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大学院進学のご案内
AI・IoTが進展する昨今、大学院教育への期待が高まっている!
関西大学副学長 良永康平(よしながこうへい)

昨今の大学院教育の必要性

科学技術が高度に発達する現代においては、より専門的な知識・技能を持った人材が必要とされています。そういう点ではこれまでも、学部の教育を越える、より専門的な研究を行っている大学院生への社会的需要がありました。しかし、時代の転換期を迎えつつある昨今では、加えて大学院教育への必要性が生じています。
一つは、高度情報化社会の進展によりAIやIoTが急速に普及しようとしていることです。このデジタル技術の浸透が、社会、経済、産業、雇用等の大きな変化を惹起すると予測されています。例えば商品取引や建設、情報技術、教育等の分野で増える仕事がある反面、原材料の加工や機械等の操作、メンテナンス、事務や営業等のサービス、非熟練労働等の仕事が減るのではないかとされています。今後は時代に要請されている、より専門的な知識を身につけることによって、自分の身は自分で守る必要があるかもしれません。
さらに大学卒業後も、仕事のなかで新たな知識や技能を学ぶ必要が生じたり、退職後に新たな進路を探したりするためにも、大学院への進学が一つの有効な手段ともなっています。とりわけ人生百年時代を迎え、社会人学び直しやリカレント教育の必要性が唱えられており、梅田キャンパスで展開している社会人教育をはじめとして、本学の大学院教育もその一端を担っていきます。今後、社会人向けの大学院教育のいっそうの充実も検討されています。
学部生の一部には、大学院への進学は就職に不利との誤解もあるようですが、そんなことはありません(大学院入試情報サイトの在学生・修了生の声を参照下さい)。いまや修士号や博士号を取得した人が高く評価され、専門性を活かして活躍する時代が到来しているのです。文系、理系を問わず、行政職や企業幹部にもますます大学院卒が増えてゆくことでしょう。
以下では主に博士課程13研究科に関して紹介し、専門職大学院は別号にてご案内する予定です。

研究科と専攻

修業年限と学位授与

大学院博士課程での修業は、前期課程2年と後期課程3年に分かれています。前期課程では、広い視野を持って専攻分野の研究に取り組める能力や、高度な専門性を要する職業に必要な知識、技能を養成し、修了者には「修士」の学位を授与しています。
また後期課程では、研究者として自立し、専攻分野の研究をさらに深めてゆくのに必要な高度な研究能力と、その基礎となる豊かな学識を養います。所定の期間在学し、学位論文に合格した学生には「博士」の学位が授与されます。

大学院入試と対策

筆記試験は各研究科によって専門科目や外国語の必要性等が異なりますが、学内進学試験では筆記試験を行わない研究科もあります(大学院入試情報サイト等参照)。口頭試問では、提出した「研究計画書」、「志望理由書」等をもとに志望理由が問われます。大学院進学説明会やゼミ担当教員からも積極的に情報を収集してください。
また、関西大学では充実した奨学金制度を完備しています。奨学金の給付によって学資の負担を軽減し、学業に専念できるように援助しています(詳細は各キャンパスの奨学金窓口までお問い合わせください)。

【関西大学大学院 入試情報サイト】
http://www.kansai-u.ac.jp/Gr_sch/

その他

一部の学部には、一定の基準を満たした成績優秀な学部生に、早期に卒業し本学大学院に進学することを認める「早期卒業制度」があります。
また大学院研究科にも一部に、成績優秀な学部学生を対象とした、大学を卒業していなくても3年終了段階で大学院への入学を認める「飛び級制度」があります。さらに、大学院への強い進学意欲をもつ学部生が所定の基準を満たした場合、大学院科目の履修を許可している学部もあります。詳細は『ハンドブック2019』や『大学院要覧』等をご参照ください。

