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  4. 理事長・学長・会長 鼎談 教育・研究の充実に向けた改革と展望

教育・研究の充実に向けた改革と展望

新学長に就任されて

宮田慎一
幹事長
本日はご多用のところ会報『葦』の鼎談企画に足をお運びいただき、まことにありがとうございます。今回は、「教育・研究の充実に向けた改革と展望」というテーマで、ご父母の皆さまにお届けしたいと思います。高橋学長、芝井理事長、そして阪本会長、どうぞよろしくお願い申し上げます。
まずは高橋先生、第44代関西大学学長へのご就任、おめでとうございます。先生におかれましては、2018年10月から2年間社会安全学部長を務められた後、2020年10月から4年間副学長を務めてこられましたが、このたびの学長ご就任にあたり、今後の抱負をお聞かせください。

高橋智幸
学長
ありがとうございます。社会安全学部の学部長を務めていた時は自分の責任において新しいことに挑戦できる恵まれた環境がありました。副学長時代も前田裕前学長が「好きなように挑戦していい」とおっしゃってくださいましたが、失敗すると前田前学長の責任になってしまいます。恥をかかせるわけにはいかないという想いがあったのですが、今は全責任を自分で負うことができる立場になりましたので、気持ちの面では楽になりました。もちろん、関西大学をよりよい大学にするために全力で取り組む所存です。
先日、初めての学部長・研究科長会議で挨拶をさせていただき、学生と最も近い現場の教員の皆さまから様ざまな意見を出していただきました。関西大学をよくする上で教育の質を高めることは根幹となる部分ですので、各学部の教員の皆さまと意見交換をしながら、学長として、大学全体として何をどのように支援するのかをしっかりと決断していきたいと考えています。2年9カ月という短い任期ではありますが、リーダーとして責任を持って関西大学の進むべき道を示せるように全身全霊で学長の大役を務めさせていただきます。ご父母の皆さまにもどうぞご期待いただけたらと思います。

新しいことに挑戦できる関西大学の気風を加速させられるように。
関西大学 学長
高橋 智幸

理事長に再任されて

宮田
幹事長
高橋学長、力強いお言葉をありがとうございます。
一方、芝井先生におかれましては、学校法人関西大学理事長に再任されました。先生は、2016年10月から4年間学長を務められた後、2020年10月からは理事長として経営側のトップを務めてこられましたが、今回理事長に再任されましたことで、あらためて今後の抱負について、お聞かせください。

芝井敬司
理事長
私は日頃より関西大学は素晴らしい大学だと自負しておりますし、もちろん、もっとよくしていきたいという想いを抱いておりますが、それに加えて近年ではもっと存在感を高めたいと考えるようになりました。例えば、関西大学の教育後援会は「大学と家庭の心のかけ橋」として、他に類例を見ないほどの充実した支援を実施してくださっており、名実ともに日本一の保護者会であると自負しています。

阪本雅哉
会長
1人の関大生の親としてこれほど心強いことはありません。

芝井
理事長
しかしながら、それを全国の学生やご父母の皆さまに知っていただけているかと言われると疑問が残ります。おかげさまでいち地方の私学でありながらも全国的な知名度は非常に高いのですが、その中身や魅力について私たち自身がもっと積極的に情報発信をしていかなければならないと感じています。もちろん、教育機関ですので質の高い教育、研究を常に追求する姿勢に変わりはありません。そこは絶対に空洞化してはいけません。その上で常に新しい分野に挑戦し、新しいものを生み出せる風土は変わることなく受け継がれていくべきものだと考えています。

関西大学の知名度だけでなく、存在感を高めるために情報発信をしていきたい。
学校法人関西大学 理事長
芝井 敬司

高橋
学長
教学出身の理事長ならではの素晴らしいお考えだと思います。私も関西大学の知名度は全国でも指折りだと感じておりますが、存在感をもっと高めたいという想いがあります。そのためには失敗を恐れずに新しいことに挑戦できる環境を整えていくことが大切だと考えています。

関西大学の新展開

宮田
幹事長
関西大学の動向は常に社会から注目されておりますが、お二人は今後、関西大学のさらなる発展のために、具体的にどのようなことに取り組んでいこうとお考えでしょうか。

芝井
理事長
先程の教育・研究で新しい分野に挑戦していくという話の続きになりますが、関西大学は新しい学部や学科を作ることで、既存の学問領域ではカバーしきれない課題にも積極果敢に挑戦してきました。高橋学長が所属している社会安全学部はその最たる例と言えるでしょう。そしてこの度、2025年4月には吹田みらいキャンパスに、ビジネスデータサイエンス学部を新たに設置、さらに2026年4月にはシステム理工学部にグリーンエレクトロニクス工学科(仮称・設置構想中)を開設する予定です。いずれも現代社会が抱える課題に正面から向き合う新しい学問領域で、時代の要請に応える、関西大学らしい学びが誕生すると期待しています。

