研究活動 2013年度

ポーランドを訪問平成26年(2014年)3月

2014年3月23日(日)から30日(日)にかけて、当研究センターの吹田浩氏(エジプト学・エジプト社会グループ)、アフメド・シュエイブ氏(文化財修復グループ)、エヴァ・ロズネルスカ氏(文化財修復グループ)、沢田正昭氏(文化財修復グループ)、西浦忠輝氏(文化財修復グループ)、仲政明氏(文化財修復グループ)、伊藤淳志氏(科学技術グループ)、鶴田浩章氏(科学技術グループ)、安室喜弘氏(科学技術グループ)、中村吉伸氏(科学技術グループ)らがポーランドのワルシャワ、トルン、クラクフを訪れました。

ワルシャワでは旧市街地を見学し、在ポーランド日本国大使館を訪問しました。また、トルンのロント教会やメホフェル教会、トレクの教会では、修復された中世の教会壁画を実見し、クラクフの歴史地区を訪れました。

26日(水)には、ニコラウス・コペルニクス大学の総長トレーティン博士らとの夕食会が開かれました。夕食会では、相互の意見を交換し、親交を深めました。

「文化財保存修復セミナー」の開催平成26年(2014年)3月

当研究センターでは、NPO法人文化財保存支援機構の協力を得て、2014年3月5日(水)から11日(火)にかけて、「平成25年度 文化財保存修復セミナー」を開催しました。文化財関係を学ぼうとする大学生や文化財保護に強い関心を持ち、学ぼうとする一般社会人の方々を対象に、既に現場で活躍している研究者や技術者など、一流の専門家を講師陣に迎えて講義が行われました。

当研究センターからは、吹田浩氏(エジプト学・エジプト社会グループ)、沢田正昭氏(文化財修復グループ)、西浦忠輝氏(文化財修復グループ)、高鳥浩介氏(科学技術グループ)らが講義をしました。

最終日の11日(火)には、7日間の全講義を終えた後、国立民族学博物館を訪れました。受講生は、文化財に関する基礎的な知識から文化財保護の実例まで幅広く学び、全日程を履修した受講生には、修了証書が授与されました。

文化財に関心を持つ熱心な方々に多数ご参加いただき、充実したセミナーとなりました。

 
 
セミナーの講義カリキュラム

3月5日(水)
①②特講「人類の歴史と文化財」西浦忠輝氏(国士舘大学)
③④文化財各論「遺跡と建造物」上野邦一氏(奈良女子大学)

3月6日(木)
①特講「社会と文化財」天野幸弘氏(元朝日新聞)
②特講「世界遺産を考える―奈良から国際協力―」西村康氏(公益財団法人ユネスコ・アジア文化センター)
③文化財各論「美術工芸品(Ⅰ)絵画」園田直子氏(国立民族学博物館)
④特講「文化財保護における国際協力(Ⅰ)」沢田正昭氏(当研究センター)

3月7日(金)
①文化財材料論「木材」西浦忠輝氏(国士舘大学)
②文化財材料論「石材・レンガ」西浦忠輝氏(国士舘大学)
③文化財と環境「自然環境と文化財」西山要一氏(奈良大学)
④文化財と環境「文化財の生物劣化と対策(Ⅰ)カビ」高鳥浩介氏(NPO法人カビ相談センター)

3月8日(土)
①基礎文化財論「文化財と自然科学」沢田正昭氏(当研究センター)
②基礎文化財論「文化遺産の保存と活用」沢田正昭氏(当研究センター)
③文化財材料論「金属」桐野文良氏(東京藝術大学)
④文化財各論「美術工芸品(Ⅱ)工芸」北村繁氏(漆工芸家)

3月9日(日)
①②基礎文化財論「文化財保護の歴史と行政」井上敏氏(桃山学院大学)
③文化財と環境「収蔵ならびに展示環境」魚島純一氏(奈良大学)
④特講「博物館の役割」魚島純一氏(奈良大学)

