1. TOP >
  2. 会報『葦』のご紹介 >
  3. 2024年夏号 No.188 >
  4. [関西大学博物館]関西大学文学部創設100周年・関西大学博物館開設30周年記念連携企画展「花開く大阪の文化」を開催

関西大学文学部創設100周年・関西大学博物館開設30周年記念連携企画展「花開く大阪の文化」を開催

関西大学博物館では、文学部創設100周年と博物館開設30周年を記念し、4月7日(日)から5月31日(金)まで、文学部との連携企画展「花開く大阪の文化」を開催しました。4月7日にはオープニングセレモニーを挙行し、理事長、学長、文学部長、博物館長が揃ってテープカットを行い、記念展示会の開催を祝いました。

オープニングセレモニーでのテープカット
展示室風景

連携企画展「花開く大阪の文化」

関西大学の学内に所蔵されている資料には、文学部教員の教育・研究活動のなかで集積されたものが多数存在します。本学博物館は、考古学者として著名な末永雅雄教授の主導による考古学資料室から始まり、1994年に網干善教教授を館長として開館しました。収蔵品としては、元大阪毎日新聞社社長の本山彦一氏のご遺族から寄贈を受けた国の登録有形文化財「本山彦一蒐集考古学資料」通称「本山コレクション」が有名です。また、図書館には文学部教員が関わって収集・研究した典籍・古文書・絵画などが多数収蔵されています。今回の記念展示会では、これらの資料をもとに最新の研究成果を加えながら本学所蔵品の価値を紹介しました。展示は、4名の文学部教員が各章を担当する4章立ての構成となっています。次より、それぞれの章について概要をご紹介します。

第1章「百舌鳥・古市古墳群の調査・研究の歩み」

第1章では、本学考古学研究室の研究成果を紹介しました。百舌鳥・古市古墳群は、近年世界遺産に登録されたことで有名ですが、はるか以前1955年に末永雅雄教授によって大王墓の周辺に造営された盾塚・鞍塚・珠金塚の発掘調査が行われています。これら古墳からの出土品は、朝鮮半島との関わりを示すものも多く、この地域の文化の開花を示すものです。近年の朝鮮考古学の成果を採り入れながら、本山コレクションの加耶や新羅の土器もあわせてその価値を再評価しました。

第1章の展示

第2章「大坂の古典学 契沖・宣長から岩崎美隆へ」

第2章では、本学図書館所蔵品で有名な「廣瀬本万葉集」を展示すると共に近世大坂における国学の発展を紹介しました。大坂の国学者としては契沖が有名ですが、彼は本居宣長にも影響を与えた人物でした。契沖の国学研究の足跡を示し、近世大坂における文学・古代学研究の進展を明らかにしました。さらに、幕末に活躍した国学者岩崎美隆(河内国花園村大庄屋)に関わる諸本(岩崎美隆文庫)を展示しました。これらは、大坂における学問研究の広がりをみる上でも興味深い資料です。

第2章の展示

第3章「豊臣・徳川の大坂支配」

第3章では、豊臣政権による政策・朝鮮侵略関係の古文書を展示しました。徳川幕府の時代になると大坂は西国支配の要となり、大名や旗本らが交替で大坂城の守衛に当たりました。大坂は、多数の武士が諸国から往来する政治都市でもありました。幕末にはロシア艦隊が大阪湾に侵入して幕府の政策は開国へと動きますが、明治に至る世相の変動を絵画・古文書で示しました。今は観光地として有名な天保山に築かれた防衛のための台場なども注目されます。

第3章の展示

第4章「大坂画壇の名品」

第4章では大坂画壇の名品を展示しました。本学図書館は、多数の大坂画壇の作品を収集しており、近年美術史研究において次第に注目を集めています。これらの絵画では、大岡春朴「浪花及澱川沿岸名勝図巻」のように近世大坂の風景を描くものも多くあります。近世大坂の博物学者・画家としても知られる木村蒹葭堂の作品は、事物を詳細に観察する博物学に支えられていたことも重要です。近代の大阪画壇の作品としては、女性画家野口少蘋の作品、大正時代の雰囲気をにおわす北野恒富など「大大阪時代」の文化の一側面をみることができます。

第4章の展示

おわりに

今回の展覧会は、小規模な展示ながら古墳時代から近代までの大阪文化の展開を一覧する試みとなりました。こうした大阪文化の延長線上に関西大学文学部の教育・研究もあり、本学文学部こそこの豊かな文化基盤を引き継いだ現代に花開く大阪文化の一つであることを知っていただくことができれば幸いです。

会報『葦』のご紹介