商学研究科

高度な専門知識を養い、ビジネスのスペシャリストへ。

長い生涯のキャリアに、根拠のある個性を。

商学研究科では、「研究者養成・後期課程進学コース」と「高度専門職養成コース」の2コースのもとで大学院生は研究に取り組んでいます。かつての終身雇用からキャリアのあり方が多様化した現代において、商学、つまりはビジネスの専門家として修士号、博士号を取得することは、これからの時代を生きる人材にとって明確なキャリアアップにつながります。特にグローバルなビジネスの舞台で活躍したい人にとって、修士修了以上の学歴を持つことは大きなアドバンテージになります。そのため、商学研究科には留学生が多数在籍しており、異文化が交わる環境でディスカッションを繰り広げながら研究できるところにも大きな魅力があります。変化の激しい時代の中で、ビジネスの専門家という根拠のある個性を得るために大学院に進学するという選択は、教育投資としても極めて有効であると言えるでしょう。

商学研究科長 中嶌道靖(なかじまみちやす)教授

会計学の高度な専門性を備え、社会で活躍するための武器に。

私は関西大学商学部で学んでいた会計学をより深く研究し、将来、仕事する上での武器にしたく大学院・商学研究科に進学しました。大学院では、「統合報告の利用価値」というテーマで、財務情報だけでなく、非財務情報がどのような役割を果たすのかを研究しています。大学院で会計学を深く学ぶなかで、将来就きたい職業も明確になり、今、私は国税専門官を目指しています。大学院での研究活動を通して、将来の仕事や人生の方向性が明確になったことは大学院進学のひとつの成果です。さらに大学院での研究成果が国税専門官の仕事にも大いに役立つことも明確になりました。改めて会計知識が社会において重要で、私自身が社会に貢献できる人材として活躍できると実感しています。将来が不透明な時代を前に、会計学という専門性を身に付けることで自信を持って社会に進出したいと考えています。

商学研究科

外国語教育学研究科

外国語教育の研究・実践者に求められる高度な素養を磨く

学際的なアプローチで、ワンランク上の研究・実践へ

外国語の教育に求められる能力は実に多彩で専門性も高いため、大学4年間の学びだけではどうしてもカバーしきれない部分があります。外国語教育学研究科は、高度な言語教育学の授業に加え、心理学、統計学、脳科学など学際的なアプローチを通じて外国語教育のプロフェッショナルを育成する研究科です。このような研究科は、これまでにあまり例をみないもので、国内外から研究・教育拠点として高く評価されています。大学院生には、大学卒業後すぐに進学した人と、教育現場を経験した人、さらには現職の教員が混在しており、活発な議論を通じて互いに刺激を与え、切磋琢磨しています。また、教員には検定教科書の執筆に携わる専門家や国際的に活躍する研究者も多く、この分野を志す人にとって極めて恵まれた環境です。大学院修了後の将来についてよく質問を受けますが、私どもの研究科なら確実にキャリアアップにつながると自負しています。

外国語教育学研究科長 竹内 理(たけうち  おさむ)教授

教育現場から大学院へ 将来は大学教員をめざす

関西大学大学院外国語教育学研究科の修士課程修了後、地元広島の中高一貫校で10年ほど教壇に立った後、博士課程を受験し、関西大学に戻ってきました。外国語を学ぶ人の不安や動機づけなど、心の面に注目して研究をしています。大学院進学を決めた理由は、自分の研究を深めたいという思いだけでなく、母校の関西大学に外国語教育学を専門とする研究科があったこと、そして尊敬できる先生方がいたことが大きな理由です。多様な分野の専門家である先生方、世代やバックボーンが多彩な大学院生の仲間と共に、活発な議論を繰り広げながら研究に取り組んでいます。将来的には外国語教育学の博士号を取得し、一人の研究者として外国語教育の分野に貢献したいと考えています。また、関西大学は大学院の奨学金も極めて充実しており、私の場合は授業料を全額免除していただいています。恵まれた環境のもとで夢を追いかけられるところに大きな魅力を感じています。

外国語教育学研究科

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