賞の概要

　塩化カルシウム二水和物のメタノール溶液（CaCl2-MeOH溶液）を用いた溶解再沈殿法により、製紙用フェルトからのナイロンの分離再生プロセスについて検討した。製紙用フェルトはナイロン6とナイロン66の繊維で構成されている。 CaCl2-MeOH溶液に対するナイロンの溶解性を検討し、ナイロン6と66の分離再生実験を行った。また模擬廃液を調製し、ナイロンの再生後の廃液について蒸留による再利用を検討した。赤外分光光度計による官能基の分析と、X線回折装置による結晶構造の分析から、ナイロンの溶解機構およびナイロン6と66の溶解率の差が生じる原因について考察した。製紙用フェルトの実廃棄物を用いて、ナイロン6と66の分離再生を試み、ナイロン6および66が主成分であると考えられる物質が再生された。試薬の再利用が可能なCaCl2-MeOH溶液を用いた廃棄物からのナイロン再生プロセスについて発表した。

【The 4rd Research Symposium on Petrochemical and Materials Technology and The 19th PPC Symposium on Petroleum‚ Petrochemicals‚ and Polymersについて】
　当学会は主に石油化学、バイオケミカル、ポリマーに関する触媒反応、分離、プロセスシミュレーションなどに関する研究発表を行う学会である。研究成果発表（Oral Sessions　and Poster Sessions）の件数は約120件であった。