3月10日(月)
①特講「災害と救援活動」日高真吾氏(国立民族学博物館)
②文化財材料論「紙と布」岡岩太郎氏((株)岡墨光堂)
③文化財各論「歴史資料」大林賢太郎氏(京都造形芸術大学)
④特講「文化財保護における国際協力(Ⅱ)」吹田浩氏(関西大学)

3月11日(火)
①文化財各論「考古遺物」増澤文武氏((財)元興寺文化財研究所)
②文化財各論「民俗資料」伊達仁美氏(京都造形芸術大学)
③④国立民族学博物館 見学

「エジプト学・文化財研究セミナー」の開催平成26年(2014年)2月

2014年2月24日(月)から2月26日(水)にかけて、関西大学国際文化財・文化研究センター(CHC)ではカイロ大学考古学部の研究者10名による「エジプト学・文化財研究セミナー」が開催されました。このセミナーは、エジプト学とエジプト文化財保存の研究分野について、専門的かつ多面的なアプローチを行う日本初の試みとなります。

初日となる24日(月)は、サイード・ゴハリー氏による「古代エジプトにおける言語と教育」、ナーセル・メッカ―ウィ氏による「アマルナ文書からみるエジプトと古代近東地域の外交関係」、サルワ・カーメル氏による「アビドス神殿」の報告が行われ、大稔哲也氏(東京大学)とエジプト大使館からの報告は、「イスラーム文化財の緊急報告会」として行われました。

2日目の25日(火)は、ヘバ・ヌーハ氏による「古代エジプト語における象形文字と語彙の意味関係―決定詞、表音文字を中心に―」、ザケーア・ザキ氏による「古代エジプト史に適用される古代史研究の方法論」、モナ・フアード氏による「エジプト、オアシス地域における壁画の劣化状況に関する研究」と「古代エジプト壁画の修復と分析における新しい動向」、ムハンマド・アブデル・ハーディ氏による「石灰岩製の歴史建造物における生理科学的劣化」と「石灰岩と砂岩製の歴史建造物に対する強化の方法論」の報告が行われました。

最終日の26日(水)では、ワフィーカ・ノスヒー氏による「パピルスの取り扱いと修復」と「パピルス製造に関する諸説」、サルワ・ガード・エル・カリーム氏による「ファラオ時代における古代エジプトのガラス製造工程の技術」と「ローマ時代におけるガラス製造工程の技術」、そしてムスタファ・アティア氏による「アイヴァゾフスキーの油絵贋作の発見」と「デュシャンの森林の風景画―修復の材料、技術に関する研究」の報告が行われました。

特別講演会「関西大学のエジプト調査10年の歩み」平成26年(2014年)1月

2014年1月25日(土)、関西大学の東京センターにて特別講演会「関西大学のエジプト調査10年の歩み」が開催され、当研究センター長の吹田浩氏(エジプト学・エジプト社会グループ)が講演を行いました。

この特別講演会は、文部科学省内「情報ひろば」にて開催中の、文部科学省における大学・研究機関等との共同企画広報の展示にあわせて開かれたものです。

講演では、サッカラ遺跡における2003年からの関西大学による文化財の保護・修復プロジェクトについて、その10年あまりの活動が紹介されました。関西大学や日本国内の研究者だけではなく、エジプトの遺跡管理局やカイロ大学考古学部、サッカラ村などとも協力し、多岐にわたる専門分野の専門家が参加することで、国際的かつ多様な研究活動が行われています。

当研究センターでは、文化財の保全と活用のための文理融合型の総合的なアプローチの確立を目指し、今後も様々な活動を続けていきます。

「中期エジプト語講座 初級」を開講平成25年(2013年)12月―平成26年(2014年)1月

当研究センターでは、2013年12月7日(土)から2014年1月11日(土)にかけて、全4回の「中期エジプト語講座 初級」の集中講義を開講しました。当研究センター長の吹田浩氏(エジプト学・エジプト社会グループ)が講師を務め、中期エジプト語の基礎知識について講義を行いました。

