建築学科 木下 光教授が2020年度日本建築学会技術部門設計競技「人新世を見据えたSDGs達成に資する街区・集落のネットポジティブデザイン」において優秀賞を受賞
氏名
木下 光
所属
環境都市工学部 建築学科
受賞年日
2020年09月08日
大会・団体名
2020年度日本建築学会技術部門設計競技 「人新世を見据えたSDGs達成に資する街区・集落のネットポジティブデザイン」
受賞名
優秀賞
研究テーマ等
Positive‐FOOD‐Salvation City ~SEMBA~
食と太閤下水で創るオフグリッドシティ
賞の概要
日本建築学会が主催する2020年度日本建築学会技術部門設計競技「人新世を見据えたSDGs達成に資する街区・集落のネットポジティブデザイン」において、全国から延べ22作品が集まり、9作品が1次審査を通過、2次審査発表会は新型コロナウイルスの影響によりオンラインで行われ、本提案は優秀賞を受賞した。
世界では地球規模の複合的課題に対して、国際目標SDGsが採択され、人間居住空間には革新的展開と持続性が求められている。その社会的潮流の中、街区・集落レベルでの複合的な技術のネットポジティブデザインの提案が募集された。NZEBs(ネットゼロエネルギー建物)から、NPEBs(ネットポジティブエネルギー建物)への思考転換が進められているように、節約、削減のネガティブ思考や、マイナスをゼロにするネットゼロの発想から、よりポジティブな革新的創造となる技術・デザインが注目されている。
私たちは、生ごみ廃棄量の構成が食品ロス(まだ食べられる食品)が3割なのに対し、人間が文化的に生活する限り必ず発生する調理くずが6割を占めていることに着目し、これを「真の食品ロス問題」として捉え、運河に囲まれた高密度かつ職住混在の都市である大阪市中央区船場地域を敷地として、この問題をポジティブに変換する街区デザインと設備の提案を行った。下水道のバイオマス資源的、空間的利点に注目し、中でも豊臣秀吉(太閤)の時代に整備され、現在も利用されている太閤下水を活用することで、家庭から出る調理くずをディスポーザーに通して下水に流し、太閤下水でバイオガス、水、下水沈殿物の3つの資源を得るシステムを構築し、これがまちのエネルギーや緑となり、船場が彩られていく。電気は日常的に食品ロスを回収するEVモビリティの電力に用いられ、災害時には非常用電源としても活用される。一方で、まだ食べられる食品ロスに対しては、それを回収しマーケットを開き、船場の新たな風景となる仕組みをアプリ、モビリティなどを含めて複合的に提案した。所謂食品ロスに対してだけでなく、ゴミとなっている全ての食をポジティブに換えるシステムが評価された。