高橋
学長
関西大学の強みの1つには多様性があると思います。全国各地から集まった学生に加え、社会人や留学生など多様なバックボーンを持つ学生が在籍しています。私はこれをさらに促進していきたいと考えています。多様性の中で学ぶことで学生の視野が広がり、世界に羽ばたいていく、あるいは改めて地域に目を向けて故郷のリーダーとして活躍する、そんな未来を描けるような環境を整えていきたいと考えています。もっと当たり前のように留学生が歩いているキャンパス、あるいは社会人入学が普通の選択肢の1つになるような時代の中心に関西大学があるような未来をイメージしています。

阪本
会長
私どもの会社にも大学院卒で修士号を取った社員がたくさん在籍しています。大学との共同研究も活発に行っているなかで、もっと博士号を取りに行くように働きかけています。

芝井
理事長
それは素晴らしいですね。これからの時代のスタンダードモデルになっていくのではないでしょうか。

阪本
会長
大学はやはり知の拠点で、多様な分野の専門家が集まっています。そこで人脈と視野を広げることで新しいイノベーションが生まれることもあると思います。だからぜひ積極的に社会人入学をして博士号を取得する、あるいは共同研究で大学とのつながりを強化するということは進めていきたいと考えています。もちろんそれは会社にとっても他と差別化をするという面でメリットにもつながります。
先程から芝井理事長、高橋学長が失敗を恐れずに挑戦できる環境を整えるというお話をされていましたが、企業経営でもまったく同じことが言えるのでたいへん共感しております。

関西大学教育後援会の素晴らしい取り組みをぜひ知ってもらいたい。
関西大学教育後援会 会長
阪本 雅哉

「大学と家庭の心のかけ橋」としての教育後援会

阪本
会長
私の子どもも今、文学部で学んでおりますが、教育後援会の執行部に入ってあらためてその素晴らしさを再認識しています。特に教育後援会の合言葉となっている「目をはなすな 手をはなせ」は素晴らしい理念だと思っておりまして、ぜひ多くのご父母の皆さまに周知してほしいと思います。学生はトライアンドエラーが許される時期ですので、ぜひたくさんの経験をして、新しい知識を得て、人脈を広げていってほしいと思いますし、ご父母の皆さまにはそれを温かく見守ってほしいと思います。
芝井理事長、高橋学長には私ども教育後援会と会員であるご父母の皆さまに対して、どのような想いをお持ちなのか、ぜひお聞かせ願えますでしょうか。

高橋
学長
私も関西大学教育後援会は本当に素晴らしい組織だと感じておりますし、私自身も1人の親として客観的に見た時に、「親の気持ちがわかる人たちが運営している」というのがよくわかります。必要な情報が送られてくるだけではなく、総会や地方教育懇談会などでご父母の皆さまと教職員が対面で意見を交わす機会が豊富に用意されていて、それに実に多くの人が積極的に参加しています。このきめ細かな支援はぜひこれからも続けていってほしいと思います。さらに私はこの素晴らしい取り組みをもっと関西大学に入学前の学生の保護者の皆さまにも知ってもらいたいと思っています。入試に関わる部署とも連携して、全国の保護者の皆さまが「関西大学なら安心」と思ってもらえるよう情報発信を強化していきたいと考えています。

芝井
理事長
関西大学教育後援会の素晴らしい理念は関西大学の歴史とともに連綿と受け継がれてきました。ひと昔前でしたら、大学生になったら親の役割はひと段落というイメージがありましたが、私自身が教員として教育後援会の活動に参加させていただいた中で、やはりご父母の皆さまも、私たち教員も、大学全体としても、学生と向き合うことがいかに大切なのかをあらためて教えていただきました。過去には就職活動で悩んでいたけど言い出せなかった学生がいて、地方教育懇談会をきっかけにご父母からそのことを聞いたので、キャリアセンターに連れて行ったら瞬く間に優良企業に就職が決まったというケースもありました。情報を共有してきっかけさえ与えてあげれば、学生本人が抱えている悩みが解決するというケースは決して珍しくありません。これからも教育後援会の活動は大学としても大いに支援していくので、阪本会長をはじめご父母の皆さまにも積極的に盛り上げていっていただけたら幸いです。

阪本
会長
そのように言っていただけると身が引き締まる思いです。会長としての使命を全うできるよう全力で取り組んでまいります。教育後援会で開催する様ざまなイベント、特にご遠方にお住まいのご父母の皆さまが楽しみにしておられる地方教育懇談会などを盛り上げていけるようにがんばっていきたいと思います。

宮田
幹事長
皆さま貴重なお話をありがとうございます。本会はこれからも、「大学と家庭の心のかけ橋」をモットーとして、「家庭教育の大切さ」と、「大学の教育方針に則った教育事業への援助」、そして、会員の皆さま相互の親睦を通じ「わが子の母校はわが母校」という、関西大学を愛する気運の醸成につとめてまいりたいと思います。これからも、引き続き教育後援会活動へのご理解ご協力を賜りますよう、心からお願い申し上げます。本日はまことにありがとうございました。

司会・進行
関西大学教育後援会 幹事長
宮田 慎一

会報『葦』のご紹介