この講座は、中期エジプト語を初めて学ぶ人を対象に開かれたもので、古代エジプトに関心を持つ幅広い世代の方々にご参加いただきました。受講生には、全4回の講義を終えて、当研究センターより「中期エジプト語講座 初級」の修了証書が授与されました。

文部科学省における共同企画展示平成25年(2013年)12月

2013年12月1日(日)から2014年3月14日(金)(予定)まで、文部科学省における大学・研究機関等との共同企画広報の一環として、当研究センターの研究活動の共同企画展示が行われています。

この展示では、復元した古代壁画の実物やパネル、映像での展示を通して、古代エジプトの文化財の保存修復を中心とした当センターの活動をわかりやすく紹介しています。

開催期間:2013年12月1日(日)-
2014年3月14日(金)(予定)
展示場所:文部科学省ミュージアム「情報ひろば」
科学技術・学術展示室

エジプト考古大臣特別講演「エジプト文化財の危機と今後」平成25年(2013年)11月

2013年11月26日(火)、関西大学国際文化財・文化研究センター(CHC)ではエジプト考古大臣モハメド・イブラヒム氏をお招きして、特別講演「エジプト文化財の危機と今後」を行いました。

本講演は当センターにおける2013年度ワークショップ「エジプト文化財の危機と今後」の一環として行われたものです。

講演では、現在エジプトの文化財にいったい何が起こっているのか、またそれに対してエジプト当局はどのような対応をとっているのか、考古大臣モハメド・イブラヒム氏が最新の情報を話されました。

多くの方にご来場いただき、ありがとうございました。

ワークショップ「エジプト文化財の危機と今後 エジプト文化財の修復の実践
―サッカラを中心に―」 2日目平成25年(2013年)11月

2013年11月20日(水)、関西大学文化財・文化研究センター(CHC)ではサッカラ遺跡の管理官の方々をお招きして、昨日に引き続きワークショップ「エジプト文化財の危機と今後 エジプト文化財の修復の実践―サッカラを中心に―」が行われました。

本報告会は2013年度ワークショップ「エジプト文化財の危機と今後」の一環として開催されたものです。

最終日となる今日はモスタファ・アブデル・ファッターハ氏(サッカラ遺跡発掘管理事務所修復部門責任者)が「サッカラで良い作業をするために必要なこと」を、ナーセル・ファルガニ氏(サッカラ遺跡管理事務所修復技術者)が「サッカラの文化財の現状」を、アシュラフ・ユーセフ氏(サッカラ遺跡管理事務所修復技術者)が「サッカラにおける修復作業の作業例」をそれぞれ報告されました。

報告が終わり、予定時間を過ぎてもなお活発な議論が交わされ、報告会に来られた方にとっても大変貴重な機会になったことと思います。

本日にて2日間にわたって行われた報告会は終了しました。

ワークショップ「エジプト文化財の危機と今後 エジプト文化財の修復の実践
―サッカラを中心に―」 1日目平成25年(2013年)11月

2013年11月19日(火)、関西大学国際文化財・文化研究センター(CHC)ではサッカラ遺跡の管理官の方々をお招きして、ワークショップ「エジプト文化財の危機と今後 エジプト文化財の修復の実践―サッカラを中心に―」が行われました。

本報告会は2013年度ワークショップ「エジプト文化財の危機と今後」の一環として開催されたものです。

1日目となる今日はハーニー・アフマド氏(考古学最高評議会監督官)が革命以後のエジプトにおける文化財の現状を、サブリ・ファラグ氏(サッカラ遺跡管理事務所所長)がサッカラ遺跡の文化財保護における現状をそれぞれ報告されました。

報告が終わった後は多くの質問がなされ、また活発な議論が交わされました。

本報告会は2日にわたって開催され、2日目となる20日はサッカラ遺跡管理事務所から3名の方がそれぞれのテーマについて報告されます。

ワークショップ「エジプト文化財の危機と今後―サッカラ村の調査から―」平成25年(2013年)11月

2013年度ワークショップ「エジプト文化財の危機と今後」の一環として、エジプトのサッカラ村遺跡管理官や村民の方々が来日しました。彼らは観光地とその有効活用の調査のため、日本における好例として京都にある清水寺、二条城、寺町通りや奈良の明日香村を訪れ、日本の文化財の保存と活用の手法を見学しました。

