(土)まで行われた特別展示です。
千里山キャンパス総合図書館一階の展示室で泊園書院に関する貴重書や書画、印章(篆刻)を展示しました。関連写真・パネルのほか、泊園書院の大阪における祖である菅甘谷の書、東畡・南岳・黄鵠の書軸や巻物、南岳らの著作、近年の関連出版物を展示しました。
絵画としては富岡鉄斎が南岳の還暦を祝って贈った泰山の図、また、石濱が内藤湖南に師事していた関係から、内藤文庫蔵の絵画2点も掲げました。人物画と山水図です。いずれもたいへん貴重なもので、本学の宝というべき作品です。
印章(篆刻)と展観目録
泊園書院関係の収蔵品として印章(篆刻)二百三十点があります。南岳たちが所持していた日本近代を代表する印章コレクションで、今回それらをすべて保管するための専用ケースを作成しました。
台紙に各印章を丁寧にはめ込み、それを専用の桐箱の中に収める仕様で、各印章の前には整理番号と篆刻文字を印刷したシールを貼り、散佚するのを防いでいます。今回、ケースの一部を展示しました。
このほか、詳細な展観目録も作成しました。これを参照することで展示品をよりよく理解していただけたことでしょう。
今回の記念行事については、本学教育後援会をはじめ関係各位に多大なご支援を頂きました。芝井敬司理事長にもご支援賜りました。お蔭様でシンポジウムは「満員御礼」となりました。ここに篤く御礼申し上げます。
ビデオ「大阪ナンバーワンの学問所泊園書院」はできるだけ多くの方々に見ていただくためリンクを貼っておきます。ぜひご覧ください。



