当センターは、2016年10月29日(土)、関西大学東京センターにて公開シンポジウム「エジプトの文化財の保全に向けて」を開催しました。
このシンポジウムでは、サッカラにあるイドゥートのマスタバ墓の保存修復に取り組む当センター研究員による活動報告に加え、カイロ地域と中エジプト地域の保存修復の責任者であるサブリ・アブデル・ガッファール氏とシハーブ・ファッデル氏から現地の最新の修復成果について報告が行われました。
サブリ氏の発表では、イドゥートと同様に地下で深刻な損傷を受けている壁画保存の実例として、サッカラにある新王国時代のマヤ墓の保存修復活動が紹介されました。シハーブ氏の発表では、2013年に起きた暴動に巻き込まれ、多くの文化財が破壊・略奪されたマラウィ国立博物館での地道な修復活動が紹介されました。
また、2019年に開催されるICOM(国際博物館会議)の京都大会の開催を踏まえ、当センター研究員の藤井信之氏から、日本国内のエジプト文化財の紹介も行われました。
シンポジウムには、エジプト駐日大使館から特命全権大使、イスマイル・カイラット閣下にご出席いただき、ご挨拶にあたって、日本とエジプトの文化財をめぐる協力関係の重要性を強調するお話をしていただきました。
講演プログラム
「関西大学のエジプト調査プロジェクト」
吹田浩(関西大学CHC センター長)
西浦忠輝(国士舘大学イラク古代文化研究所)
「サッカラ遺跡群の保存と修復」
アフメド・シュエイブ(カイロ大学考古学部)
アーデル・アカリシュ(エジプト国立研究センター)
「サッカラにおける修復のためのデジタル・アーカイブ」
安室喜弘(関西大学環境都市工学部)
「イドゥートの地下埋葬室の構造調査」
伊藤淳志(関西大学環境都市工学部)
西形達明(関西大学名誉教授)
中村吉伸(大阪工業大学工学部)
鶴田浩章 (関西大学環境都市工学部)
「ギザの文化財の保存修復
-サッカラ、マヤ墓の事例を中心に-」
サブリ・アブデルガッファール
(考古省大カイロ地域保存修復局長)
「マラウイ国立博物館とエル・ミニヤの文化財の保存修復活動」
シハーブ・フセイン・アブデルナーセル・ファッデル
(考古省中エジプト地域保存修復局長)
「日本国内のエジプト文化財」
藤井信之 (関西大学CHC)