2013年11月14日(木)と15日(金)には、当研究センターにて、京都と奈良での観光資源の視察を踏まえたサッカラ村民グループの報告会が開かれました。当研究センター所属の研究者やサッカラ村遺跡管理事務所グループも参加し、エジプトの文化財の保全と活用法についての熱心な討論が行われました。

文部科学省における共同企画広報平成25年(2013年)9月

2013年12月1日(日)から2014年3月末頃(予定)まで、文部科学省における大学・研究機関等との共同企画広報の一環として、当研究センターの研究活動の共同企画展示が行われます。展示では古代エジプトの文化財の保存修復を中心とした活動を紹介する予定です。

開催期間:2013年12月1日(日)-2014年3月末頃(予定)
展示場所:文部科学省ミュージアム「情報ひろば」
科学技術・学術展示室

石垣補強のための新たな工法を考案平成25年(2013年)9月

当研究センターの西形達明氏(科学技術グループ)が行っている石垣の維持・修復のための活動が、2013年6月12日付の日刊工業新聞に紹介されました。

外観を維持したまま石垣を補強することが可能な「鉄筋補強による城郭石垣の安定化工法」は、安藤ハザマとの共同研究により考案されたものです。今後、文化財の景観を維持しながら安全性にも配慮した新たな手法として、都市部に残る城郭などの石垣の補強への活用が期待されます。

マチュピチュ遺跡での遺跡保存プロジェクト平成25年(2013年)8月

マチュピチュ遺跡の「太陽の神殿」における保存修復プロジェクトの活動が、朝日新聞(東京西部・2013年8月21日付朝刊)に紹介されました。

当研究センターの西浦忠輝氏(文化財修復グループ)が代表を務める日本調査隊は、ペルー政府との2年目の合同調査を終え、2013年8月20日(火)に帰国しました。今回の調査では、「太陽の神殿」の3次元計測や神殿内部の温湿度調査などが行われました。調査隊には、当研究センターの伊藤淳志氏(科学技術グループ)や西形達明氏(科学技術グループ)らも参加しています。

また、日本調査隊はペルー政府からの要請を受け、マチュピチュ遺跡保存プロジェクトの最終年度となる2014年に、「インティワタナ」の保存修復に向けての調査活動を予定しています。「インティワタナ」は日時計との説があり、「太陽の神殿」と並んでマチュピチュ遺跡における重要な遺構とされています。

文化財科学研究A平成25年(2013年)7月

2013年7月29日(月)から31日(水)、関西大学大学院にて、当センター研究員の沢田正昭氏(文化財修復グループ)が集中講義「文化財科学研究A」を行いました。

この講義では、文化財の保存修復に関する自然科学的な基礎知識を学び、実際の事例から保存修復技術への応用についての理解を深めることを目的としています。

31日(水)には、仏像修復家の矢野健一郎先生の工房を訪問し、仏像の制作技術や修理の方法などを説明していただきました。その後、現在修復中の奈良県の興福寺の中金堂を訪れ、建造物の修復の様子を実見しました。中金堂修復現場では、矢野先生や実際に修復に携わる方から、修復における理念や方針などの話を拝聴することができました。また、国宝館を訪問し、数々の国宝や重要文化財を見学しました。

エジプトから交換研究員が来日平成25年(2013年)6月―7月

2013年6月14日(金)より、関西大学とカイロ大学の学術協定により、カイロ大学考古学部からサラーハ・エル・ホーリ氏とオラ・エル・オゲジ氏の、二名の先生方が交換研究員として来日され、関西大学へと来られました。

先生方はおよそ一ヶ月半の間滞在し、関西大学文化財保存修復研究拠点を中心に活動し、関西大学の研究者や院生と共同で研究を進める予定です。その他にも大学での講義やセミナー、学生との交流など、様々な活動を予定しております。