やがて石油の供給不足が現実になるといわれ、地球環境の悪化も進行しています。これ以上の環境破壊を食い止め人類の持続的発展を維持するためには、今とは異なる新しいエネルギー体系を構築することが求められています。深刻化する地球温暖化問題に対しては、二酸化炭素の排出を最小化して、低炭素社会を構築する必要があります。そのためには省エネルギーの推進と既存エネルギーの変換効率の飛躍的向上に加えて、太陽光、風力、バイオマス、廃棄物や水素などの新エネルギーを利用する技術開発を進めていくことが重要です。本学科では、省エネルギーや新エネルギー、環境修復、環境汚染防止など、エネルギーと環境を見据えた科目を配置。1年次から多くの実験・演習を課し、身につけた実践的な知識・技術をいかして環境負荷の少ない新システムを構築できる人材を育成します。
学びのスタイル
理工学研究科 環境都市工学専攻
博士課程前期課程 2年次生
和田 佳也
研究テーマ
固体酸化物形燃料電池の電極材料の合成と評価に関する研究
固体酸化物形燃料電池は、水素と酸素を化学反応させるため、廃棄物が水のみというクリーンエネルギーです。ただし稼働には1,000℃近い高温を要することから部品のコストが高いというデメリットもあります。私の研究は「原料の粒子にたくさんの孔があいていれば、反応する面が増えるぶん発電効率がアップし、温度を下げても性能が維持できるのでは」という仮説の検証です。実験では、電池の原料にクエン酸を加え、超音波振動と高温によって数百ナノメートルサイズの粒子にします。すると約400℃でクエン酸だけ焼失し、粒子に孔が残りました。研究をスタートしてから孔があくまで約半年。より小さな孔が数多くあくように実験を繰り返し、電池としての性能を評価しています。孔が小さくなり増えているという変化が、顕微鏡で確認できるのも実験の大きな楽しみ。「この方法で正解だった」という実感が得られます。同様に化学プラントの稼働効率をよくすることも環境改善につながるのだと納得。社会に出てからも、プロセスに工夫して環境改善を試みたいです。
社会の最重要課題と密接に関連している化学工学。「小さい環境負荷で、大きい成果を」が目標です。
私の研究室では、教員と学生は共同研究者。一緒に考えながら研究を進めています。この学科で学ぶ「化学工学」は、エネルギー材料や環境という、近年話題になることの多いテーマと直結する学問分野。環境に配慮して少ないエネルギーで効率よくたくさん生産する技術を学びます。化学製品はもちろん食品や薬品など幅広い産業のプラント設計に不可欠なので、人材ニーズも豊富です。
エネルギー・環境工学科
木下 卓也 准教授
- ※この学びのスタイルは2017年度のものです。
学びのキーワード
【新エネルギー】
【リサイクル】
【環境保全】
コース紹介
3年次からコースに分かれて学習します。
エネルギー工学コース
より良いエネルギーの開発と利用を考えます。
家畜の排せつ物や木くず、生ゴミなどから新しいエネルギーを作り出す「バイオマス」、限りある化石エネルギーを大切に、効率よく利用する「省エネ」など、環境にやさしいエネルギーの開発や利用法について学びます。
環境化学コース
地球をきれいにする技術を身につけます。
地球温暖化のような環境問題を解決するためには、環境を汚染する物質を出さない技術や、すでに排出された環境汚染物質を除去・無害化する技術などを工学的な立場から学びます。
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キャパシタ型イオン除去装置
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有機化合物が分析できるGC-MS装置
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ナノ粒子サイズ分布測定装置
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エネルギー自立型炭化装置
取得できる資格
所定単位を修得すると資格を取得できるもの
中学校教諭一種免許状〔理科〕
高等学校教諭一種免許状〔理科・工業〕
司書、司書教諭、学芸員、毒物劇物取扱責任者
所定単位を修得すると在学時から受験資格が得られるもの
甲種危険物取扱者
卒業時に受験資格が得られるもの
甲種消防設備士
受験できる資格
公害防止管理者
高圧ガス製造保安責任者
放射線取扱主任者
環境計量士