環境都市工学部

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建築学科 河井康人教授が公益社団法人発明協会において平成28年度全国発明表彰発明賞を受賞

氏名

河井 康人

所属

環境都市工学部 建築学科

受賞年日

2016年06月15日

大会・団体名

公益社団法人 発明協会

受賞名

平成28年度全国発明表彰 発明賞

研究テーマ等

エッジ効果抑制による遮音壁の発明

賞の概要

 本発明は、道路交通、鉄道、工場、建設工事等から発生する騒音に対し、周辺環境保全のために多く用いられる防音塀の先端部分に設置し、遮音性能を飛躍的に向上させる減音パネルの設計法に関する独創的な技術である。これまで防音塀は施工が容易なことや比較的低コストで設置できることから、騒音防止対策として広く用いられているが、交通量の多い幹線道路沿いなどでは、環境基準達成のために非常に高い塀が設置されることも多く、景観、日照阻害、耐風圧などの構造的な面から設置コストの上昇などの問題も抱えている。
 このような状況を緩和するために、これまで先端改良型遮音壁と呼ばれる防音塀の先端に設置する減音装置が多種開発され数多く施工されている。これらの先端改良型遮音壁の理論的な拠り所は明確ではないが、従来の近似回折理論においては回折場が塀上端のエッジに沿った線積分で記述されることから、エッジ部分に吸音処理や位相差による干渉などで、塀先端部分の音圧を減少させ回折場のレベルを低下させようとするものであろう。しかしながら、塀上端のエッジ付近の音場を詳しく調べると、このような設計法は適切とは言えず、また、これまでの先端改良型は騒音低減性能であまり満足できるものではない。
 本発明では、境界積分方程式による理論解析によって、防音塀上端近傍で粒子速度が非常に大きくなる領域が存在すること(エッジ効果)を明らかにし、この領域における粒子速度を薄い多孔質吸音材料等で抑制すること、また、その多孔質吸音材料のインピーダンスを上端に向かって徐々に0に減少させることでエッジ効果の発生を抑え、回折場の大幅な騒音低減が可能な先端設置の減音パネルを実現している。本パネルは非常に高性能(同じ高さの通常の防音塀と比較して、道路交通騒音に対して約10 dBの低減効果)であることに加え、スリムで軽量であり、製造コストや設置工事のし易さ等多くのメリットを有している。

公益社団法人 発明協会

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